名作揃い！！ぐったりするような緊迫感満載のサスペンスホラー映画20選！！
「鬱映画」というジャンルがあります。気持ちをかき乱され、見終わった後に「なんでこんなもの見たんだ…」と後悔するような映画です。その中には、最後はスカッとする作品もありますが、救いもなく終わる作品もあります。
なぜそんな映画を見るのか、そのような映画が作られているのかには理由があります。ここではそんな映画を紹介したいと思います！
目次
【邦画】緊迫感満載のおすすめサスペンスホラー映画20本
1.アイアムアヒーロー
「男は本当の英雄（ヒーロー）になれるのか」
あらすじ
漫画家アシスタントの鈴木英雄（大泉洋）は彼女（片瀬那奈）と破局寸前だ。仕事を終えてアパートに帰った英雄の目に映ったのは、変わり果てた彼女の姿。謎のウイルスによって人々が変貌を遂げた生命体「ZQN（ゾキュン）」で街は溢れ、日本はパンデミックに陥る。
英雄は標高の高い場所では感染しないという情報を聞き、富士山に向かう。その途中で出会った女子高生の比呂美（有村架純）と元看護師の藪（長澤まさみ）。三人の極限のサバイバルが始まった…。
ぐったり名作ポイント
邦画のゾンビものなんて大したことないんでしょ？と高を括っている方に見ていただきたい作品です。グロ表現から役者の本気度まで、抜かりのない完成度です。いつゾキュンが襲ってくるのか、だけでなく、極限状態における人間の醜さがとてもリアルに描かれています。
ダメ男は最後までダメなのか、それとも誰かのヒーローになるのか、ぜひ最後まで見届けてください。
こんな人にオススメ
- ダメ男の成長物語がみたい。
- 邦画ゾンビものの傑作が見たい。
こんな人には向かないかも…
- グロテスクな表現が苦手
- 非現実的なストーリーは求めていない。
2.ヒメアノ～ル
「めんどくさいから、殺しちゃっていい？」
あらすじ
岡田進（濱田岳）はビル清掃会社で働きながらも、淡々と過ぎていく日々に不安を募らせていた。そんな中、岡田は同じ清掃会社で働く、冴えない先輩の安藤（ムロツヨシ）と仲良くなる。安藤はコーヒーショップ店員の阿部ユカ（佐津川愛美）に恋をした。岡田はそんな安藤の恋の手助けをする中、逆にユカに告白されて付き合うことになる。
しかしその恋愛の裏では凄惨な殺人劇が起きていた。岡田の同級生で酷いイジメを受けていた森田正一（森田剛）は無差別殺人を行いながらユカに目をつける。徐々に岡田たちの日常を侵食し始める。
ぐったり名作ポイント
前半はベタベタのラブコメから、途中作品タイトルが出た場面から雰囲気がガラッと変わります。最初のコメディ感からは想像もつかないような陰々滅々としたトーンになり、展開も重々しくなります。
イジメを見て見ぬふりしていた自分、あの時アイツに声を掛けられなかった自分。怒涛の展開からのラストシーンは多くの人が思い当たる節がある重苦しさではないでしょうか。ムロツヨシや濱田岳といった個性派俳優に全く引けを取らないV6の森田剛の演技も必見です！
こんな人にオススメ
- 本当に重い映画が見たい。
- V６森田剛の怪演が見たい。
こんな人には向かないかも…
- いじめ描写が苦手だ。
- レイプ描写が苦手だ。
- あまり良くない別れ方をした友人がいる。
3.クリーピー 偽りの隣人
「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」
あらすじ
元刑事の高倉（西島秀俊）は、同僚だった刑事の野上（東出昌大）から、6年前に発生した一家失踪事件捜査の協力を依頼される。だが、調査を進めても平行線だった。
