映画『シザーハンズ』のネタバレあらすじ|切ないファンタジー映画が今も愛される理由は?
ジョニー・デップとティム・バートンの初タッグ映画として有名な「シザーハンズ」。人造人間と1人の少女が繰り広げる温かくも切ないファンタジー作品で、人の心や関わり方について考えさせられる内容になっています。
そんな「シザーハンズ」ですが、公開年は1990年なので、なんと31年も前に公開された作品ということになります。31年前に公開されているというだけでかなりの驚きですが、31年間愛され続けていたというのも驚きで、それほど観ている人の心を掴んでいる名作だと言えるでしょう。
今回は、この「シザーハンズ」のネタバレあらすじを始め、キャストやキャラクターの紹介・「シザーハンズ」の見どころ・裏話やトリビアなどを徹底解説していきます。
目次
映画『シザーハンズ』について
1990年公開の映画「シザーハンズ」。無垢で純粋な1人の人造人間と少女が繰り広げる切ないファンタジー作品として人気の作品です。
主演のジョニー・デップですが、今となってはトップスターでも、「シザーハンズ」公開時はまだまだ俳優として駆け出しのころであまり知名度も高くありませんでした。そんな若かりしころのジョニー・デップの初々しさも楽しめる作品となっています。
また、雪が降る作品ということから、クリスマスシーズンに人気の映画でもあり、この時期に毎年見返しているという方も多いです。
10秒でわかる!『シザーハンズ』の簡単あらすじ
製造過程で発明家が死んでしまったため、手だけ人の形を与えられなかった人造人間、エドワード・シザーハンズ(ジョニー・デップ)。彼の手は、その名の通り、ハサミでできていたが、心は純粋無垢そのものだった。
ある日、ペグ(ダイアン・ウィースト)と出会うことで、彼はペグの家で暮らすように。そんな中エドワードはペグの娘キム(ウィノナ・ライダー)に恋をする。純粋なエドワードに心を許し始めるキムだったが、彼の手であるハサミは本人の意図とは逆に人を傷つけてしまい・・・
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【あらすじ①】エドワードとの出会い
その昔、「ハサミの手をもつ人がいた。」とキムおばあちゃん(ウィノナ・ライダー)が孫娘に昔話をするところからストーリーは始まる。それは遠い昔、ペグ(ダイアン・ウィースト)はいつもどおり化粧品セールスの仕事で近所の家を訪問していた。
なかなか売上が立たず落ち込む中、ふと見た車のバックミラーには丘の上の不気味で大きな城が映る。ペグはもしかしたら化粧品を買ってもらえるかもしれないと恐る恐る城へ向かうも、そこに居たのはハサミの手をもつ未完成の人造人間、エドワード(ジョニー・デップ)だった。
彼を作った発明家(ヴィンセント・プライス)はすでに亡くなっており、城にずっと1人で暮らしてきたと聞いたペグは、どうにかしなければとエドワードを自宅に連れて帰り、服や寝床を与えることに。また、夫であるビル(アラン・アーキン)と息子のケヴィン(ロバート・オリヴェリ)にエドワードを紹介し、ここに住まわせると説明するのだった。
【あらすじ②】街の有名人になったエドワード
翌日、ペグが暮らす街では「ペグが知らない男を連れていた」とすっかりエドワードのことが話題に。お披露目会をしてほしいと街の女性たちに押し掛けられる一方、エドワードはハサミの手と器用さを生かして、自宅にトピアリーを作ったり料理の手伝いをするのだった。
準備が整いお披露目パーティーが始まると、街のみんなはエドワードのハサミに興味津々。また、トピアリーの完成度の高さから自分の家の庭の手入れもしてほしいと注目されることに。
時間が経ち深夜。ペグのもう1人の子供であるキムが夜遊びを終えこっそりと帰宅する。ここでエドワードは始めてキムに会ったのだが、初対面の知らない男が自分の部屋にいたこと、また、翌日キムの服の上に誤ってステーキを落としてしまったことから、2人は距離感のある関係性になってしまう。
