モダンホラー実写の立役者!“フランク・ダラボン”監督作品特集!
不朽の名作と『して知られる『ショーシャンクの空に』を撮った監督、フランク・ダラボンはモダンホラー作品の実写になくてはならない監督です。
モダンホラーとは、現代社会の闇や世の中の不条理からくる恐怖を指しています。有名な小説家であるスティーブン・キングなどの作品がこのジャンルに入ります1
今回は、そんなフランク・ダラボン監督の手掛けた映画4作品を、みどころと撮影委秘話を交えてご紹介していきます!
フランク・ダラボン監督について
出典:Wikipedia
フランス出身のフランク・ダラボン監督(出生名:ダラボント・フェレンツ・アールパード)は、1959年1月28日生まれです。彼は脚本家として歩んできたのですが、スティーブン・キングの作品と出会い、脚本だけでなくメガホンを取る道を選んだ1人です。
フランク・ダラボン監督作品では、キャラクターを丁寧に描くところが最大の特徴だと言われています。キャラクターの背景だけでなく、感情面の細かいところまでを描くので、映画自体が長いと思われる人が多いでしょう。しかし、そこがキーポイントで、感情をしっかり描くことができるからこそ、ストーリーに奥行きが出て、引き込まれるのです。人物を忠実に描くからこそ、モダンホラーの注目したい部分がしっかりと現れてきます。まさに、モダンホラーの立役者と言ってもいい監督ではないでしょうか。
フランク・ダラボン監督の手掛けた映画解説
それでは早速、目をそらしがちな現代社会の闇に真っ向から挑み、人間性をしっかりと描いたフランク・ダラボン監督の映画をご紹介していきます!
1. ショーシャンクの空に
あらすじ
妻と妻の愛人を殺したという無実の罪でショーシャンク刑務所に収監されてしまったアンディ(ティム・ロビンス)は、長年ショーシャンク刑務所に入っているレッド(モーガン・フリーマン)らと出会う。アンディは、収監されるまで銀行の副頭取をしていたため、相続のことで悩んでいた看守に知恵を貸したことから、ノートン所長(ボブ・ガントン)や看守達の税務処理や資産運用を手伝うことになる。賢いアンディにはある計画があった……。
フランク・ダラボン監督も苦労した!『ショーシャンクの空に』の撮影裏話
■アンディが収監されてから、レッドと初めて言葉を交わすシーンは、OKが出るまで9時間もかかった。
■ブルックスがカラスにエサを与えるシーンでは、動物愛護団体からクレームを受け、「エサは釣具店で買ったので大丈夫だ」と説得した。
■フランク・ダラボン監督は、銃に弾丸をこめレボルバーを回すシーンと、アンディが壁に自分の名前を彫るシーンで手だけの出演をしている。
■映画のラストは太平洋という設定だったが、撮影場所はカリブ海にあるバージン諸島で行った。
人物描写が素晴らしい!フランク・ダラボンが撮った『ショーシャンクの空に』
主人公がいつ何時も希望を忘れずに、自分を信じて前に進もうと決めて、一生懸命に生きている姿が実にかっこいいんです。
銀行家だったから金銭的な面は詳しいが、着実に自分の夢に向かっていくさまが素晴らしく描かれています。ヒューマンドラマで男の友情を描いている作品ですが、脚本家らしい目線でつくりあげた希望の物語であることは明確です。
罪を着せられ独房に入れられ、知識をやりがい搾取されてもそれら全てを自分の夢の実現のためのバネとして使う主人公の生き様をぜひ観てもらいたいです。「希望」ってこうやって叶えるものなんだと気づかされる映画です!だからこそ後味がすばらしくいいですよ!悩みや辛さを抱えている人にお勧めしたい映画No.1です。
基本情報
