『約束のネバーランド』原作漫画のあらすじネタバレ|アニメ版との違いや考察
週刊少年ジャンプでの連載後、瞬く間に人気をおびた『約束のネバーランド 』。
「約ネバ」の愛称で親しまれた本作は、食料のための子ども・鬼の世界・全てを知りながら鬼に加担する大人といったダークな世界観と、緻密に張りめぐらされた伏線が話題を呼びました!
なかでも年端のいかぬ子どもたちが過酷な世界を生き抜き、明日を掴もうとする姿はとにかく感動もので全世界累計3200万部を突破したほどの大ヒット作品に。
一見普通のダークファンタジーものかと思いきや、同じ種族なのに争い続ける人間たちへの強いメッセージ性などが含まれており、読み終わったあとは深く考えさせられる作品です。
本記事では、そんな『約束のネバーランド』の原作漫画を中心にネタバレあらすじ・登場人物紹介・映画版やアニメ版との違いについて解説します。
目次
漫画『約束のネバーランド』について
『約束のネバーランド』は2016年~2020年にかけて週刊少年ジャンプにて連載されたダーク・ファンタジー漫画。原作を白井カイウ先生、作画を出水ぽすか先生によって手がけられました。
本作品の主人公となるのは孤児院で育った12歳未満の子どもたち。ある出来事から自分たちが鬼のための食用児であることを知った彼らが孤児院を脱獄し、人間の世界を目指す物語です。
緻密に張りめぐらされた伏線・母のように慕っていた相手との心理戦・自分よりはるかに強く数も多い鬼たちとの頭脳戦など週刊少年ジャンプらしからぬ異色さが話題を呼び、2021年6月時点で累計発行部数3200万部を突破。
映画化やアニメ化、小説化などさまざまなメディア展開がなされています。
漫画『約束のネバーランド』のネタバレあらすじ
それでは、『約束のネバーランド』のストーリーをネタバレ有りで紹介していきます。
【あらすじ①】ハウス脱出編(コミックス1巻〜5巻)
グレイス=フィールド・ハウスの正体
「グレイス=フィールド・ハウス」は38人の子どもたちが暮らす小さな孤児院。
みんな実の親を知らずに育ったが、ママ・イザベラの愛情をたっぷり受けとって幸せに暮らしていた。年長組のエマ・ノーマン・レイは毎回朝のテストで満点を取る優秀な子どもたちで、下の兄弟たちの世話をやいている。
ある日、里親の元へ発つことになったコニーがお気に入りの人形を忘れていることに気づいたエマはノーマンとハウスを抜け出し門まで追いかけるが、そこで見たのは殺されたコニーと、異形の鬼、そして彼らと「食用児」についての会話を交わすイザベラの姿だった。
思いがけぬ形でハウスの正体が農園であること、自分たちが鬼のための食用児だと知ってしまった2人はイザベラを出し抜きハウスを全員で脱獄しようと決意する。
ノーマンの出荷
W(ウィリアム)・ミネルヴァを名乗る人物からハウスに寄贈された本に記されたヒントを頼りに、外の世界に関する情報を手に入れたエマたちは、ドンとギルダにも事情を話し計画を手伝ってもらうことに。
だが計画に気づいていたイザベラはエマの足を折り、ノーマンの出荷を言いわたす。
何としてでもノーマンを救いたいエマとレイは1人で先に逃げるよう説得するが、警備の目を強化させないためノーマンは素直に出荷されることを選び、ハウスを出ていくのだった。
事情を知らない子どもたちが大喜びでノーマンを送り出す一方、あまりに残酷な真実に打ちひしがれるエマとレイ。
イザベラは、すっかり塞ぎこんでしまったエマに女の子のあなたなら生き残れる道があると飼育監の道を進めるが、エマは絶対に出来ないと拒絶する。
外の世界へ
2046年1月14日。レイの誕生日前夜、食堂で合流したレイとエマは「お互いが一切諦めていなかったこと」を確認する。
ノーマンを犬死にさせないためにも、絶対に諦めないと誓った2人はイザベラを騙すために打ちひしがれ、諦めたフリをしていたのだ。