一方、高倉が妻の康子（竹内結子）と共に最近引っ越した新居の隣人は、なにかおかしい家族だった。病弱な妻と中学生の娘の澪（川口春奈）をもつ人の良さそうな西野（香川照之）との何気ない会話に高倉夫妻は違和感を覚える。
そんなある日、澪は高倉に「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」と告げる。
ぐったり名作ポイント
「北九州監禁殺人事件」という実際の事件を元にした作品です。実際の事件はもっと凄惨で、本作はリアリティを抑えた作りなので鬱映画初心者にもオススメです。
とはいってもやはり始終不気味な雰囲気が漂い、香川照之演じる気味の悪い隣人との噛み合わないやり取りから始まる違和感が積み重なり、ある地点でそれが雪崩れ始めた後は想像もしなかった展開を迎えます。このジェットコースター感こそ、この映画の醍醐味です。
こんな人にオススメ
- 気味の悪いサイコパスものが好きだ。
- 実話を元にした作品を見たい。
こんな人には向かないかも…
- リアリティに欠ける展開が苦手だ。
- 映画の無能な警察にイライラする。
4.映画 闇金ウシジマくん
「で、いくら欲しいの？ ウチはトゴ（10日5割）だけど。」
あらすじ
丑嶋馨（山田孝之）が経営する「カウカウファイナンス」は10日で5割（トゴ）という違法な金利で金を貸し付けるヤミ金業者である。彼のもとに訪れる客とその関係者の人間関係、そして社会の闇を描く。
借金の回収のためにセレブたちのホームパーティに訪れた丑嶋は、イベント系サークル代表のジュン（林遣都）と出会う。数日後、カウカウファイナンスに現れたジュンは、イベントの資金調達のための借金を無心する。
ぐったり名作ポイント
人気漫画「闇金ウシジマくん」を映画化した本作。原作は綿密な下調べにより、物語のリアリティを追求することで有名です。
登場人物は全員がスネに傷を持つ者たちで、数々の行動はお世辞にも褒められたものではありません。しかし主人公の丑嶋馨が放つ言葉の一つ一つには迫力があり、とてもパワフルなダークヒーローです。彼の言葉は耳が痛いのと同時に、心を奮い立たせるものにもなり得るでしょう。
こんな人にオススメ
- 「闇金ウシジマくん」の原作ファンだ。
- 少しブラックな裏社会を覗いてみたい
こんな人には向かないかも…
- 法律違反している人が正義を語るのが苦手だ。
- 原作のキャラのイメージを壊したくない。
- 原作のオムニバス形式が好きな人（劇場版ではそれらがクロスオーバーします）。
5.ヒミズ
※注意！この作品は東日本大震災に関連する描写が含まれています。
「『生きろ』と君が言った」
出典：Amazon.com
あらすじ
両親に見捨てられ、孤独に生きる住田祐一（染谷将太）。彼の夢は平凡に生きる大人になること。
そんな祐一にクラスメイトの景子（二階堂ふみ）は好意を抱き、祐一の仕事を手伝うなど積極的にアプローチする。それを疎ましく思いながらも、少しずつ心を開き始める祐一。ところが、蒸発していた父親（光石研）が戻ってきたことで、その日常は大きく狂い始める。
ぐったり名作ポイント
古田実作の漫画「ヒミズ」を映画化した作品です。序盤はややコメディタッチな部分が見られるものの、後半につれてだんだんトーンが暗くなります。
震災後や虐待といった過酷な環境にあるからこそ、正常な判断ができない登場人物たちの、内に秘めた暗さがだんだん浮き彫りになっていく様には、感情がかき乱されます。俳優女優陣一人一人の圧倒的な存在感にも注目です。
