映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のネタバレあらすじ解説|美しく切ない吸血鬼を描く名作
映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』は、1994年に公開されたアメリカのヴァンパイア映画・ゴシックホラー映画。
トム・クルーズとブラッド・ピットが主演を務め、2人は鋭い牙を持ち永遠の時を生きる吸血鬼を演じました。美しくも切ないヴァンパイアの人生を描いた物語です!
1993年に死去した俳優リヴァー・フェニックスの出演が決定していた作品として知っている方も多いかもしれません。リヴァーはダニエル・マロイ役で出演予定でしたが、前年に亡くなってしまったため出演は叶わず、代役が立てられました。
この記事では、そんな映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のあらすじやキャスト、見どころをご紹介していきます。
※本記事はネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意ください。
目次
映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』について
出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』は、1976年に出版されたアン・ライスの小説『夜明けのヴァンパイア』を原作とした映画です。2002年には、続編となる映画『クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』が公開されています。
記者のインタビューによって、あるヴァンパイアの数奇な人生が紐解かれていく様子を描いたこの作品は、豪華なキャストが話題を呼びました。また、舞台美術などが高く評価され、アカデミー賞では作曲賞・美術賞の2部門にノミネートされています。
ヴァンパイア映画といえば『ダーク・シャドウ』(2012年)や「トワイライト」シリーズ(2008年〜)なども有名ですが、最も長く愛され続けているヴァンパイア映画は、この『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』であると言っても過言ではないでしょう。公開から30年近くが経っても、廃れることのない名作です!
10秒で分かる!映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の簡単なあらすじ
出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
アメリカ、サンフランシスコ。とある建物の一室で、記者のダニエル(クリスチャン・スレーター)が紳士風の青年ルイ(ブラッド・ピット)にインタビューを始めました。テープレコーダーを回して、職業を尋ねると、ルイはごく真面目な口調で「ヴァンパイアだ」と答えます。
そして、彼は200年以上前から始まったという、信じがたい半生を語り始めますーー。
映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のネタバレあらすじ
【あらすじ①】レスタトとの出会い
出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
記者のダニエル(クリスチャン・スレーター)が、ある紳士風の青年にインタビューを始める。「ヴァンパイアだ」と言うその青年ルイ(ブラッド・ピット)の言葉を信じないダニエルに、ルイは高速移動の能力を見せて信じさせる。
そして、彼は自身の半生を語り始めたーー。
18世紀末、アメリカ。妻と子を失い絶望の淵にいたルイ(ブラッド・ピット)は、死を望んでいた。そんな彼に興味を持ったのが、レスタト(トム・クルーズ)という名のヴァンパイアだった。彼はルイに近づき、首に噛み付く。
「選ぶのはお前だ。このまま死ぬか、それとも俺と来るか?」そう尋ねられたルイは、行くと答えた。レスタトは自らの腕を切ってルイの口元に血液を垂らす。
そうしてレスタトの血を飲んだルイは、吸血鬼として生まれ変わったのだった。生き血を飲み、永遠に生きるヴァンパイア……。レスタトは、永遠を共に生きる伴侶にルイを選んだのである。
【あらすじ②】甘い罪悪感
出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
レスタトは、平気で人の血を吸ってはその命を奪うヴァンパイアだ。人間の命を奪うことにどうしても抵抗があるルイは、吸血鬼にとっての非常食である動物の血を飲んで過ごしていた。だが、飢えは強くなっていき、日ごとにルイを苦しめる。
レスタトは「どうせ一週間も持たないさ」などとルイを挑発し、2人は言い争うのだった。
そんなある時、ルイは両親を失った少女クローディア(キルスティン・ダンスト)に出会う。助けを求める少女を抱きしめたルイは、思わずその首元に噛み付いて血を吸ってしまった。
そこへレスタトが現れ、ついにルイが人間の血を吸ったと大喜び。レスタトの言っていた通り、血を吸うと甘さと平安を感じたルイは戸惑い、自分自身に怯える。
クローディアはまだ死んでいなかった。レスタトは、このまま死なせるか、それとも自分たちと同じようにヴァンパイアにするかをルイに選ばせる。ルイには、殺すことは選択できなかった。レスタトが自分の血を飲ませると、クローディアは美しいヴァンパイアの少女に生まれ変わった。
レスタトには、ルイがその少女を愛し、その結果自分の元を離れられなくなることがわかっていたのだ……。