その間、2人に代わって指揮を取っていたドンとギルダによって子どもたちの特訓・脱獄準備は完了。
作戦を実行した2人は子どもたちを連れて脱獄するが、メンバーを見たレイは驚愕の表情を浮かべる。無謀にも「全員で脱出」を揺るがそうとしなかったエマが連れていたのは、5歳以上の子どもだけだったからだ。
脱獄が冬の時期になること・外の世界についての情報が未知数であることから出荷が始まるのは6歳からという決まりを逆手に取ったエマは、4歳以下の子どもをフィルに任せ、2年以内に助けにくると約束を交わしていた。
【あらすじ②】ゴールディ・ポンド編(コミックス6〜11巻)
塀の外
外の世界へ出たエマたちは、自然の壮大さと厳しさを噛みしめながらミネルヴァが示す座標を目指す。だが森の中で早くも野良鬼たちに追われ、窮地に陥った子どもたちを助けたのは宗教上人間を食べない鬼のソンジュとムジカだった。
最初は救世主の正体が鬼であることに警戒していた子どもたち。しかし手厚い看護や食料を分け与えてくれたことに感謝し、徐々に信頼しはじめる。
ソンジュたちはこの世界についてやサバイバル方法などを教え込み、エマたちを森の外まで誘導してくれた。エマに友情を感じたムジカは、別れ際に七つの壁を探して約束を結びなおせと助言を与え、お守りとして竜の目形のペンダントを授ける。
シェルターの”オジサン”とゴールディ・ポンド
ミネルヴァのペンが示していたシェルターにたどり着き、ひとまず安堵するエマたち。しかしシェルターにはすでに住民がいて、エマたちは頑なに名前を名乗ろうとしない”オジサン”に追い出されそうになってしまう。
追い出されれば生き残れないと悟ったエマたちは共存のため歩み寄ろうとするがオジサンの意思は固く、交渉は難航。
だが長く生き延びていること、頻繁に外へ出ては食料を調達している形跡があることからかなりの実力者だと踏んだエマとレイはオジサンを利用して次なる目的地ゴールディ・ポンドを調べにいくことに。
厄介者の2人を事故という形で始末したいオジサンは、思惑に気づきながらもレイたちからの提案を呑み外出に同行。最初はわざと鬼を引き寄せ2人を始末させようとしていたオジサンだが、道中で互いを知るうち次第に心を許すようになり2人を危険なゴールディ・ポンドから遠ざけようとする。
しかし一足遅く、エマがゴールディ・ポンドの狩人に誘拐されてしまうのだった。
ミネルヴァの秘密
思いがけぬ形で目的地にたどり着いたエマ。
ここが非合法的な狩場であると知ったエマは、閉じこめられた子どもたちと共に鬼を倒すことに。
子どもたちのリーダーであるルーカスは、かつてオジサンと脱走した生き残りだった。ルーカスはペンを持ったエマを秘密の場所へ連れていく。
そこにはミネルヴァからの新たなメッセージが残されており、彼の正体が1000年前に鬼と約束を交わした一族の末裔「ジェイムズ・ラートリー」であること、この箱庭が避難場所として用意された場所だったが裏切りに遭い、奪われたことなどが明かされるーー。
レウウィスとの死闘
突然連れ去られ、鬼の快楽を満たすためだけに長年鬼ごっこをさせられてきた子どもたち。自力で鬼を殺す方法を突きとめながらも、爪を隠して時が来るのを待っていた子どもたちの反乱がはじまり油断していた鬼は次々と殲滅されていく。
最後に残ったレウウィス公に苦戦しつつも救出に駆けつけたレイたちと力を合わせて打ち倒した子どもたちは、新たな仲間とともにシェルターへ帰還。オジサンは改めて自身をユウゴだと自己紹介するのだった。
【あらすじ③】楽園と約束(コミックス12〜16巻)
七つの壁探し
シェルターでの生活が落ち着いてきた頃、支援者に電話をかけたエマたちは、まだ協力者が生き残っていること・差し迫った状況ですぐに手助けできないことを知る。
ハウスに残してきた家族の安否が心配なエマとレイは待っている間にも先へ進もうと数人の仲間を連れて「七つの壁」を探す旅に出ることに。
