衝撃の問題作!完全版『レオン』のあらすじネタバレ | 通常版との3つの違いも解説

1994年の公開以来、今なお熱狂的なファンを多く持つフランス・アメリカ合作映画『レオン』。12才の少女と殺し屋の交流を軸に、ジャン・レノやナタリー・ポートマン俳優陣の圧倒的な存在感と、リュック・ベッソン監督の世界観が生み出した傑作です。

繊細なストーリーであるがゆえ、あらゆる視点での考察が生まれているのも面白いポイント。今回は『レオン』の完全版あらすじを、オリジナルとの比較とともに解説していきます!

’’凶暴な純愛’’を描いたアクション映画『レオン』について

リュック・ベッソンにとってハリウッド初監督作品となったのが映画『レオン』でした。『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンのデビュー作としても知られ、彼女は『レオン』で主演女優賞を受賞しています。また、主演ジャン・レノの代表作となり、ゲイリー・オールドマンの渋すぎる悪役っぷりは今でも新たなファンを生み出しているほど!

しかし公開されたときの『レオン』は完全版ではありませんでした。刺激的すぎてカットされた部分が22分間もあったのです。『レオン』完全版では、主人公レオンとマチルダの関係性がより濃く描かれているため、オリジナル版とはかなり印象が違います。

完全版の『レオン』は、倫理観が崩壊していますのでちょっと注意が必要。とはいえ時代を超えて愛されている作品であることも事実です。観る人によって多種多様な視点が生まれるのが、愛され続けるひとつの理由。殺し屋レオンと13才の少女マチルダの’’凶暴な純愛’’を描いた本作。観るたびに、ふたりの愛に大きく心揺さぶられる一作です!

10秒でわかる『レオン』の簡単なあらすじ

ざっくりあらすじレノ)。ある日、となりに住む少女・マチルダ(ナタリー・ポートマン)の一家が惨殺される事件が起きた。殺された弟の仇を取るべくマチルダはレオンに殺し屋の特訓を受ける。奇妙な生活を続けるなかで深まるレオンとマチルダの交流。それはお互いに、ぽっかりと空いた心の穴を埋まるような、温かいものだった――

マチルダの弟を殺したのは、麻薬取締局の捜査官・スタンフィールド(ゲイリー・オールドマン)であることを突き止めたマチルダ。しかしマチルダの失態により、レオンとマチルダは特殊部隊に追い込まれてしまう――

という、スリリングなストーリーが軸となり、実際に映画は冒頭からラストまで緊迫感たっぷりです。

しかし映画『レオン』の魅力は、殺し屋であることやアクションよりも、レオンとマチルダの心理描写初老の殺し屋に淡い恋心を抱くマチルダ、人生で愛を得ることが出来なかったレオン。このふたりに関しては、さまざまな考察が生まれています。
本作がハリウッド初作品となったリュック・ベッソン監督の描く繊細な世界観に、人間観察ならぬ「レオンとマチルダ観察」で思考力をくすぐってくれる作品です!

完全版『レオン』ネタバレあらすじ

ここからは、映画『レオン』のあらすじを詳しく紹介していきます。完全版の方をネタバレしていますので、ご注意ください。「オリジナルと完全版の違い」については、記事の後半で解説しています!

【あらすじ①】殺し屋レオンと少女

レオン あらすじ
出典:映画『レオン』公式Facebook

舞台はニューヨーク。イタリア系移民の’’レオン’’という殺し屋がいた。その腕前は束になったマフィアをものの数分で片してしまうほど。その日、レオンが仕事を終えアパートに帰ると、となりに住む少女が踊り場に腰をかけ、タバコを吸っていた。

レオンに気づいた少女はタバコを隠し、「パパにばれたら面倒なことになるの」と言う。その顔には、殴られたようなアザあった。レオンがアザについて問うと少女は「自転車で転んだの」とだけ答えた。そして、「タバコのこと、パパには言わないで」と念を押す。

自宅でのレオンは植物を愛で、ていねいにアイロンをかけ、映画を楽しむ。そんな孤独な初老の男だった。レオンは、ドアののぞき穴から、少女が父親に折檻されるのを目にした――
少女は荒れた家庭環境で暮らしていた。少女自身も’’問題がある子’’が通う学校に送られ、そこでも不登校となり、学校からの電話には母親のフリをして「娘は死にました」と答えた。孤独な初老の男レオン、そして少女は’’ご近所さん’’として時折会話をし、なんとなくという程度にはお互い気にかけていた。