一方で、庭の手入れのお手伝いはかなり順調。犬のグルーミング、さらには人のヘアカットまで注文が入るように。もちろんペグもカットしてもらったのだが、これをきっかけにキムはエドワードのことを少し見直したのであった。
【あらすじ③】負の連鎖の始まり
エドワードのトピアリーやヘアカット・グルーミングの才能から、ペグたち家族も街の住人たちもエドワードにお店をもつことをすすめてくるようになった。一方、距離感のあるエドワードとキムだったが、エドワードは次第にキムに特別な感情を抱くようになっていく。しかし、キムにはボーイフレンドのジム(アンソニー・マイケル・ホール)がいてエドワードが入る隙間はない。
そんな中、ジムの家に侵入して車を盗むという計画がジムによって持ち上がる。キムはもちろん反対したものの自分たちの車が欲しいという理由で渋々同意。そしてエドワードもこの計画に巻き込まれるのだった。
当初、エドワードはハサミを使って鍵を開けるだけという計画だったが、鍵を開けて家に侵入した瞬間、防犯ロックがかかってしまいエドワードだけが取り残されてしまうことに。心配したキムは何度も戻るようジムに言いますが、結局エドワードは逮捕されてしまう。
このことをきっかけにキムはジムに愛想をつかして破局。一方、エドワードは育ってきた環境の劣悪さから善と悪の区別ができないと診断され、釈放はされたものの街の住人から避けられるようになってしまう。また、キムとジムが一緒にいるのを目撃して苛立ちが込み上げ、部屋の中の壁紙を切り刻んでしまうのだった。
【あらすじ④】勘違いの重なりで切ないラストに
こういうときだからこそ、いつもと同じように過ごすのがいいと感じたペグは、毎年行っているクリスマスパーティーを今年も開催すると街のみんなに伝える。しかし街のみんなは行くつもりはなかった。
そんな中、自宅の庭でクリスマス用の氷の彫刻を作っているエドワードのもとにキムがやってくる。キムは削り落ちた氷がまるで雪のようで綺麗だったため、その場で踊り出すも、キムに気づかなかったエドワードの手があたってキムは怪我をしてしまう。
そして、これまたタイミング悪く、ジムがその場に居合わせてしまいエドワードを追い出してしまうのだった。エドワードは大切な人を不本意ながらも傷つけてしまったことやジムと衝突したことから、自分の気持ちを抑えられず辺りを徘徊しこれまでに作ってきたトピアリーを傷つけてしまう。
また、道中でケヴィンを助けたつもりが襲われたと勘違いされたことから、街の住人に敵対視され、警察に終われる展開に。
結果として山の城に逃げ帰ることになるも怒りや恐れが収まりきらない住人は山の城まで追ってくる。しかし、一足先にジムがエドワードのもとを訪れ、いきなりエドワードに襲いかかるのだった。また、キムも心配して城にきていたのだが、キムの前でジムとエドワードは揉み合いになり、最終的にはエドワードのはさみの手でジムを刺し殺してしまう。
これ以上一緒にいられないと感じた2人は、想いが通じ合ったものの別れることに。そして現代。城では変わらない姿で氷の彫刻を作るエドワードの姿があった。キムおばあちゃんは、この話は自分に起きた話であれ以降エドワードに会っていないと孫娘に伝える。
しかし、雪が降らなかったこの街にあの別れ以降雪が降り続いているからきっとエドワードは生きていると確信するのだった。
映画『シザーハンズ』のキャスト・キャラクター紹介
エドワード・シザーハンズ/ジョニー・デップ
本作の主人公で、ハサミの手をもつ人造人間。城に籠っていた生活から一変、人との関わりを増やしていく。
そんなエドワード・シザーハンズを演じるのはジョニー・デップです。
これまでには、「パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズ」や「ネバーランド」、「チャーリーとチョコレート工場」、「アリス・イン・ワンダーランドシリーズ」、「ファンタスティック・ビーストシリーズ」など、世界的な大ヒット作品への出演を果たしています。
また、続編が決まっている作品も多いので、ジョニー・デップの独特な世界観や雰囲気をまた楽しめるの日が来るのが待ち遠しいですよね。