あらゆる文献から情報を集め目星をつけていたエマたちはまずクヴィティタラの遺跡へ向かい、そこで得たヒントを頼りに七つの壁の入口に行く方法を見つけ出す。
ラートリー家の奇襲
喜びもつかの間、ついにラートリー家がシェルターを見つけ出し、敵襲にあったエマたちはシェルターを捨てる覚悟を決める。再びムジカたちと出会った洞窟へ戻ろうとするエマたちだが、敵は手ごわく数人の犠牲者を出してしまう。
ルーカスとユウゴは子どもたちを逃がすため囮になり、敵兵のほとんどを殲滅後、命を散らしていくのだった。
ノーマンとの再会
シェルターを脱出し洞窟に身を隠したエマは、襲撃直前にかかってきた電話について告げられる。ミネルヴァを名乗る人物は、ある座標を言い残していた。
死んだはずのミネルヴァからの電話に警戒しつつ、敵ではないと判断したエマは座標に向かってみることに。その途中、鬼に襲われている見知らぬ子どもを助けたエマたちは「ミネルヴァの命令で探していた」と言われ座標の地へと案内される。
そこでエマ達が出会ったのは、すっかり成長したノーマンだった。
新たな約束とごほうび
思いもよらぬ再会に涙するレイたち。
しかし優しかったノーマンはすっかり変わり果て、鬼を全滅させると言い出したことにエマは戸惑いを隠せない。
ムジカやソンジュのような鬼もいると知ってしまった以上、賛同できないと感じたエマはノーマンを止めるため新たな約束を結ぶ旅に出る。
【あらすじ④】王都決戦と結末(コミックス17〜20巻)
王都決戦
エマとレイが7つの壁に挑んでいる間、ノーマンの一行は王都へ進軍。邪血の力があれば全滅させる必要はないと説得できると信じたドンとギルダはムジカたちを探すが、同行したハヤトは邪血を見つけ次第殺すようノーマンからの内命を受けていた。
ついにムジカ・ソンジュと再会を果たし2人が喜んだのも束の間、つけてきていた隠密隊が周囲をかこみ襲いかかる。しかし圧倒的な力の差・ラムダ出身の子どもたちに発作が起きてしまい、降参するのだった。
ノーマンが王都を攻撃することをムジカに伝えたギルダは、涙を流して一緒にノーマンを止めてと懇願する。
一方エマは新しい約束を結び終え、レイたちと共に王都へと向かっていた。
王都に侵入したノーマンは強制退化を促す毒を撒く。さらに食用児の無血開城のため、かつて王位を追われたギーラン卿と手を組み、王家に復讐するようけしかけ戦争が勃発。
思惑通り事は進み、ギーラン卿と女王の一騎討ちの決着がついたタイミングで今度はノーマンたちが生き残った女王の核を壊すのだった。
駆けつけたエマは、大量の鬼の死体に一歩遅かったと気付く。それでも全滅を辞めさせようとノーマンを説得し、かつての優しさを取り戻すことに成功した。
だがトドメを刺したはずの女王が王家の血のみ受け継がれる第二の核を使って起き上がり、状況は一転して最悪に。手当たり次第に食べ、傷ひとつない状態に回復した様子の女王に、重要戦力のザジを失ったノーマンたちは圧倒される。
そこへムジカとソンジュが駆けつけ、ソンジュは女王の弟として姉弟戦に。しかし決着がつく前に過剰摂取の症状が出た女王は、これまで食べてきた者たちの記憶や無念に侵され、自滅してしまうのだった。
さらわれた子どもたち
王都のことをムジカとソンジュに任せたエマたちは、アジトに戻るがそこに子どもの姿はなく。みんながピーター・ラートリー率いる敵兵にGFハウス連れ去られたことを知ったエマたちは、全員奪還すべくGFハウスへ乗り込むことに。
王都ではラートリー側の鬼による邪血狩りが行われ、ソンジュとムジカは逮捕。解毒のために邪血を飲んだ鬼も処刑されてしまう危機的状況に追い込まれるが、自身さえも知らなかった第二の核によって復活したレウウィスが現れ混乱を鎮めるのだった。
一方GFハウスでは、イザベラとピーターがエマたちを待ち構えていた。
ハウスに侵入したエマたちはピーターを出し抜いてとらえ、人質になった仲間を助けようとするが、銃を構えたシスターたちに囲まれてしまう。
