新作リブート版『ヘルボーイ』あらすじネタバレ | 過去作との違いや小ネタも解説!
2019年9月27日『ヘルボーイ』が日本で公開されました。脚本にはコミック作家のマイク・ミニョーラも参加したことで話題になっています。本作は2004年のギレルモ・デル・トロ監督の『ヘルボーイ』のリブート版です。そのため、原作ファンからも2004年版『ヘルボーイ』ファンからも注目されていました。
どんな内容だったのか?過去作と比べるとどうだったのか?本作中に出てきた小ネタも含めて解説していきます!!
目次
リブート版『ヘルボーイ』とは?
出典:映画『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』公式Facebook
ヘルボーイとは、1993年に誕生したアメコミヒーローです。全身真っ赤で、角が生えており、右腕は岩のように固いヘルボーイ。悪魔のような見た目ですが、人間の為に怪物たちと戦うヒーローです。怪物にも人間にもなれない孤独なヒーローは多くのコミックファンを虜にしました。ギレルモ・デル・トロ監督も虜になったひとりです。
ギレルモ・デル・トロ監督は2004年に映画『ヘルボーイ』を製作しました。原作に忠実な内容と、原作よりも子供っぽく人間臭い性格になったヘルボーイ。ギレルモ・デル・トロ監督の『ヘルボーイ』は世界中で愛されるようになります。2008年に続編『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』も公開され人気ヒーローの座を確固たるものにしました。
本作はそんな人気映画『ヘルボーイ』のリブート版です。監督やキャストを一新し、全く新しいヘルボーイの物語が始動しました。設定からストーリー、衣装まで監督のこだわりと愛が詰まった作品になっています。
10秒でわかる『ヘルボーイ』の簡単なあらすじ
出典:映画『ヘルボーイ』予告編
紀元517年、イングランドで魔女ニムエ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が人を滅ぼそうとしていた。しかし、その野望はアーサー王(マーク・スタンリー)によって打ち砕かれる。アーサー王の手で魔女ニムエはバラバラにされ、封印された。しかし現代、首の封印を解かれたニムエは人類への復讐を誓う。地上は魔物たちに支配されるのか?ニムエを止めることができるのか?その鍵を握るのはヘルボーイ(デヴィッド・ハーバー)だ。
よりリアルに、より過激に進化した映画『ヘルボーイ』。グロい描写は苦手……という方はご注意ください。気味の悪いクリーチャーや暴れるモンスターが大好きな方にはたまらないシーンがいっぱいです!原作ファンや2004年版『ヘルボーイ』ファンなら「これは!」となるサービスシーンもあります。
リブート版『ヘルボーイ』のネタバレあらすじ
ここからはがっつりとネタバレ有であらすじを解説していきます!まだ御覧になっていない方はご注意ください!
【あらすじ①】B.P.R.Dのエージェント、ヘルボーイ
紀元517年、イングランドで血の魔女ニムエが人間たちに恐ろしい疫病を流行らそうとしていた。だが、アーサー王によってその計画は止められる。アーサー王の聖剣エクスカリバーによってニムエはバラバラにされ、封印された。
現代、超常現象防衛局(B.P.R.D)のヘルボーイは任務で、行方不明のエージェント、エステバン・ルイズ(マリオ・デ・ラ・ロサ)を捜していた。プロレスのリングの上でルイズらしき男を見つけたが様子がおかしい。観客を煽るルイズのためにヘルボーイもリングに立つが、ルイズはどんどん人ではないものに変化していく。ルイズを傷つけたくないヘルボーイだったが、戦闘の末とうとうルイズを殺してしまった。ルイズは死に際、ヘルボーイに予言を残す「終わりが近づいている」と。
友人を自分の手で殺した罪悪感から失意の中にいるヘルボーイだが、任務は待ってくれない。ヘルボーイが超常現象防衛局に戻ると、ここ超常現象防衛局の創設者でヘルボーイの育ての親でもあるブルーム教授(イアン・マクシェーン)が待っていた。次のヘルボーイの任務はイギリスでの「巨人狩り」だ。
一方、イギリスでは獣の姿をした妖精グルアガッハ(ダグラス・テイト)がニムエの体の一部の封印を解いていた……。
【あらすじ②】ヘルボーイは忌むべき存在?
