『インターステラー』ネタバレ解説 | 時空を超えた愛を描いた異色のSF映画

2019年4月、人類史上初のブラックホールの撮影に成功――。国際協力プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」が発表したこの大ニュースに、心躍らせたSFファンも多かったのではないでしょうか。

実はこの時の写真と、作品内に登場するブラックホールの姿がそっくりであると、ある映画作品が再評価されています。その名は、2014年公開のクリストファー・ノーラン監督のSF超大作、『インターステラー』。

物理学者の監修による緻密なSF考証が有名な作品ですが、その魅力とはいったい何なのか、”ネタバレあり”でトコトン解説していきます!

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映画『インターステラー』あらすじ

出典:映画『インターステラー』公式Facebook

出典:映画『インターステラー』予告編

異常気象とそれに伴う食糧難によって、滅亡の危機に瀕していた未来の地球。”星の寿命”とも言えるその状況に人類が抗うすべはなく、刻一刻と迫る最期の時をただ待つしかなかった。

元宇宙飛行士のクーパー(マシュー・マコノヒー)は、ある日、娘のマーフ(ジェシカ・チャステイン)から部屋の本棚から勝手に本が落ちる現象を伝えられる。マーフは心霊現象だと信じていたが、クーパーはこれが、重力波を使った何者かによるメッセージであることに気づく。

メッセージによってNASAの秘密施設に導かれたクーパーは、「ラザロ計画」への協力を要請される。その計画の内容とは、新しい惑星を見つけ出して人類を移住させるというものだった。愛する家族を地球に残し、宇宙へと旅立つクーパー。果たして彼は人類を救うことができるのか。

映画『インターステラー』ネタバレ4つの解説

ここからは、映画『インターステラー』の重要なポイントを4つ解説していきます。

「ラザロ計画」のプランA・プランBについて

インターステラー ネタバレ

出典:ワーナーブラザースジャパン 公式Twitter

プランA:宇宙ステーションを打ち上げて全人類脱出

クーパーが協力を要請された「ラザロ計画」。新しい惑星を見つけて人類を移住させるというものですが、そこには2つのプランが用意されていました。その1つが、「宇宙ステーションを打ち上げて全人類を脱出させる」というもの。

もしも新しい惑星が見つかったとしても、すぐにそこに移住できるわけではありません。移動だけでも途方もない時間がかかりますし、新しい惑星で生活するための施設等の建設もしなければなりません。そこで計画されたのが、移住の準備が整うまでの居住空間となる、巨大な宇宙ステーションの打ち上げでした。

全人類が生活できるほどの宇宙ステーション…途方もないスケールになりそうですが、もしもこのプランAが成功すれば、地球の全人類が救われることになります。

プランB:別の惑星で受精卵を人工培養

もう1つ計画されていたのが、「別の惑星で受精卵を人工培養する」というプランBです。厳重に保管した受精卵を新しい惑星に持ち込み、そこで再び種を繁栄させていきます。

プランBの目的はあくまでも種の保存であり、地球に残された人類が滅亡することに変わりはありません。この裏には、プランAを実行する上でのある”問題”が理由にありました。

プランAの巨大宇宙ステーションの打ち上げには、重力をコントロールし、巨大な物体を浮上させるための方程式を解明する必要があります。しかしクーパーが旅立つ時点ではこの方程式は解明に至っておらず、代替案としてプランBが用意されていました。

つまり人類を救えるかどうかは、新しい惑星を探すクーパー達だけでなく、方程式の解読に挑む学者たちの手にもかかっていたのです。

「ラザロ」の由来はキリスト教?

そんなラザロ計画の最高責任者であるブランド教授(マイケル・ケイン)ですが、このプロジェクトの名付け親でもあります。「ラザロ」とは聖書に登場するユダヤ人の名前で、一度死んだ後、キリストの手によって蘇ったとされる伝説があります。

一度死んだ後に蘇る…まるで「プランB」を表しているようです。この名前を聞いたクーパーは、ブラント教授とこんなやり取りをします。

「不吉な名だ」

「彼は”生き返った”じゃないか」

困難を極める計画の実現。ブラント教授は、人類の未来が「プランB」にしかないことを予見していたのかもしれません。

乗組員が訪れた「3つの惑星」について

インターステラー ネタバレ

出典:ワーナーブラザースジャパン 公式Twitter

ミラー飛行士の「水の惑星」

新しい惑星を探すため宇宙に旅立ったクーパー達。そこで道標となったのが、かつて先遣隊として旅立ったメンバーから送られてくる「信号」でした。この信号は「人類が住める星を見つけた」ことを示すものであり、滅亡の危機に瀕していた人類にとって、まさに”希望”の知らせでした。