一同を率いるイザベラと対峙したエマに緊張が走るが、イザベラは脱走から今までについての結果を「満点」だと褒め、シスター全員でピーターに反旗を翻すのだった。
まさかの裏切りにあい、追い詰められたピーターは近くのシスターから銃を奪って乱射し、王都に援軍を求めるが既にエマ側の手に落ちたと知って敗北を確信。最後のあがきでエマを道連れにしようとするが、憎しみに喘ぎながらも連鎖を終わらせたいと望むエマの姿に改心し、自決するのだった。
人間の世界へ
王都では新たな王としてムジカが選ばれ、食用児の廃止が決定。エマたちはフィルをはじめとした置いてきた家族に再会し、涙を流す。
だがみんなが人間界へ渡れることに喜ぶ中、人間の肉が食べられなくなることに不満を感じた鬼が子どもを襲い、身を挺してかばったイザベラは息を引き取ってしまった。
こうして鬼・人間どちらも多くの犠牲者を出した戦いは終結し、エマたちはGFの地価に隠された通路へ。
エマの交わした約束によって全員人間界へ渡るが、エマだけは記憶喪失状態で遠く離れた僻地へ送られてしまう。
エマがいないことに気付いたノーマンたちは毎日手分けして世界中を探し、ついに見つけ出す。だが再会に喜ぶどころか怯えた表情を浮かべるエマを見たノーマンたちは、要求されたご褒美が「家族」だったことに勘づき、涙を流す。
その顔を見たエマは何も思い出せないながらも胸の奥からこみ上げる何かを感じ、「ずっと会いたかった気がする」と涙をこぼし一緒に生きる約束を交わすのだった。
漫画『約束のネバーランド』の登場人物
グレイス=フィールド・ハウス出身の食用児たち
エマ
抜群の運動神経と優れた頭脳を持つ11歳。底抜けの明るさが取り柄。
自分たちが鬼のための食用児だと知り、全員でハウスを出ようと計画する。
レイ
11歳。幼児健忘がないため、最初からハウスの秘密を知っていた。エマ・ノーマンを逃がすため、長年イザベラのスパイとして暗躍。実はイザベラの息子でもある。
ノーマン
11歳。分析力に優れたグレイス=フィールド・ハウスいちの天才。身体が弱い。
心優しく、人のために在ろうとするあまり自分を犠牲にしがち。
ギルダ
涙もろく、優しい10歳の少女。内気だが芯のある性格で、エマたち3人に次ぐ頭脳の持ち主で優れた思考力を持つ。エマと一緒に兄弟姉妹の世話をする係で仲がいい。ハウスの真実を知り、脱獄計画に協力した。
ドン
10歳の男の子。同い年のギルダと仲がいい。負けず嫌いで、やや突っ走り気味な性格。グレイス=フィールド・ハウスの子どもたちの中で一番背が高い。脱獄計画を知り、手を貸す。
フィル
天才と呼ばれる4歳児。人懐っこく、とても頭がいい。脱獄に加わらなかったメンバーの中で唯一事情を知る子どもで、エマたちが脱獄したあとは家族を守ろうと立ち回る。
シスター(ママ)
イザベラ
グレイス=フィールド・ハウスのシスター。優れた子供たちを育て上げてきた実績から、鬼側の信頼を勝ちとっている。真実に気付いたエマたちを逃がさないよう牽制するが……。
クローネ
脱獄計画に気付いたイザベラに、見張り役として呼ばれたシスター。
野心が強く、イザベラを失脚させてのし上がろうとするが……。
元農園の食用児
ユウゴ
かなり昔に違う農園から逃げ出した元食用児の生き残り。
エマたち同様、仲間と逃げてきたがゴールディ・ポンドに拉致され仲間を失った。そのことから他者と深く関わることがトラウマになっており、シェルターにたどり着いたエマたちを追い出そうとする。
鬼
レウウィス
鬼の王家に連なる出自で、大公の爵位を持つ。
ゴールディ・ポンドで違法に狩を楽しんでいた一味のひとり。小さな猿のような鬼を飼っている。
狩り、狩られる対等な関係でこそ面白いと考えていて正面切って刃向かってきたエマに執着するように。
ソンジュ
宗教上、人間を食べない鬼。他の鬼たちを避け、ムジカと行動を共にしている。農園から逃げてきたエマたちを匿い、外での生き方を教えるが……?