【あらすじ③】クローディアの復讐
出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
無邪気で好奇心旺盛なクローディアは、貪欲に人間の血を吸い、殺すようになった。しかし、30年が経っても見た目は少女のまま。クローディアは大人の女性の容姿になることを望むようになり、自分をヴァンパイアにしたレスタトを恨むようになっていった。
「私がなぜヴァンパイアになったのか話して」と言うクローディアに、ルイは涙ながらに全てを打ち明ける。自分が血を吸い、レスタトが血を飲ませたのだと……。
クローディアは、自分を愛し親代わりになってくれたルイを憎むことはできなかった。だが、「永遠の命を与えた私に感謝すべきだ」と言うレスタトへの怒りは膨らんでいく。
そこでクローディアは、仲直りの贈り物だと嘘をつき、自分の血を飲ませた少年をレスタトに差し出す。少年の血を飲んだレスタトは苦しみだした。ヴァンパイアは、死人の血は飲んではいけなかった。
さらにクローディアはレスタトの首をナイフで切り裂く。そこへルイが訪れ、その光景に驚く。
2人はレスタトを川に沈め、ヨーロッパへ旅立つことにした。だが出発の日、川でワニの血を得て生き延びていたレスタトが2人の前へ現れて襲いかかる。ルイがとっさにろうそくを投げると、レスタトは火に包まれ、やがて街は大きな火事になった。2人はなんとか船にのり、ヨーロッパへ向かったのだった。
【あらすじ④】善と悪
出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
1870年、パリ。2人は長い間ヴァンパイアの仲間を探していたが、見つけられずにいた。諦めようとした頃、ある男と出会う。それは、劇場を営みながらその地下に住むバンパイア集団のリーダー、アーマンド(アントニオ・バンデラス)だった。
彼らは、ルイがレスタトとクローディア以外に初めて会ったヴァンパイアであった。アーマンドは、人間の魂を持ったままのルイに興味を持つ。一方でルイは、彼らもまた人間を殺すことを悪としていないと知り、「自分はレスタトを悪い吸血鬼だと誤解していたのだ」と感じていた。
そんな中、劇場のヴァンパイア達がルイとクローディアを捕らえ、劇場へ拉致する。そして、クローディアを死刑に、ルイを箱詰めの刑に処した。ヴァンパイアの世界では、「同族を殺すこと」が唯一死に値する罪だったのだ。
アーマンドに救い出されたルイだが、クローディアはすでに死んでいた。怒りに支配されたルイは、バンパイアたちが眠る劇場の地下にガソリンをまき、火をつけて彼らを殺し、復讐を果たすのだった。
【あらすじ⑤】インタビューの終わりに
何年か放浪したのち、ルイはアメリカへ戻る。ヴァンパイアになってから200年以上が経った1988年のある日、町でかすかな死臭を感じた彼は、その死臭を辿ってとある屋敷へ入る。すると、そこではレスタトがルイを待っていた。彼はすっかり衰え、以前の美しい姿ではなかった。
レスタトはルイに元に戻る力をくれと縋ったが、ルイはそのまま彼の元を去る。そうして、彼とはそれきりだーー。
「僕はただ夜を生きるだけ。変化はなく、空虚な日々だ」と言うルイ。だが、ヴァンパイアという生き方にすっかり魅了されたインタビュアーのダニエルは、僕を仲間にしてくれとルイに懇願する。
「人を食って生きたいのか!?」激昂したルイに怯えたダニエルは急いでその場を立ち去る。車に乗り込み、録音したルイのインタビューを再生しながら運転する。
すると突然、バックシートからレスタトが現れ、ダニエルの首を噛んだ。そして言う。「選ぶのはお前だ」
映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のキャスト
ルイ・ド・ポワント・デュ・ラック/ブラッド・ピット
出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
ヴァンパイアになっても人間の心を失わない、美しい魂を持つ青年ルイ。200年以上前にレスタトに首を噛まれ、ヴァンパイアになります。
ルイを演じたのは、大人気スター、ブラッド・ピット。1994年公開である本作は、『セブン』(1995年)や『ファイト・クラブ』(1999年)よりも前に出演した作品です。
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008年)と『マネーボール』(2011年)ではアカデミー主演男優賞にノミネートされ、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)でアカデミー賞助演男優賞を受賞しています。
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出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
レスタトは自由奔放でわがままですが、心に深い孤独を抱えるヴァンパイアです。死ぬかヴァンパイアになるかの選択の余地もなくヴァンパイアにされた過去を持ちます。原作では主人公ですが、映画では準主役のポジションとして描かれました。
そんなレスタトを演じたのは、ハリウッドスター、トム・クルーズ。映画『トップガン』(1986年)や『7月4日に生まれて』(1989年)などに出演し、当時既に大活躍していました。
その後も『ミッション:インポッシブル』(1996年)、『ラスト サムライ』(2003年)など数々の話題作に出演。2022年には『トップガン マーヴェリック』『ミッション:インポッシブル7(仮題)』が公開予定です!