クーパー達が最初に訪れたのが、ミラー飛行士の「水の惑星」です。この星は超大質量のブラックホールの近くに位置しており、その重力の影響で「1時間が地球の7年間に相当する」という特殊な時間の流れ方をしていました。

結局、この星にミラー飛行士の姿はなく、見つかったのは着陸船の残骸のみ。何年も前からこの星で信号を送り続けていたように思われていたミラー飛行士ですが、時間の進み方が遅いこの星では着陸してから数時間しかたっておらず、実際にはすぐに命を落としていたのです。

さらに追い打ちをかけるように、巨大津波に襲われてこの星に足止めされてしまったクーパー達。脱出するまでのわずか数時間の間に、地球では”23年”もの月日が経過していました。

マン博士の「氷の惑星」

次にクーパー達が訪れたのが、マン博士(マット・デイモン)の「氷の惑星」でした。冷凍睡眠から目覚めたマン博士は、自分を助けに来てくれたクーパー達に深く感謝し、この星こそが人類の新天地であると彼らに告げます。

しかし、マン博士のこの言葉には”嘘”がありました。大気に多量のアンモニアを含むこの星では呼吸することができず、人類が生存できる環境ではなかったのです。着陸後にすぐにそのことに気づいたマン博士は、この星で孤独に死を待つことに耐えられず、地球に嘘の信号を送っていたのでした。

本作で唯一の悪役とも言えるマン博士ですが、彼のフルネームは「ヒュー・マン」。精神的に弱く孤独を恐れた彼は、ある意味、誰よりも”人間らしさ”をもったキャラクターだったのかもしれません。

エドマンズ飛行士の「??の惑星」

長年、信号を送り続けていた飛行士がもう1人いました。今回の乗組員のアメリア(アン・ハサウェイ)の恋人である、エドマンズ飛行士です。

水の惑星から脱出したクーパー達でしたが、23年という月日が経過したことで予定以上に燃料を消費しており、「マン博士の惑星」と「エドマンズ飛行士の惑星」のどちらに向かうかを選択しなくてはなりませんでした。

アメリアはエドマンズ飛行士の惑星に向かうことを強く推しましたが、それは「恋人に会いたい」という私情であることを見抜かれてしまいます。エドマンズ飛行士からの信号が途絶えていたこともあり、チームはマン博士の惑星に向かうことを決断するのでした。

結局、「エドマンズ飛行士の惑星」はどんなものだったのか。それは、物語のラストシーンで明らかになります。

計画のすべてを託され、エドマンズ飛行士の惑星に一人辿り着いたアメリア。そこでは、宇宙服のヘルメットを脱いで呼吸する彼女の姿が映し出されます。そう、エドマンズ飛行士の惑星こそが、人類が移住可能な新天地だったのです。

人類を救った「モールス信号」について

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出典:ワーナーブラザースジャパン 公式Twitter

氷の惑星から脱出しようとしたマン博士の暴走によって、宇宙船は大きく破損してしまいます。地球への帰還が絶望的になる中、クーパーはブラックホールのエネルギーを利用してエドマンズ飛行士の惑星に向かう計画を立てます。しかしこの計画には、クーパーが乗る着陸船を切り離して、アメリアだけをブラックホールから脱出させる必要がありました。

計画は成功し、アメリアはエドマンズ飛行士の惑星に向かって脱出します。そして、その代償としてブラックホールへと吸い込まれたクーパーは、人類初のブラックホール内部への侵入を果たすのでした。

ブラックホールの深部へと落下するクーパーは、やがて無数の立方体が積み重なった”五次元空間”に辿り着きます。この空間が過去や現在、未来と繋がっていることに気づいたクーパーは、「あるデータ」をモールス信号でマーフに送ることを試みます。

そのデータとはブラックホール内で蓄積された”重力”に関するデータであり、「プランA」の方程式を解読するカギとなるものでした。マーフが幼少期の頃から感じていた「心霊現象」の正体は、人類を救うため父から娘へ送られたメッセージだったのです。