ヘルボーイに「巨人狩り」の依頼をしたのはイングランドのオシリスクラブだ。オシリスクラブではリーダー、レディ・ハットン(ソフィー・オコネドー)に出迎えられた。そして彼女はヘルボーイ自身も知らなかった「ヘルボーイの出生」について語り出す。
第二次世界大戦、ドイツは戦争に勝つためにある儀式をしていた。この動きをいち早く察知していたブルーム教授たちによって儀式は失敗に終わるが、悪魔の召喚は成功してしまう。見た目は赤ん坊だが、この危険な生き物は殺さなければならない。ところがブルーム教授は殺さなかった。そして自分の子どものように育てることにする。その悪魔がヘルボーイだ。
オシリスクラブのメンバーたちと「巨人狩り」に出たヘルボーイ。しかし、「巨人狩り」はただの口実だった。オシリスクラブの本当の目的はヘルボーイを殺すことだったのだ。彼らは、本来赤ん坊の頃に殺すべき悪魔は、いまだに人間の脅威だと考えていた。もうヘルボーイも死ぬかと思われたその時、巨人たちが現れる。オシリスクラブのメンバーたちは巨人に食べられてしまった。ヘルボーイはなんとかひとりで巨人3体を倒すが、力尽きてその場に倒れてしまう。
【あらすじ③】止められないニムエの計画
ヘルボーイは気付くと知らない部屋にいた。彼を助けたのは旧友のアリス・モナハン(サッシャ・レイン)。ヘルボーイの失踪を聞いたブルーム教授はエージェントたちを引き連れてやってきた。ヘルボーイの無事を確認すると、ブルーム教授は早速次の任務を言い渡す。オシリスクラブにある、封印されたニムエの体の一部が盗まれるのを防ぐのだ。ヘルボーイはアリスとエージェント、ベン・ダイミョウ少佐(ダニエル・デイ・キム)と共にオシリスクラブへと急ぐ。
オシリスクラブに着くも、メンバーたちは全滅していた。グルアガッハがすでにニムエの体の一部を持っている。もちろんヘルボーイは阻止しようとするが、ニムエの幻影に惑わされてしまう。人間たちに憎まれているのに人間を守るのか、怪物たちから必要とされ王として君臨するかと問われる。ヘルボーイは動揺し、グルアガッハを逃がしてしまった。
イギリスのM11に「ニムエ討伐」任務の本部を作ったブルーム教授。任務に集中しているブルーム教授に対して、ヘルボーイはそれどころではなかった。自分の出生を黙っていたことや、自分をなぜか殺さなかったこと、子どもらしいことはしてくれず小さい頃から兵器として育てられたこと等、今までため込んでいたことを爆発させてしまう。
ブルーム教授とのわだかまりも残したまま、ニムエの行方を知ったヘルボーイは現場へと急ぐ。アリスとダイミョウ少佐も共に現場へ行くが遅かった、完全に復活してしまったニムエによってアリスは毒に侵されてしまう。
【あらすじ④】ヘルボーイは悪魔か?人間か?
アリスを助けるためにヘルボーイたちは魔術師マーリン(ブライアン・グリーソン)の元を訪れた。マーリンはあることを条件にアリスを助ける、マーリンの条件は、聖剣エクスカリバーを抜くこと。実はヘルボーイはアーサー王の子孫なのだ。
アーサー王の子孫である女性が魔女となり、地獄で宿した子どもがヘルボーイだ。ニムエを倒せるのは聖剣エクスカリバーを持つヘルボーイだけ。マーリンは最期の力を使いエクスカリバーを出現させる。しかし、エクスカリバーを抜こうとしたとき、ヘルボーイは自分がエクスカリバーを使い人類を滅ぼす未来を見てしまった。ヘルボーイはエクスカリバーを抜くことはなかった。
回復したアリスを連れてヘルボーイとダイミョウ少佐は、ニムエのいる大聖堂へとやって来た。ニムエは大聖堂の地下にあるエクスカリバーを抜くよう説得してきた、そして目の前でブルーム教授を殺して見せる。ニムエの手に乗るつもりのなかったヘルボーイだったが、怒りのあまりエクスカリバーを抜いてしまう。するとヘルボーイは本来の姿になり、地上へ怪物たちがなだれ込んできた。ロンドンは地獄絵図だ。このままではヘルボーイは怪物たちの王として君臨してしまう。
アリスはとっさにブルーム教授の霊を召喚した。ブルーム教授からの言葉で我に返ったヘルボーイはニムエの首を落とした、かつてのアーサー王のように。怪物たちも地上から消えていく、生前できなかったブルーム教授と親子としての会話をすると、ブルーム教授は消えてしまった。そして、ヘルボーイはまた超常現象防衛局のエージェントとして活動に戻るのだった。
『ヘルボーイ』のキャスト
ヘルボーイ/デヴィッド・ハーバー