こんな人にオススメ
- 劣悪な環境にある少年少女たちが生き抜く作品を見たい。
- 日本随一の俳優陣の演技が見たい！
こんな人には向かないかも…
- 東日本大震災関連の作品は見たくない。
- 登場人物に感情移入しにくい作品が苦手だ。
- 原作と違うものは見たくない。
6.冷たい熱帯魚
「人生は”痛い”」
出典：Amazon.com
あらすじ
小さな熱帯魚店を営む社本信行（吹越満）は、死別した前妻の娘（梶原ひかり）と現在の妻（黒石あすか）の確執に居心地の悪さを感じる日々を送っていた。ある日、娘の万引きという非行により窮地に陥る社本の前に現れたのはスーパー店長と仲のいい村田（でんでん）だった。
村田の懇願により店長は万引きを許す。その親切さから、社本と村田夫妻との交流が始まる。しばらく経ったある日、社本は村田から高級魚の取引を持ちかけられる。村田の悪徳商売と知るも、それが引き返せなくなる事件の始まりだった。
ぐったり名作ポイント
「埼玉愛犬家連続殺人事件」を元にした作品です。ごく普通の穏やかな中年男性が内に秘めた狂気を無理やりこじ開けられ、そのへんの悪党よりも残酷でゲスくなっていく様を見ると、私達の日常で起こる事件にも通ずるものがあるのではと思わされます。
華々しい俳優は出演していないのですが、彼らの演技は狂気に満ちており、鬼気迫るという言葉がぴったりです。特にでんでん演じる村田の強烈さは映画史に残る悪役っぷりです。
こんな人にオススメ
- サイコパスたちの怪演を見たい。
- 最高にグロい作品が見たい。
こんな人には向かないかも…
- 生々しいエロ描写が苦手だ。
- 家庭内不和の描写が苦手だ。
7.犬神家の一族
「愛と憎しみ、そして怪奇」
あらすじ
大富豪 犬神佐兵衛（三國連太郎）が残した謎の遺言状。犬神財閥の巨額の遺産の相続を巡り、不可解な連続殺人が起こる。
犬神家の家宝である 斧（ヨキ）・琴（コト）・菊（キク）に隠された秘密とは？ 名探偵・金田一耕助（石坂浩二）が解き明かす血の系譜、そして意外な真相とは。
ぐったり名作ポイント
ミステリー界の巨匠 横溝正史の作品を映像化した最高傑作。何度もテレビドラマ化やリメイクされた邦画ミステリーの最高峰です。湖から伸びる逆さまになった足のビジュアルはあまりにも有名です。複雑な人間関係を元にした作品でありながら、次々と明らかになる登場人物の過去や心情からとても分かりやすいものになっています。
有名なのは知っているけれど、実はちゃんと見たことがないという人は是非見てください！2006年に公開されたセルフリメイク版もあり、そちらは幾らか新しい画になっています。
こんな人にオススメ
- 日本映画の金字塔が見たい！
- テレビドラマ版は見たことがあるけれど映画版は見たことがない。
こんな人には向かないかも…
- 古い映画は苦手だ。
- 遺産相続のドロドロした展開が苦手だ
8.震える舌
「少女は悪魔と旅立った」
出典：Amazon.com
あらすじ
ある日、泥遊びをしていた昌子（若命真裕子）は、落ちていた小さな釘で手にケガをした。両親はよくあるケガだと思い自宅で処置などをしたが、数日後に歩き方がおかしいことに気づく。父の昭（渡瀬恒彦）と母の邦江（十朱幸代）は昌子を病院に連れていくが、大したことはないと診断され、取り合ってもらえない。
やがて昌子は痙攣を起こし、自身の舌を噛み切って悶え始めた。大学病院での専門医（中野良子）による検査の結果、昌子は破傷風にかかっていることが判明する。
ぐったり名作ポイント