本作のテーマ「愛」について

インターステラー ネタバレ

出典:ワーナーブラザースジャパン 公式Twitter

クーパーが辿り着いた”五次元空間”と、そこで起こった超常現象。あまりに突飛なこの展開は、SFファン達の間で賛否両論を巻き起こしました。これまで緻密な科学考証でリアルな世界を描いていた作品が、突如としてファンタジーな展開を見せたのです。

五次元空間から過去に繋がったクーパーは、過去の自分の行動を変えようとメッセージを送ります。しかし状況は変わりません。過去を変えることはできない、そう悟ったクーパーは、この空間が自分の娘と繋がっていることにも意味があるのだと気付きます。

この時クーパーは、「エドマンズ飛行士の惑星」に向かうことを推した時の、アメリアの言葉を思い出しました。

「愛は私たちにも感知できる。時間も空間も超える。」

クーパーのメッセージは愛する娘に届き、彼女は見事にプランAを実現します。またアメリアも、愛する恋人の元に向かうことで新天地となる惑星を見つけることができました。

科学的な根拠や理論などではなく、時空を超えた”愛”によって人類の未来は切り開かれたのです。

映画『インターステラー』ラストシーンの4つの疑問

ここからは、ラストシーンを巡る4つの謎について解説していきます。

1.クーパーはなぜ助かった?

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出典:映画『インターステラー』公式Facebook

娘へのメッセージを送った後、クーパーは意識を失い、土星付近を漂流していたところを救助されます。「どうやってブラックホールを脱出したの?」「広大な宇宙でそんな都合よく見つけられる?」など疑問の声も多い中、この部分について、監督やキャストから明確には説明されていません。

ただ、この作品には「5次元人」という”未来人”の存在がほのめかされています。ラザロ計画の発端となった”ワームホール”を生み出し、クーパーを五次元空間へと引き込んだ人物です。彼が奇跡的に救助されたのもまた、この「5次元人」の手引きによるものなのかもしれません。

2.人類は救われた?

映画インターステラー

出典:映画『インターステラー』公式Facebook

宇宙ステーションの打ち上げに成功して地球を脱した人類ですが、果たしてこれで救われたのでしょうか。ここで、ラザロ計画の「プランA」を振り返ってみます。

プランA:宇宙ステーションで地球を脱出し、新しい惑星に移住する

そう、あくまで人類は地球を脱出したに過ぎず、ラザロ計画はまだ途中段階なのです。エドマンズ飛行士の惑星に人類はまだ到達しておらず、アメリアも救助されていません。

しかし、「移住可能な惑星が見つかった」という報告は宇宙ステーションにも伝わっているようです。人類がアメリアの元に辿り着き、本当の意味でラザロ計画が完遂する日も、遠い未来の話ではないのかもしれません。

3.エドマンズ飛行士の惑星にあった建造物の正体は?

エドマンズ飛行士の惑星に辿り着いたアメリアですが、そこにお墓のようなものが映し出されます。これはエドマンズ飛行士の墓であり、アメリアの恋人との再会は叶わなかったのです。

もう1つ、アメリアがお墓を背にして歩いて行った先に、いくつかの建造物が見えます。これはエドマンズ飛行士が人類の移住を見据えて建築した施設だと考えられます。ドームのような形からして、もしかしたら農業関連の施設なのかもしれません。彼もまた、この星に”希望”を見出し、ここで人類が暮らせる日を夢見ていたのでしょう。

4.クーパーとアメリアは再会する?

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出典:映画『インターステラー』公式Facebook

「アメリアは遠い宇宙でみんなが来るのを待っている」

娘からこの言葉を受け取ったクーパーは、宇宙船に乗り込み、アメリアの救助に向かいます。果たして彼はアメリアと再会することができたのか、作中では”その先”は描かれていません。

しかし、ブラックホールからの生還という奇跡を起こし、約束通り娘の元へと帰ってきたクーパー。彼がこのミッションを完遂できたかどうかは、考えるまでもないかもしれません。

まとめ

以上、映画「インターステラー」のストーリーや見どころをご紹介しました!

骨太のSF映画と思いきや、そこには愛が溢れるエモーショナルなストーリーが描かれています。SF好きはもちろん、家族愛に浸りたい人にも是非見ていただきたいこの作品。少しでもその魅力が伝わったのであれば幸いです。