第二次世界大戦時ラスプーチンによって召喚され、ブルーム教授によって保護された悪魔。凶暴そうな見た目に反して、中身は誠実です。人間から軽蔑の目で見られても、人間を守ろうとする正義感があります。
演じたのはドラマ『ストレンジャー・シングス』のジム・ホッパー署長役での名演技が記憶に新しいデヴィッド・ハーバー。映画やドラマだけでなく、舞台でも活躍する実力派俳優です。2020年公開予定の映画『ブラック・ウィドウ』の出演も決定しており、これからの活躍に目が離せません。
ニムエ/ミラ・ジョヴォヴィッチ
血の女王ニムエ。かつて疫病を流行らそうとしたところをアーサー王によって止められました。そして体をバラバラにされて封印されていまいます。蘇ったニムエは人類への復讐を企み、ヘルボーイを仲間にすべく誘惑しました。
美しく残酷なニムエを演じたのはミラ・ジョヴォヴィッチ。映画『フィフス・エレメント』や『バイオハザード』シリーズなどでの格好良さが印象的です。女優業以外にもモデル、歌手、デザイナーなど幅広く活動しています。
ブルーム教授/イアン・マクシェーン
赤ん坊だったヘルボーイを保護した、超常現象防衛局の創設者。任務を重んじる人物ですが、ヘルボーイに関することとなると私情をはさみがちです。ヘルボーイの安否が不明になると、国すら超えて自らエージェントを引き連れて突入するほど。
不器用ですが愛情深い父親ブルーム教授役は、イアン・マクシェーン。最近では『ジョン・ウィック』シリーズで殺し屋たちのホテルの経営者ウィンストン役が記憶に新しいです。
ベン・ダイミョウ少佐/ダニエル・デイ・キム
元特殊部隊のエージェント。あるジャガーに襲撃されて以来、たびたびジャガーに変身してしまうようになりました。現在は薬によって変身を抑えているものの、痛みや怒りをきっかけに変身してしまうことも。
原作でもアジア系の人物として描かれていたダイミョウ少佐は、ダニエル・デイ・キムが演じました。2010年から2017年までドラマ『HAWAII FIVE-0』で主演のひとりであるチンを演じています。
アリス・モナハン/サッシャ・レイン
赤ん坊の頃、妖精と取り換えられ妖精界へ誘拐された少女、ヘルボーイによって救出されました。霊媒の能力があり、幽霊と話すことができるだけでなく、戦闘でもその能力が活かされます。
ヘルボーイを守ろうとする強い少女アリスを演じたのはサッシャ・レイン。2016年にデビューしたばかりの新人ですが、デビュー作『アメリカン・ハニー』でカンヌ国際映画賞審査員賞を受賞するなど、その実力は本物です。
リブート版『ヘルボーイ』| ギレルモ・デル・トロ作品との違い
ヘルボーイの性格
ギレルモ・デル・トロ版『ヘルボーイ』でのヘルボーイ(ロン・パールマン)は子どもっぽい性格でした。短気でワガママで、ブルーム教授(ジョン・ハート)との約束も破って周りを困らせます。まるで反抗期を迎えた大きな子どもです。超常現象防衛局にあるヘルボーイの部屋もごみやモノで散らかっています。それはまるで彼自身の心の中を映しているようです。周りの人間との違いや出生、自分の自由について等、まだまだ心の整理がついていません。
それに比べると本作のヘルボーイは、かなり大人っぽいです。落ち着きがあり、周りに対しても素直(皮肉屋ですが……)。特にブルーム教授との仲は良好です。ヘルボーイが角を削っていると、ブルーム教授が「削り残しがあるぞ」と小言を言うシーンがあります。するとヘルボーイは言い返す訳でもなく、ブルーム教授が削り残しを削ってくれるのを黙って見ていました。2人の仲の良さを見ているとほっこりします!部屋の中も綺麗に整頓されており、彼自身が成熟していることが表現されています。
ヘルボーイを取り巻く人間関係
前作の『ヘルボーイ』、『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』シリーズとは、超常現象防衛局のメンバーも違います。超常現象防衛局にはヘルボーイ以外にも、普通の人間とは違うエージェントがいました。リズ(セルマ・ブレア)とエイブ(ダグ・ジョーンズ)です。リズは体から炎を出す念動発火の能力があり、ヘルボーイの恋人でもあります。エイブは半魚人で、物や人の記憶を読み取るサイコメトリーの能力があります。また、ヘルボーイの親友でもありました。ヘルボーイの周りには仲間も良き理解者もいたのです。
本作ではヘルボーイは一人ぼっちです。ブルーム教授という理解者はいましたが、周りの人間からの目は冷たいです。エージェントたちからも市民からも「怪物」扱いされています。ギレルモ・デル・トロ版での「心ない言葉をかけられても帰る場所がある」に対して本作の「人間の世界にも怪物たちの世界にも居場所がない」という立ち位置に胸が痛くなります。しかし、だからこそラストのヘルボーイの選択に重みが出るのです。