上映時間:143分 監督 :フランク・ダラボン 出演者 :ティム・ロビンス/モーガン・フリーマン/ウィリアム・サドラー 他 受賞歴 : ・第19回 日本アカデミー賞(1996年)外国作品賞 ・毎日映画コンクール(1995年) 外国映画ベストワン賞 ・報知映画賞(1995年) 外国作品賞 公開日 :1995年6月3日 |
2. グリーンマイル
あらすじ
1930年代のアメリカ。ポール・エッジコム(トム・ハンクス)は、コールド・マウンテン刑務所の死刑囚監房で主任看守を務めている。そこに黒人の大男、ジョン・コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)が送られてきたのだ。この男は、双子の少女への強姦殺人罪で死刑判決を受けた男だった。
ところがある日、ポールが誰にも言えずに患っていた病気をコーフィが不思議な力で治してしまう。そのことをきっかけにしてコーフィの人柄を知るようになったポールはジョンの罪が冤罪であることを知ってしまい……。
フランク・ダラボン監督も苦労した!『グリーンマイル』の撮影裏話
■撮影が押してしまい、予定よりも1ヶ月以上をかけてクランクアップをした。
■ロケ現場は、テネシー州の旧刑務所で行われたが、デザインの参考のためにとダラボン監督らは、南部にある他の刑務所にまで足を運んでいた。
■Mr.ジングルスは本物のネズミでの撮影だった。アニマトロニクスやCGIを駆使しての撮影もしたが、Mr.ジングルスに動いてほしいときはその方向に食べ物を置いて動いてもらうようにしたという。
人物描写が素晴らしい!フランク・ダラボンが撮った『グリーンマイル』
無実の罪を着せられ、死刑囚となってしまったコーフィのあきらめとも取れる発言や、死刑になることが決まってもなお人助けをし続ける天使のような性格のコーフィの行動から目が離せません。ひどい仕打ちを受けてもすべてを受け入れ、ただ死を待つ姿は心を打たれます。
体が大きいから、少女の死に際に傍にいたから、黒人だからなど、数え上げたらきりがないつまらない理由と状況証拠だけで有罪にしてしまうことは、現在もあることでしょう。その不条理な問題に真っ向から迫った作品でした。
本当にこれでよいのかと悩み苦しんだ看守主任のポールの気持ちが伝わってきます。上映時間が長いからといって後回しにしないでぜひ手にとってみてください。
この作品は、フランク・ダラボン監督だからこそ撮れた映画です。
基本情報
上映時間:188分 監督 :フランク・ダラボン 出演者 :トム・ハンクス/デビッド・モース/ボニー・ハント 受賞歴 : ・全米放送映画批評家協会賞(B.F.C.A.Awards)受賞 ・最優秀脚色賞(フランク・ダラボン) ・最優秀助演男優賞:(マイケル・クラーク・ダンカン) 公開日 :2000年3月25日 |
3. マジェスティック
あらすじ
1951年、ハリウッドの新進脚本家ピーター・アプルトン(ジム・キャリー)は、B級映画の脚本を書きながら、上を目指している野心家の男。ところが、学生時代に女の子の気を引くために共産主義の集会に参加していたことが発覚し、共産主義者ではと疑いをかけられる。そのため、ピーターの新作公開は延期となり契約も事実上破棄になってしまった。
キャリアと恋人の両方を失い、自暴自棄になってやけ酒をし、飲酒運転で事故を起こしてしまう。
この事故が原因で記憶喪失となったピーターは、ローソンという街にたどり着く。そこで街の英雄ルーク・トリンブル(ジム・キャリー)にそっくりであったため、戦争から帰った息子だと思いこんだ老人は町中の人々からルークと勘違いされ受け入れられてしまう。記憶が戻らないピーターは、自分を息子だと信じきっている老人のため、街の復興のために映画館マジェスティックの再建に尽力する。再建後に記憶が戻ってしまい……。
フランク・ダラボンだからできた『マジェスティック』の撮影裏話