そんなある日、少女が買い物にでかけている間に、彼女の家族全員が殺されてしまう事件が起きる。父親が麻薬密売の組織からドラッグを盗んでいたことが原因だ。帰宅した少女はレオンを頼ろうと、レオンの部屋をノックした。面倒にまきこまれたくないと言わんばかりに、のぞき穴から様子を伺っていたレオンだが、泣きながら懇願する少女に根負けし、ドアを明けた。

ここから、初老の殺し屋・レオンと孤独な少女マチルダの、奇妙な生活が始まるのだった――

【あらすじ②】少女マチルダの小さな恋心

レオン あらすじ
出典:映画『レオン』公式Facebook

嫌いだった両親だけではなく、まだ幼い弟も殺されたマチルダは悲しみにくれた。しかし、レオンのさりげない優しさに笑顔を見せたそれはマチルダにとって、人生で初めて触れる「大人からのやさしさ」でもあった。

レオンが殺し屋であることを知っても臆することなく、それどころか「すてき」と言うマチルダ。弟の復讐を懇願するも、レオンは「女子供は殺らない」と拒否をした。翌朝、自分が殺し屋になると宣言するマチルダに、レオンは「だれとも組むつもりはない」と突き放す。しかしマチルダはその場で銃を手に取り、窓の外に向かって乱射して見せた。

このできごとがきっかけで、レオンとマチルダは師弟関係に。マチルダは年齢を訊かれ、「18才」と自称した。上手に嘘をつき、機転を利かせることもできるマチルダ。ニューヨークの街並みがよく見えるビルの屋上、レオンはマチルダに殺しの基本レッスンを開始した。ターゲットを一発でしとめたマチルダの腕前にレオンは驚きを隠せない。

字が読めないレオンはマチルダに習い、レオンは殺し屋としてのトレーニングを教えた。時にふたりは、ふざけあうことさえもあった。そんな奇妙な暮らしのなかで、ふたりの距離は確実に縮まっていった。そしてマチルダは――「レオン、あたしあなたに恋をしたみたい」というのだった。

【あらすじ③】マチルダの復讐心と恋心

かつて家族で暮らしたアパートの部屋に戻るマチルダ。’’KEEP OUT’’のテープが張られた彼女の家は、まだ事件が起きたときのままだった。そこにマチルダの家族を殺した張本人・スタンフィールド(ゲイリーオールドマン)が現場検証に現れる。マチルダは弟を殺された復讐心を胸に、スタンフィールドをおいかけた。

彼が入っていったビル、それは麻薬取締局。彼は麻薬取締官でありながら、麻薬密売組織としての顔を持っていたのだった――
レオンはマチルダに殺しの指導をしながら、初仕事へと出向く。初仕事を終えたレオンとマチルダはシャンパンで祝杯をあげた。「お祝いにキスして」「あなたを愛してる」と迫るマチルダに、レオンは戸惑いながらも拒絶。以来、次々と’’仕事’’をこなしていくふたり。マチルダはレオンにとって立派な相棒へと成長していた。

ある日レオンに子供扱いされ、ひとり残されたマチルダ。自分が十分な大人であることを示すかのように、彼女はたったひとりでスタンフィールドを仕留めに向かったしかし、スタンフィールドはマチルダの存在に気づき、復讐は失敗。マチルダはスタンフィールドに拉致されてしまう。

その頃、仕事を終えて帰宅したレオン。マチルダが残した置手紙によって、彼女がひとり復讐に向かったことに気づき、マチルダのもとへと走った。ぎりぎりのタイミングで、レオンはスタンフィールドの部下2名を殺し、マチルダを救出。

その夜、マチルダはレオンにもらったドレスを身に付け、「良い初体験をしたい。相手になって欲しい」と迫る。「出来ない」と断るレオン。そこで彼は、自身の体験をふりかえった。アメリカに来る前、愛する女性がいたレオン。身分の違いによって彼女の両親は猛反対。そして彼女は実の父親に銃殺されてしまう。レオンは復讐のため、父親をライフルで殺した。その足で、レオンはアメリカへと渡った――レオンが19才の時のことだった。