原作との忠実度
出典:映画『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』公式Facebook
2004年『ヘルボーイ』は設定もストーリーもかなり原作に忠実でした。原作への敬意とともに、ギレルモ・デル・トロ監督のクリーチャー愛も入っています。不気味なのになぜか愛着のわくクリーチャーはギレルモ・デル・トロ監督だからこそのデザインです。実写化するためにエイブのデザインも変わっていますが、服もアイテムもスタイリッシュで格好良いです。続編の『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』のストーリーはギレルモ・デル・トロ監督のオリジナルです。ギレルモ・デル・トロ監督の世界とヘルボーイたちキャラクターたちが調和しており、全く新しいヘルボーイたちの冒険譚が誕生しました。
本作では脚本に原作コミック作家マイク・ミニョーラが参加しています。ニール・マーシャル監督も「迷ったときは、必ず原作に立ち戻るようにした。」とインタビューで語りました。ストーリーも設定も「巨人狩り」の衣装ひとつでも、かなり原作に忠実。『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』と比べると全く新しいとは言えませんが、原作への愛は負けず劣らず強いです!
過激なゴア表現
ギレルモ・デル・トロ版『ヘルボーイ』にも恐ろしい怪物たちは出てきましたが、見ていられないほど過激なゴア表現はありません。年齢制限もなく、子どもから大人まで誰でも観られます。
本作では年齢制限があります、R15のレイティングがついており、15歳未満は観ることができません。それほどまで過激なゴア表現があるのです。グロいシーンは苦手……という方にはオススメできません。平気な方は充分に楽しめるでしょう!特に後半に待っている「怪物が地上に出てくる」シーンはゾッとするようなクリーチャーたちが、人間たちを殺します。そのバリエーションの豊かさ!どうやっても勝てないと感じるその絶望感は、いっそすがすがしいほどです。
必見!ヘルボーイ』ファン必見の小ネタ集
ロブスター・ジョンソンとの共演
第二次世界大戦のラスプーチンの儀式を失敗させた人物のひとりロブスター・ジョンソン(トーマス・ヘイデン・チャーチ)。エンドロールのおまけでも登場しヘルボーイを興奮させました。しかし、彼を知らなければ「誰だろう?」と疑問を持つのではないでしょうか?
ロブスター・ジョンソンは『ヘルボーイ』の原作コミックにも出てくる伝説のヒーローです。犯罪者たちを相手に勇敢に戦い、最後にはロブスターのマークを焼き付けます。原作では「行方不明」となっていましたが、本作では幽霊としてヘルボーイを元気づけました。はたしてあれは本物のロブスター・ジョンソンの幽霊だったのでしょうか、それともヘルボーイが酔っぱらってみた幻覚だったのでしょうか……。
意味深なラスト
続編を期待させるラストに一番興奮したのは、ギレルモ・デル・トロ版『ヘルボーイ』ファンではないでしょうか。エンドロールのおまけで、ヘルボーイたちが秘密結社に潜入しています。
そして、地下で発見したのが「イクチオ・サピエン」と書かれた水槽。さらに、濁った水の奥から手が出てきました。「イクチオ・サピエン」はエイブ・サピエンのことです。原作でもギレルモ・デル・トロ版でもヘルボーイを支えていた友人エイブ。このシリーズでの出演はないのか……と思わせておいて、ラストで匂わせる心憎い演出です!全体像は観られませんでしたが、ギレルモ・デル・トロ版エイブとは違い、太くてゴツゴツした指でした。もしかすると、原作のように戦闘にも長けた設定なのかもしれません。
もう一つのエンドロールには「死ねない」と言う謎の人物も出てきます。『ヘルボーイ』シリーズで不死の人物といえば、2004年『ヘルボーイ』にも出てきたクロエネンを連想します。もし続編があるならこのクロエネンを中心に事件が起きるのかもしれません。
まとめ
2019年リブート版『ヘルボーイ』についてご紹介しました。ギレルモ・デル・トロ版とはまた違った世界ですが、原作に忠実なストーリーとファンのための小ネタも入った過激なヒーロー映画です!続編の製作も期待しましょう。