ムジカ
邪血と呼ばれる鬼。人間を食べなくても退化しないうえに、血の一滴を分け与えるだけで他の鬼たちの退化も食い止めることが可能。だが鬼を掌握したい一部の派閥にとって都合の悪い存在ゆえに命を狙われ、ソンジュと隠居生活を強いられている。
農園から逃げてきたエマと意気投合し、七つの壁を目指すようアドバイス。お守りとしてペンダントを渡した。
協力者
W・ミネルヴァ
モールス信号を使って、本のあちこちに外の世界に繋がるヒントを記していた食用児の味方。ペンに座標を示したり、シェルターを隠したりと、あらゆる方法で食用児の手助けをしている。はっきりとした正体は不明。
漫画『約束のネバーランド』のトリビアと伏線考察
ロゴの3本線はエマ、ノーマン、レイを指す
原作者の白井カイウ先生によると、漫画『約束のネバーランド』のロゴにデザインされている「バ」から真っすぐ伸びた三本線は上からノーマン・エマ・レイの3人を指しているのだとか。
単行本ではノーマルバージョンのみ印刷されましたが、週刊少年ジャンプ本誌ではノーマンが出荷されることになった回(第30・31話)はノーマンの線が消されエマ・レイを表す2本線のみになっていました。
首の数字(識別番号)の法則
グレイス=フィールド・ハウス出身の食用児の首筋に書かれている5桁の識別番号。
一見、なんの規則性もないかと思いきや、よくよく見ると全員下2桁が「94」で統一されていたり……となにやら法則性のありそうな予感。
実はこの番号を逆にすると、子どもの生まれた順になっていることが分かるんです。
1月15日生まれのレイは「81194」→「49118」
3月21日生まれのノーマンは「22194」→「49122」
8月22日生まれのエマは「63194」→「49136」
遅く生まれた子どもほど数字が大きいですよね。
ダブりがなく、管理しやすい合理的な方法ですが現実世界での牛や豚の管理方法と同じというのが、鬼の世界に生きる子どもは家畜同然なのだということを暗に表しているのでしょう。
量産型農園は現実世界にも存在する
エマたちが育ったグレイス=フィールド・ハウスは質を重視していたため、毎日テストはあれど比較的自由にのびのびと暮らすことができていました。
その一方で食べることだけを目的とした農園も存在し、そこでは劣悪な環境で子どもに栄養を与えて太らせ、量産し、出荷するという敬意の欠片もない方法が取られています。
第113話ではそんな農園の一端が描かれ、ショックを受けた方も多かったようですが実は量産型農園は現実にも存在します。それが高級食材「フォアグラ」の飼育方法なのです。
フォアグラとは、ガチョウの肥大した肝臓のこと。これを意図的に量産するにはガチョウを壺やゲージに入れて運動量を減らし、強制的に餌を食べさせる必要があります。もちろんこんな食生活をさせれば人間でいう生活習慣病まっしぐらなので、死亡率も高いのが現実です。
これが量産型農園のモデルになっているか定かではありません。しかし本作品を見る上で鬼のしていたことに近い行為を人間がやっている、という事実は知っておいたほうがいいでしょう。
エマの記憶が少しだけ残っていた謎
約束の報酬として「家族」を奪われてしまったエマ。
ネバーランドにいた頃のすべての記憶を失った状態で、ひとり僻地に飛ばされていたもののノーマンたちの懸命な捜索で物語の最後にみんなと再会し、記憶はないながらも涙を浮かべる……というシーンで締められました。
これは、おそらくペンダントによる効果と思われます。
漫画内でもクヴィディタラにいる竜にはすべてを見通す力があり、みんながその目を欲して押し寄せるとの文書が残されていました。
これは逆にいうと「目の力を手に入れることは可能」ということではないでしょうか。