その夜、レオンとマチルダは同じベッドで眠りについた。

【あらすじ④】マチルダの復讐を叶えたレオン

翌朝、部下を殺したのがレオンだと気づいたスタンフィールドは、特殊部隊を総動員させ、レオンとマチルダの住むアパートを包囲した。何十人という束で突撃してきた特殊部隊の警官たちを、レオンは次々に殺害。

しかし多勢に無勢、レオンのダメージも大きくなっていく。レオンはアパートに穴を開け、マチルダを逃がした。大事に育てていた観葉植物の鉢植えを託して――
レオンはひとり抵抗を続け、アパートから脱出まであと一歩というところまで来た。しかしその瞬間、スタンフィールドに撃たれてしまう。

死を悟ったレオンは、手榴弾のピンを抜いた。「スタンフィールド、あんたに贈りものだ。マチルダからの……。」そう言ってレオンはスタンフィールドにピンを渡し、スタンフィールドを道連れに最期を迎えた。

レオンの死後、マチルダは学校へ戻った。そしてその庭に、レオンの形見となった植物を植えたのだった。

映画『レオン』のキャスト紹介

ここで紹介する3人のキャストは、映画『レオン』を語る上では外せないキャストたち。『レオン』を見てファンになったという方も多いのではないでしょうか?すてきな年の重ね方をしている彼らの、’’今の姿’’も要チェックです!

レオン・モンタナ/ジャン・レノ

レオン あらすじ
出典:映画『レオン』公式Facebook

本作『レオン』が代表作となったジャン・レノ。2018年に70才を迎えましたが、いまも精力的に活躍している大物俳優です。出演作のなかでも特に話題となったのは『ミッション・インポッシブル』や『GODZILLA』など。2001年には『WASABI』で広末涼子さんとも共演しています。

また、最近では2018年に公開された『グレート・アドベンチャー』でアンディ・ラウと共演したことが話題になりました。そして何より、いまでは『レオン』よりも「トヨタ自動車のCMで演じたドラえもん」のイメージが強いかもしれませんね!コメディ好きというジャン・レノですが、本作のなかでもチャーミングな表情を多く見せてくれています。

マチルダ・ランド―/ナタリー・ポートマン

レオン あらすじ
出典:映画『レオン』公式Facebook

1994年、ナタリー・ポートマンは13才でマチルダの役を演じました。当時のオーディションには2000人以上がいたらしいですが、『レオン』を観れば彼女がマチルダ役を勝ち取ったことに納得ですよね。レオンを熱っぽく見つめたかと思えば、13才らしいおどけた表情も見せるマチルダ。目線の使い方がすばらしく繊細で、大人顔負けの存在感を放っています。

日本でも大きな話題を呼んだ映画『ブラック・スワン』でアカデミー賞主演女優賞を受賞。プライベートではハーバード大学を卒業するほど優秀で、短期間ではありますが日本への留学経験もあるそうですよ!

ノーマン・スタンフィールド/ゲイリー・オールドマン

天才俳優と呼ばれ、あのブラッド・ピッドやジョニー・デップもファンを公言するゲイリー・オールドマン。本作でのスタンフィールド役も、多くの『レオン』ファンにとって欠かせない存在です。悪役を演じる俳優は多く存在しますが、あそこまで渋さと狂気を併せ持った魅力は、ゲイリー・オールドマンにしか出せなかったのではないでしょうか。

ナイスミドルで悪役が得意という印象が強い俳優ですが、じつは演劇の博士号を持つ一面も!演技に対する真摯な姿勢が、ハリウッドでも一目置かれる存在の理由かもしれませんね。

『レオン』通常版と完全版の3つの違い

1994年に公開された通常版の『レオン』は、完全版から22分間のシーンがカットされて上映となりました。しかし一般公開前の試写会では、完全版『レオン』が発表されていたのです。

つまり、カットされたのは’’急きょ’’だったということ。これは主人公マチルダの年齢が12才であることから、倫理的な問題があると判断されたため。そして一般公開にあたってカットされたのは、3つのシーンでした。

①殺し屋として訓練されるシーン

完全版では、レオンがマチルダに拳銃を持たせ、’’殺し方’’を厳しく指導しています。そもそも’’12才の少女が拳銃をかまえて人を殺す訓練を受ける’’という構図に問題があったと推測できますが、「顔以外をねらう」「1発目はターゲットの動きを止める」「殺すのは2発目」など生々しさが際立っていることも問題だったのでしょう。