キム(キムおばあちゃん)/ウィノナ・ライダー
本作のヒロインでペグの娘。エドワードとは次第に心が惹かれあっていくも結ばれることがない。そんなキム役を演じたのはウィノナ・ライダーです。これまでに、「恋する人魚たち」や「エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事」ではゴールデングローブ賞助演女優賞受賞。
「若草物語」ではアカデミー主演女優賞を受賞したという実績があります。また、近年はドラマにも積極的に出演しています。
ペグ/ダイアン・ウィースト
エドワードを山の城から連れ出してくれたお母さん的な存在。いつもエドワードの味方で優しく温かい心をもつ。そんなペグを演じたのはダイアン・ウィーストです。
デビュー作は1982年公開の「暗闇からの脱出」で、その後「ハンナとその姉妹」と「ブロードウェイと銃弾」ではアカデミー助演女優賞を受賞しています。最近では「運び屋」や「パーフェクト・ケア」などに出演。まだまだ現役で活躍する女優さんです。
ジム/アンソニー・マイケル・ホール
キムの恋人で傲慢かつ自分勝手な性格。キムを一途に好きである一方、キムのことを好きなエドワードを煙たがっている。
子供のころからCM出演を果たしてきたアンソニー・マイケル・ホールですが、映画出演はもちろん、テレビドラマシリーズにも数多く出演してきています。中でも、2002年〜2007年に放送されていた「デッド・ゾーン」では主演を務めており、長期のドラマ出演を果たしています。
発明家/ヴィンセント・プライス
出典:映画『シザーハンズ』公式Facebook(写真中央)
エドワードをはじめ、数多くの便利アイテムを作り出してきた発明家。エドワードにハサミではない人間の手を与えようとした矢先、心臓発作で亡くなってしまう。そんな発明家を演じたのは故ヴィンセント・プライスです。
「肉の蝋人形」や「アッシャー家の惨劇」など、主にホラー映画を中心に活躍してきた俳優さんで、本作、シザーハンズが彼の最後の作品となりました。生前は、マイケル・ジャクソンの「スリラー」やディズニーランド・パリにあるアトラクション、「ファントムマナー」のナレーションを務めたことでも有名です。
映画『シザーハンズ』の3つの見どころ
①ハイクオリティーなトピアリーと氷の彫刻の数々
「シザーハンズ」の作中にはさまざまなトピアリーが登場しています。どれもエドワードによって作られているものですが、恐竜や白鳥・ペンギン・くま・ポーズをとる人、そしてキム一家まで見事に作り上げていてエドワードの器用さが伺えます。
また、ストーリーのラストに登場する氷の彫刻も見事なもので、いくつかある氷の彫刻の中のひとつはキムをイメージして作られていることが分かります。これは何年経ってもキムを忘れていないエドワードの純粋で一途な心が描かれていると言えるでしょう。
②エドワードの一途な想い
発明家が亡くなって以降、エドワードは人と関わることが一切ありませんでした。また、体が未完成というだけでなく、人との関わり方やマナー・善悪の区別など心の面も未完成のままで、教えてくれる人がいませんでした。そのため、無知であるとともに心は子供のように無垢で純粋だったエドワード。
作中では、想い人であるキムのためなら盗みだってしてしまうほど一途で、彼女のためならなんでもやってあげたいと思っているくらい。さらに、釈放された際、ビルに「お金を拾ったらどう行動するのが正しいか」と問いかけられたときには「好きな人にプレゼントする」と答えるほど真っ直ぐで一途な部分が描かれました。
観ていて切なくなる部分も多いですが、初めての恋や一途な想いを応援したくなってしまう、そんな見どころポイントです。
③人の感情の変化
シザーハンズはよくよく観ると、人間の感情の変化がしっかりと描かれている作品で、エドワードに対する憐れみや同情・興味心・親切心はもちろん、嫌悪感や拒絶など、人の心の嫌な部分もしっかりと映し出されています。