破傷風にかかった娘に、どのような症状が起きるのかを克明に描いた作品です。舌を噛み切ってしまうほどの痙攣から歯を全て抜くシーンや、金切り声をあげながら悶え苦しむ少女はトラウマ級です。
強烈な筋肉発作により、人とは思えない体の反り方などはあの映画「エクソシスト」ですら霞んでしまうほどです。破傷風に苦しむ少女だけでなく、看病に疲れた母親が見せる不気味な笑顔や奇行は、もはやホラー映画です。
こんな人にオススメ
- ホラー映画のようなドラマが見たい。
- 破傷風についてあまり知らない。
- 日本映画の名作を見たい。
こんな人には向かないかも…
- 子供が苦しむ映画は見たくない。
- 古い映画が退屈だ。
9.リング
「これぞジャパニーズホラーの最高傑作！」
あらすじ
テレビ局のディレクターである浅川玲子（松嶋菜々子）は、見た者を1週間後に死に至らしめる「呪いのビデオ」の存在を知る。玲子は、そのビデオが本当に呪いの力を持つことを突き止める。
事件が起こった別荘を訪れた玲子は、そこで不審なビデオの映像を見てしまう。これが本物の「呪いのビデオ」であることを悟った玲子は、離婚した元夫で超能力者である高山竜司（真田広之）に相談を持ちかける。
竜司もビデオの映像を実際に見て調べ、これが過去に伊豆大島の噴火を予知したとされる超能力者・山村志津子に関連したものであることが判明する。竜司は伊豆大島へと出立するが、そんな中、玲子と竜司の息子である陽一がビデオを見てしまう。
ぐったり名作ポイント
ジャパニーズホラーの最高峰との呼び声の高い本作。心霊映画はクライマックスに近づくにつれてどうしてもアクション要素が入りがちになり、それにより怖さが軽減されがちなジャンルですが、本作は最後まで滞りなくジトッとした気味悪さを残す徹底さです。
こんな人にオススメ
- 邦画ホラーの真髄を見たい。
- 心霊系のホラーを見たい。
こんな人には向かないかも…
- ホラーは苦手だ
- 90年代特有の古さが苦手だ
10.女優霊
「邦ホラーの全てはここから始まった」
出典：Amazon.com
あらすじ
新人映画監督の村井俊男（柳憂怜）は自身のデビュー作を製作中、その作品に不気味な映像が混ざっていることに気付く。それ以降、撮影現場で奇妙な現象が起こり始める。
監督デビュー作の撮影中、ラッシュフィルムに一本の未現像フィルムが混じっていた。その中に謎の女が映っていたが、どうやらそのフィルムは昔、製作中止になった作品のものらしい。
しかし、そのフィルムを見てしまった時から撮影現場で奇妙な出来事が起こり始める。
ぐったり名作ポイント
後に「リング」で大ヒットする中田秀夫監督が手がけたホラー作品です。随所にリングに通ずる場面が見られます。霊や怪奇現象をはっきり見せない、観客の想像に委ねるといったジャパニーズ・ホラー特有の恐怖表現の源流を見ることができます。
明らかに人間ではないものが生み出す恐怖の場面。世界でも評価の高い邦画ホラーの元祖を是非確かめてください。
こんな人にオススメ
- 邦画ホラーの元祖が見たい。
- リングのような作品が見たい。
こんな人には向かないかも…
- ホラー映画が苦手だ
- 洋画のホラー表現が好きだ。
11.告白
「私の娘は殺されました」
あらすじ
とある中学校の1年B組、終業式後のホームルームで、教壇に立った担任の森口悠子（松たか子）が、「わたしの娘が死にました。事故死と判断されましたが、娘は事故で死んだのではなくこのクラスの生徒に殺されたのです」と静かに語り出す。教室は静まりかえり、悠子の告白から物語が始まる。