今は衰退しているようですが、昔は盛んに信仰されていた神のようですし、エマが貰ったペンダントは竜の加護が備わった物だったのかもしれません。ムジカもお守りと言っていましたし、一族に代々受け継がれていたとか、そんな背景もあるかもしれませんね。それを持っていたからこそ記憶を消されてなお、エマはノーマンたちへの感情が思い起こされたのではないでしょうか。
推測の域を出ない話ではありますが、ペンダントが印象深く描かれていたことから何かしらの関係があるのは間違いないと思います。
レイの本当の誕生日
レイの誕生日は公式上1月15日とされていますが、コミック5巻の折り返しに「レイの本当の誕生日は他にある」とコメントがついていたことから、ファンの間で様々な考察がなされました。
現時点でなぜ誕生日が違うのか、本当の誕生日がいつなのか、どのような意図が隠されているのか正式な発表はありませんが、個人的にはイザベラの親心によるものだったのではないかと推測しています。
というのも保育士など教職についている方は、基本的に我が子を受け持つことがないよう配慮されていることが多いです。
ましてや約ネバは子ども=食料。
そんな中、もし自分の子を担当すれば親心から逃そうとするシスターが出てくる可能性が高いため、鬼側も避けていたのではないでしょうか。
イザベラは能力を買われ、生き残るためにシスターの道を歩みましたが本当はとても勇敢で芯のある女性です。生まれた順番を改ざんすることで親子関係を誤魔化し、せめて成長を見守れるよう細工したのかもしれません。
どのタイミングで識別番号が首に彫られるのかは不明ですが、いくら何でも生まれて間もない頃に……というのは考えにくいですし、番号が彫られる前に他の子どもと入れ替えた、というのが一番しっくりくる気がします。
ノーマンが鬼語でアイシェに話しかけた内容
散々苦難を強いられてきた食用児たちを安心させるため、鬼を殲滅しようとしていたノーマン。しかしコミックス18巻のエマの説得により本心を明かし、以前の心優しさを取り戻した彼はアイシェに向かって鬼語で何かを言い放ちます。
アイシェの戸惑ったような顔やノーマンの緊張した表情、最終話でアイシェにも今のところ殺されずに済んでいると話したことから察するに「親の仇をとりたければ構わない」的なことを言ったのではないか……という説が有力です。
映画『約束のネバーランド 』と原作漫画の違い
1番の違いは、主人公となるエマたちの年齢が大幅に引き上げられたこと。原作では6歳~12歳の間に出荷されるという設定で、最年長のエマ・ノーマン・レイは11歳の子どもでした。
しかし映画では出荷時期が最大16歳までに引き上げられ、エマ・ノーマンが15歳、レイは13歳という設定になっています。
また黒人女性だったクローネも日本人に変更され、渡辺直美さんが演じました。
アニメ『約束のネバーランド 』と原作漫画の違い
一期までは比較的、原作に忠実だったアニメ版ですが二期は多くの違いが見られました。
<主な違い>
- ユウゴが登場しない
- GP編が全カット
- ノーマンの早すぎる登場
- アダムが登場しない
- 王都決戦編もカット
など全体的にカットが目立ち、かなり駆け足感を抱かせる違いが多々ありました。
また邪血についてのオリジナル展開があったりと二期はオリジナル性が強く、一期のような忠実性を期待していたファンからは批難の声も多く上がる結果となりました。
まとめ
作品の至るところに伏線が散りばめられ、謎が紐解かれるごとにファンを圧倒した『約束のネバーランド』
年端のいかない子どもたちが鬼の食べ物として飼育されるという、やや残酷な設定ですがストーリーには人間への問いかけが多く含まれており、深く考えさせられる作品です。
まだ明かされていない謎もあるので、ぜひ漫画を読んで考察してみてくださいね。