ストーリー内では、手がハサミのエドワードに興味をもち、近づきもてはやした後、少しでもよくない噂が流れるとすぐに手のひらを返して、距離をとり離れていくという人の身勝手さが伺えます。
人と人造人間の違いがすごく鮮明に描かれており、道徳心や人の心について考えさせられる内容だと言えるでしょう。
知られざる映画『シザーハンズ』のトリビア
セットではなく実際の街が使われている
「シザーハンズ」に登場する街は、明るくポップなパステルカラーが印象的です。しかしこの街、実はセットではなく実際に人が住んでいる住宅をそのまま借りて撮影地として使われていたのです。
もちろん屋根や壁の色はもともとあの色だったわけではなく、撮影用にカラーリングされていますが、実際に住んでいる住宅を貸し切っての撮影はなかなか珍しいパターンだと言えます。
ちなみに場所はフロリダ州のタンパ近郊の街で、撮影期間中は一時的に住人に住む場所を移ってもらっていたそう。
エドワード役はジョニー・デップの予定ではなかった
今作の主人公であるエドワード役ですが、実は当初、ジョニー・デップが候補に挙がっていたわけではありませんでした。では誰が候補に挙がっていたのかというと、当時、映画「レインマン」でブレイクし始めだったトム・クルーズです。
しかし、ティムや事務所、制作会社の意見の相違やトム・クルーズのスケジュール調整の難しさから結局トム・クルーズの起用は難しくなり、結果的に当時アイドル枠だったジョニー・デップがエドワードを演じることになったのです。何度見返してもジョニー・デップのエドワード役がしっかりハマっているという評価が多く、この起用はあたりだったと言われています。
ティムバートン監督との記念すべき1作目
スリーピー・ホロウやチャーリーとチョコレート工場、ダークシャドウなど、計8作品もの映画を生み出してきたティム・バートンとジョニー・デップの組み合わせ。今となってはお馴染みと化していますが、実は「シザーハンズ」は初めてタッグを組んだ記念すべき作品なのです。
ティム・バートン、ジョニー・デップともに初めて会ったころはまさかここまで長い付き合いになると思わなかったと発言するほど、長い付き合いになった2人。シザーハンズで魅せたジョニーデップの演技力を認めていなかったらここまで長い付き合いなっていなかったかもしれません。
エドワードのモデルはティム・バートン本人?
実は監督であるティム・バートンは昔から変わり者と言われることが多かったそう。自身が育った環境もあまりよくなかったようで、アスペルガー症候群の気質があったとも言われています。また、無口で人付き合いが苦手だったこともあり、学生時代は問題児だったと本人も認めるほど。
これは作中のエドワードにそっくりで、無口なところや暗闇に隠れるところなど、ティム自身を映し出したような行動が伺えます。
「シザーハンズ」には続きがある?
残念ながらシザーハンズには続編がありません。撮影当時、ジョニー・デップはこの作品の続編を希望していたそうですが、実現することはありませんでした。しかし、2021年の2月に30年の時を経て、シザーハンズの息子を描くCMが公開。
息子がメインのCMなのでもちろんエドワードは登場しませんが、エドワードそっくりなエドガーとキムが登場。エドガーの日常を追っています。父と同じくハサミの手なので、ボールに穴を空けてしまったり授業で使うマグネットが手にくっついたりと何気ない生活を送るだけでも大変な様子。
バスに乗車拒否されたことをきっかけに、キムがハサミの手でも運転できる車をプレゼントするというストーリーです。もしもあの後、キムとエドワードが結ばれていたらこんな未来になったのかなと想像が膨らむCMでした。
エドワード役はティモシー・シャラメが演じています。
まとめ
今回は映画「シザーハンズ」のネタバレあらすじや見どころ・トリビアについてご紹介してきました。心温まる瞬間がありながらも常にどこか切なさが感じられる作品で、思わず涙してしまう方も多い本作。皆さんも1度、ティム・バートンとジョニー・デップの世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。