ぐったり名作ポイント
湊かなえ作ベストセラー小説の映画化作品、賛否両論となった話題作です。登場人物たちの独白形式でストーリーが進む本作は、芥川龍之介作「藪の中」のようで、非常に特徴的です。
全編にわたってダークな雰囲気が漂いますが、登場人物たちの心情描写が豊かで、原作よりかは感情移入しやすくなっています。見た後はずっしりと心が重くなる作品です。
こんな人にオススメ
- 法で裁けない人を裁くビジランテものが見たい！
- 新しい手法の作品が見たい人。
こんな人には向かないかも…
- いじめ描写を見るのが辛い人。
- 家庭内暴力のシーンを見るのが辛い人。
12.日本で一番悪い奴ら
「日本最大の警察不祥事。奴らは何をしたのか？」
出典：Amazon.com
あらすじ
柔道チャンピオンの腕っぷしの強さを買われ、北海道警・刑事となった諸星要一（綾野剛）。現場に配属されるが、刑事たちの前では萎縮する毎日だった。
ある時、署内一の敏腕刑事 村井（ピエール瀧）から刑事の生き残り方を教わる。何よりも「点数」を稼ぐことを第一とし、そのためには自ら裏社会に飛び込み、スパイを作れば優先的に情報が入ると言う。
諸星はそれに感化され、署内でのし上がっていく。彼を慕って集まった元暴力団幹部 黒岩と3人のスパイたちとの、狂乱の日々が幕を開ける。
ぐったり名作ポイント
日本最大の警察不祥事とも言われる「稲葉事件」を元にした本作。最初はオドオドした性格の諸星が自信と実績を伴って裏社会を渡り歩いていく様はクライムサスペンスでありながら、痛快なサクセスストーリーと見ることもできます。
仲間になるチンピラ、元ヤクザ、怪しいパキスタン人の三人組とはもはやチームであり、このメンバーで大きな大会を目指すバディムービーのようにもとれます。と、なんだか良い事をしているように書きましたが、やってる事は”ちゃんと”酷い事ですよ！
こんな人にオススメ
- 実話を元にした作品が見たい。
- なよなよした人間が成り上がっていく成功物語が見たい。
こんな人には向かないかも…
- コミカルなサスペンスが苦手だ。
- セックスシーンが苦手だ。
13.アヒルと鴨のコインロッカー
「神さま、この話だけは見ないでほしい」
出典：Amazon.com
あらすじ
椎名（濱田岳）は引っ越し先のアパートの隣の住人 河崎に「本屋で広辞苑を盗まないか」と誘われ、本屋から広辞苑を盗む手伝いをさせられてしまう。その後、河崎やペットショップの店長（大塚寧々）をしている麗子から2年前の出来事を聞かされる。2年前の話は、琴美（関めぐみ）、その恋人であるブータン人のドルジ、河崎、麗子を中心に展開する。
ある日の夜、琴美ら2人はペット惨殺事件の犯行現場を目撃してしまい、その犯人たちに目を付けられてしまう。2年前の事件と現在の本屋襲撃が次第につながっていく。
ぐったり名作ポイント
伊坂幸太郎作の同名小説を映画化した作品です。「映像化は難しいと思った」と著者本人のコメントにある通り、複雑な構造の物語です。
映画化された本作は非常に分かりやすく作られており、尚且つ上質なサスペンスとなっています。それでいて重苦しくなく、明るい画作りと色調で進むため、大変見やすい映画です。終盤で明らかになるどんでん返しには注目です。
こんな人にオススメ
- どんでん返しの映画が見たい。
- 青春群像劇のような作品が見たい。
こんな人には向かないかも…
- 徹底的に暗い映画が見たい。
- エログロな鬱映画が見たい。
14.野火
「なぜ大地を血で汚すのか」
出典：Amazon.com