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出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
ダニエルは、ルイにインタビューをする記者。野心に溢れる平凡な青年です。
ダニエルを演じたのは、クリスチャン・スレーター。この役は前年に急死したリバー・フェニックスが務める事が決まっており、クリスチャン・スレーターは代役でキャスティングされました。
本作への出演料全てを、リヴァーが支援していた団体に寄付しています。
子役時代から活躍し、映画『薔薇の名前』(1986年)や『トゥルー・ロマンス』(1993年)で注目を獲得。2015年からはドラマ『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』のメインキャストとしても知られています。
クローディア/キルスティン・ダンスト
出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
クローディアは、ルイとレスタトの仲間になる美しい少女です。
演じたのは、3歳から芸能界へ入ったキルスティン・ダンスト。当時12歳だった本作での好演でゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされ、また同年公開の映画『若草物語』でも高い演技力を見せたことで一躍人気子役になりました。
近年は、初代「スパイダーマン」シリーズのヒロインや、2015年に始まったドラマ『FARGO/ファーゴ』シーズン2のメインキャストなどで知られています。
アーマンド/アントニオ・バンデラス
出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
ルイがパリで出会う、「ヴァンパイア劇場」の支配人で、ヴァンパイア集団のリーダー。400年以上も生きている、美しくも怪しいヴァンパイアです。
演じたのは、スペイン出身の俳優アントニオ・バンデラス。スペイン映画界で活躍後、1992年にハリウッドデビューを果たしています。本作の出演や、映画『デスペラード』(1995年)での主演で注目を集めました。
近年は、映画『私が、生きる肌』(2011年)や『オートマタ』(2014年)などに出演。また、映画『ペイン・アンド・グローリー』(2019年)では自身初のアカデミー主演男優賞にノミネートされました。
映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のみどころ
①豪華キャストの美しき共演
出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の見どころは、何と言ってもヴィジュアル的な美しさ。特に、今ではアクション俳優というイメージの強いトム・クルーズ扮するヴァンパイアは、とても美しく魅力的です。
もちろん、若きブラッド・ピット演じるヴァンパイアも素敵。キルスティン・ダンスト演じる、凛々しく芯の強い少女ヴァンパイアに惹かれる方も多いでしょう。屋敷や衣装、メイクなども作り込まれ、耽美でロマンチックなヴァンパイアの世界が見事に表現されています。
また、トム・クルーズとブラッド・ピットという意外性のある組み合わせも魅力のひとつ。2人は不名誉なゴールデンラズベリー賞「ワーストスクリーンカップル賞」を受賞してしまいましたが、それだけ「カップル」的な雰囲気が注目されたという事でしょう。トム・クルーズ演じるレスタトがブラッド・ピット演じるルイの首を噛むシーンや、血を飲ませるシーンは、なんだかドキドキしてしまう方も多いはずです。
このキャスティングについて、実は原作者のアン・ライスは当初公に批判していました。「(トム・クルーズの配役は)とても変。どうしてこれでうまくいくのかほとんど想像できない」「クルーズとピットなんて、まるで『トム・ソーヤーの冒険』のトムとハックみたいよ」などと発言していたのです。
しかし、出来上がった作品を見たアン・ライスは大満足。「彼が登場した瞬間から、トムは私にとってレスタトだった」などと語り、お詫びと愛のしるしとしてデイリー・バラエティ誌に自費で広告を掲載しました。
「トム・クルーズのヴァンパイアだなんて変に決まってる!」と感じている皆さんも、見てみるとその考えがひっくり返るかもしれませんよ!
②孤独や苦悩をテーマにした切ない物語
出典:映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』公式Facebook
映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のストーリーは、終始ダークです。決して華やかなヴァンパイアの愛や生活を描いた作品ではなく、永遠の命ゆえの孤独や、生き血を吸う罪悪感、苦悩を描いたものなのです。
自分の孤独を理解して欲しいレスタト。人の血を吸うたびに心が死に、「自分は地獄へ行くべき存在だ」と信じるようになるルイ。大人になれず嘆くクローディア……。
とはいえ、ドラマチックな演出や演技、舞台美術によって、ファンタジックで華やかな映画に仕上げられているため、暗鬱としすぎないエンタメ作です。
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のドラマ化が決定!
2021年6月、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の原作小説『夜明けのヴァンパイア』がドラマシリーズ化されることが発表されました。タイトルやキャスト、プロットなどはまだ発表されていませんが、2022年にアメリカで放送され、ストリーミングサービス「AMC+」にて配信されることが決定しています。
また、ドラマは全8話で、製作総指揮はドラマ『ブレイキング・バッド』や映画「ナルニア国物語」シリーズを手がける名プロデューサー、マーク・ジョンソンの予定です。
映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を超えるような魅力的なドラマになるのでしょうか?続報に注目しましょう!
まとめ
美しきヴァンパイアの世界を描く映画はたくさんありますが、これだけの豪華キャストが共演し、ヴィジュアル的に成功した作品はなかなかありません!古い映画だからこその映像や演出の雰囲気もまた魅力です。
美しくダークなヴァンパイア映画を見てみたい方は、ぜひ『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を視聴してみてください。ストーリーを知っている方でも楽しめますよ。
また、ドラマ版『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の続報も楽しみに待ちましょう。