■1950年当時のアメリカにあった「ハリウッド・ブラックリスト」の実話をもとにして制作された。
■街の英雄ルークの手紙を書いているシーンで声を吹き込んでいるのはマット・デイモン。
人物描写が素晴らしい!フランク・ダラボンが撮った『マジェスティック』
共産党員だという濡れ衣を着せられ、証言台に立たされたピーターが、正義の何たるかを語るシーンは見逃せません。アデル・スタントン(ローリー・ホールデン)に出会ったことで愛することや信じる心、正義を貫くことの大切さを気づかせてくれます。今まで、自由気ままに生き、困ったことなどをうやむやにしてきたピーターがアデルの言葉によってどんなふうに変わったのか、聴聞会で何を語るのかを観てほしいと思います。
大切なことは常に目の前にあり、自分をごまかすことや嘘で“けむに巻かない”ことの重要さを気づかせてくれる素晴らしい映画です。心が揺さぶられます。
基本情報
上映時間:153分 監督 :フランク・ダラボン 出演者 :ジム・キャリー/マーティン・ランドー/ローリー・ホールデン 受賞歴 :political film society award for democracy(民主主義のための政治映画協会賞) 公開日 :2002年6月22日 |
4. ミスト
出典:映画『ミスト』公式サイト
あらすじ
のどかな田舎町で激しい嵐が起こった次の日。深い霧がどんどん立ち込めて住民たちは身動きが取れない状況に陥ってしまう。異様な霧に不安を感じた画家のデヴィッド・ドレイトン(トーマス・ジェーン)は、スーパーマーケットへ息子のビリー(ネイサン・ギャンブル)と共に買い出しへ行く。その間も霧はどんどん深くなり街全体を包み込んでいく。
スーパーマーケットから身動きが取れない状況の中、「霧の中に何かいる!」と助けを求めて人々が飛び込んできた。霧の中では奇妙にうごめく何かの姿を見てしまう。そのせいで店の中は大混乱となり、正体不明の生き物が人間を襲い始めるようになる。
フランク・ダラボンだからできた『ミスト』の撮影裏話
■フランク・ダラボンは、小説の中に出てくる生物たち以外に新しいものも作り上げようとした。
■スティーヴン・キングの中編小説『霧』を初めて読んだときに、「この作品の映画化で監督デビューをしよう」と思うほど思い入れのある作品だった。
■この小説を読んでからダラボンが映画化を構想しているとき、デザイン案をグレゴリー・ニコテロ氏にスケッチをお願いしていた。
人物描写が素晴らしい!フランク・ダラボンが撮った『ミスト』
深い霧で前が見えない状態になったり、得体のしれない生物が襲ってきたりすれば、たいていの人はパニックを感じ恐怖を覚え、冷静ではいられなくなるでしょう。その時にこそ、人間の本性が見えます。それがよく現されていて、感情の動きを丁寧に描いています。
最初は冷静でいられたデヴィッドもラスト15分のところで冷静さを欠いてしまい、一生トラウマとなってしまう状況になってしまうのです。その恐怖はただのホラーではありません。冷静さを欠いたことによるミスで自ら招いてしまう結末なのです。パニックになってしまわないことや最後まであきらめない気持ちを持ち続けることの大切さを教えてくれます。
基本情報
上映時間:125分 監督 :フランク・ダラボン 出演者 :トーマス・ジェーン/マーシャ・ゲイ・ハーデン/ローリー・ホールデン 受賞歴 :なし 公開日 :2008年5月10日 |
まとめ
「ホラー」と名がつくと血みどろの怖い映画を想像するかもしれません。しかし、フランク・ダラボン監督の撮る作品は、現代社会の闇や不条理、心の葛藤といった場面を描き、人の心に訴えるものばかりです。つい、目を背けたくなるような話の中にも「希望」という光を見出してほしいというメッセージが必ず込められています。ぜひ一度は御覧になってみてくださいね。