あらすじ
第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。日本軍の敗戦が色濃くなった中、結核を患った田村一等兵（塚本晋也）は、部隊を追い出される。
野戦病院に行くも、負傷兵だらけで食料も不足する中、芋しか持ち合わせていない田村は早々に追い出され、ふたたび戻った部隊からも入隊を拒否され、はてしない原野を彷徨うことになるのだった。その先で田村が見たものとは。
ぐったり名作ポイント
戦闘シーンは少ないものの、邦画の戦争映画においてこれほどのゴア描写に力をいれた作品はなかなか無いでしょう。湿度の高いフィリピンのむさ苦しさが画面を通してヒシヒシと伝わってきます。
フィリピン戦は、戦闘で亡くなった人よりも餓死や病死で亡くなった人のほうが圧倒的に多いと言われています。一人の人間が孤独と空腹で衰弱する様は、別の視点で戦争の恐ろしさを突きつけられます。
こんな人にオススメ
- 極限状態の人間ドラマを見たい。
- 一味違う戦争映画を見たい。
こんな人には向かないかも…
- 生々しい戦争描写が苦手だ。
- 死体や蛆虫を見るのが苦手だ。
- 湿度の高い場面を見るのが苦手だ。
15.凶悪
「誰が”凶悪”なのか」
出典：映画『凶悪』公式サイト
あらすじ
スクープ雑誌「明潮24」に東京拘置所に収監中の死刑囚・須藤（ピエール瀧）から手紙が届く。記者の藤井（山田孝之）は上司から須藤に面会して話を聞いて来るように命じられる。藤井が須藤から聞かされたのは、警察も知らない須藤の余罪、殺人事件とその首謀者である「先生」と呼ばれる男・木村（リリー・フランキー）の存在だった。
木村を追いつめたいので記事にして欲しいという須藤の告白に、当初は半信半疑だった藤井も、取材を進めるうちに須藤の告発に信憑性があることを知ると、取り憑かれたように取材に没頭して行く。
ぐったり名作ポイント
「上申書殺人事件」という実際の事件を元にした作品です。凶悪な死刑囚を取材するうちに、その闇にのめり込んでしまう記者の藤井。いつしか藤井もまた凶悪になっていくのです。
実際に殺人を犯した人と、殺人を教唆した人ではどちらが悪いのか。最後に藤井が死刑囚の須藤に言い放つ言葉は現代社会における大きな提言です。
こんな人にオススメ
- 悪趣味な演出が見たい。
- ルポタージュのような映画が見たい。
こんな人には向かないかも…
- 動機が弱い作品が苦手だ。
- レイプシーンが苦手だ。
- 生々しい暴力描写が苦手だ。
16.ミュージアム
「あなたは最悪のラストを期待する」
あらすじ
雨の日に起こる猟奇的殺人事件。死体の傍には奇妙なメモが残されていた。犯人は通称【カエル男】。自らを表現者、アーティストと呼び、猟奇的殺人を繰り返すカエル男。
警視庁捜査一課の刑事沢村（小栗旬）は、この事件の捜査を始める。捜査を進める過程で、カエル男が次に狙うは自分の妻子だと知った沢村。
カエル男から妻子を守るべく奮闘する。【カエル男】の正体は？彼の目的は何なのか？
ぐったり名作ポイント
数々の受賞をしたのも頷ける本格サスペンスです。カエル男の殺人方法は毎回ショッキングで、忘れられない映画になりますよ。そして妻夫木くんの衝撃的なスキンヘッドも必見です！
あと個人的な趣味でのイチオシポイントは、この犯人カエル男は雨の日でないと行動しません。それには理由があるのですが、そこは本編で。
カエル男のこの行動のせいで、“雨“のシーンが多い映画となっているのですが、雨に打たれる小栗旬がもうたまらん程セクシーなんです!!