とはいえ完全版で見ると、緊張感あるこのシーンは、映画にとって重要なスパイスということが分かります。

②祝杯のシャンパンを飲むシーン

初仕事完了後、レオンとマチルダはワインで祝杯をあげる……というシーンが完全版『レオン』では描かれています。12才のマチルダが飲酒することはもちろんNG。といっても、作中でマチルダは18才と自称しているので、問題なさそうな気もしますよね。

しかし、やはりそこは’’本当の年齢’’が重視されたようです。ちなみにマチルダ、かなりの量を飲んで酔っぱらいます。

③マチルダが初体験をせまるシーン

完全版『レオン』で、マチルダはめいっぱいおしゃれをして、レオンに「初体験の相手になってほしい」とせまります。12才の少女と初老男性の恋をダイレクトにあらわしたシーンです。

このシーンは、レオンが殺し屋へとなったことにつながる過去のできごとが語られる重要なポイントでもあります。

『レオン』完全版を考察

ここからは、映画『レオン』完全版の気になるポイントを考察していきます!

レオンはマチルダへ恋愛感情を抱いていたのか?

映画『レオン』の考察において、欠かせないテーマは’’レオンとマチルダの関係性’’です。マチルダからレオンへの気持ちは映画でも比較的ダイレクトに描かれています。「あたし、あなたに恋しているみたい」というセリフだけではなく、演じたナタリー・ポートマンが醸し出す色気からも読み取れること。

では、レオンは?おそらく、ひと言では表すことの出来ない感情を持っていたのではないでしょうか。『レオン』についての考察のなかには、ふたりが裸に見える姿でベッドに入っているシーンがあることから、’’肉体関係があった’’と推測している人もいました。さらに、『レオン』が描きたかったのは’’常識やモラルにとらわれない愛’’という見方も。

しかし実際に映画『レオン』で、その点についての答えが明確に描写されることはありませんでした。つまりこれは、’’恋愛感情かどうか’’というシンプルなものではなく、’’愛の多様性’’を描いているのではないでしょうか。

’’普通’’に親の愛情を受けることが出来なかったマチルダ。’’普通’’に恋人との愛を育むことが出来なかったレオン。ふたりがそれぞれ享受したかった愛情の種類は違いますが、孤独という共通点を持って惹かれあいます。

世の中には’’世の中の普通’’にはまれない人たちがたくさんいて、愛の形もそれぞれであることを示しているのかもしれません。つまり、’’レオンに恋愛感情があったかどうか’’について、答えを出そうとすること自体、無粋なのかもしれませんね。

ロリータコンプレックスの正当化?

ここまでは『レオン』をファンタジーとして、倫理観を持った上で鑑賞した場合の考察を書いてきました。しかし監督であるリュック・ベッソンの過去を知ると、じつはもっと単純で、極めて個人的な感情をぶつけただけの映画ではないのか?とも思えます。

というのも、リュック・ベッソン監督は32才のときに15才の女優と肉体関係を結んだと言われています。そのうえ2018年には、9人の女性から性的な問題で訴えられているのです。マチルダを演じ圧倒的な支持を得たナタリー・ポートマンでさえ、「不適切な映画、子供にどう見せたらいいのか分からない」と言及。

そう考えると、監督が自身の行為や思想を正当化するために、あえて美しさを際立たせた映画を作ったような印象が生まれます。とは言え、多くの人が『レオン』を観て嫌悪感以上に魅力を感じているのも事実。これは監督の手腕と俳優陣の演技力に尽きることでしょう。

そして同時に、当初レオンとマチルダのベッドシーンを描こうとした監督にストップをかけた周囲の’’常識’’もまた『レオン』を問題作ではなく良作に導いたひとつの要因です。常識を蹴り飛ばすような映画を描こうとし、常識に救われるとはなんだか少し皮肉な感じもしますね。

まとめ

世界中に多くのファンを作った『レオン』。愛とは何か孤独とは何か……、レオンとマチルダの短くも愛に溢れた奇妙な生活。本作の日本公開時のキャッチコピーでもある’’凶暴な純愛’’が、鑑賞後に大きな余韻を残してくれる一作です!

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