そしてもう一つのイチオシポイントは、スッキリしない、そして背筋がゾクッとする終わり方です！イヤミス好きな方ならたまらないハズ。
ラストの息子の意味深な謎の行動…。劇中の中で解き明かされることはありませんが、ぜひご覧になって自分なりの推察をしてみて下さい！
17.CURE キュア
「これは単なる猟奇殺人か、それとも救いをもたらす”治療”か」
あらすじ
ベテラン刑事の高部賢一(役所広司)は猟奇殺人事件の捜査に派遣される。犯人は残酷さもさることながら、被害者の首から胸にかけてX字状に切り裂くという不可解な手口を用いていた。
犯人は現場近くですぐに逮捕され殺害も認めたものの、なぜ被害者を殺害したか動機を覚えていなかった。実は同様の事件が既に2件発生しており高部はこの連続殺人とも言えない奇妙な事件と、精神病を患う妻との生活に疲れていく。
やがて高部は各事件の犯人が犯行前に同じ男と会っていたという情報に辿り着く。男の名は間宮邦彦(萩原聖人)。捉えどころのない間宮に翻弄される高部だったが、しかし高部の心はなぜか癒されていく――
1997日本インターネット映画大賞日本映画作品賞を受賞したサイコ・サスペンス・スリラーです。幽霊なんて出ないにも関わらずに独特の非現実感といつ何が起きるのか分からない緊張感に満ちています。
ぐったり名作ポイント
この作品で重要なのは普遍性です。作中、普通の人間が唐突に殺人を犯します。まるでそうすることが当然のように。
本当に恐ろしいのは幽霊でなく人間とはよく言われるものですが、この”人間”って要するに誰のことなのか考えたことはありますか?
普通の人がいつ爆発するか分からない爆弾だと気付いてしまうと、この作品の緊張感は一気に破裂寸前にまで達します。
いつ、誰が、どこで爆発するのか。誰一人として例外はいません。主人公も頼れる相棒も、そこらへんの名無しのエキストラでさえ。そしてこの映画が何の目的で誰に目掛けて作られたものか理解したとき、
その脅威は画面の向こう側に収まらないものとして立ち現れてきます。
ここからは若干ネタバレになりますが、主人公の高部は間宮に”特別だ”と語りかけられる一方で、皆と同じであることを指摘されるシーンがあります。そうです。つまり、そういうことなのです。
そう考えるとじゃああのシーンは一体？あれは?あれもか？と次々に前提が崩れてしまってもう大変。
観終わったらもう一度再生ボタンを押すことになるでしょう。
こんな人にオススメ
- 不気味さにじわじわと絞められていきたい人
- 幽霊に食傷気味な人
- 深読みの好きな人
こんな人には向かないかも…
- サクサク進行して欲しい人
- ハッピーエンドでスッキリ終わって欲しい人
- 心理学に詳しい人(心理学そんなに便利じゃねーよと冷めるかもしれません)
18.黒い家
この人間には、心がないーー。
出典：Amazon.com
あらすじ
保険会社の若手社員の若槻（内野聖陽）は、菰田重徳（西村雅彦）という男に電話で家に来るよう支持を受ける。そこで、菰田の子供が首吊り自殺をしかことが発覚する。
しかし、この男は前から事象により保険金をせびる常習犯であったため、若槻は彼の偽装殺人を疑った。更に重徳の妻（大竹しのぶ）が若槻の自宅に押しかける、重徳が業務中両腕を切断サウルなど、不可解な自体が立て続けに起こったーー。
ぐったり名作ポイント
この映画の最大の恐怖ポイントは、菰田家の異常性です。菰田重徳の妻は若槻のことを殺害しようと保険会社に乗り込んだり、包丁を持って襲いかかってきたり、どれも普通とは思えない所業ばかりです。
更に、警察の調査により菰田家から衝撃のある「もの」が大量に発見されます。それを見ると、「人を生かすのも殺すのも、人」なんと改めて実感します。
こんな人にオススメ
- サイコホラーが好き
- ひしひしと迫る恐怖が好き
こんな人には向かないかも…
- パニックホラーが見たい
- 理不尽に不幸に貶められるのは見てられない
19.ユリゴコロ
人殺しの私を、愛してくれる人がいた。
あらすじ
亮介（松坂桃李）は田舎でカフェを婚約者の千絵（清野菜名）と始めるが、千絵が突然姿を消してしまう。さらに亮介に追い打ちをかけるように父（貴山侑哉）が末期がんのため余命僅かであることも発覚する。
精神的に追い詰められていく中、実家で「ユリゴコロ」と書かれた一冊のノートを発見した亮介は、そのノートを開き読み始める。ノートには亮介の母、美紗子の恐ろしい殺人の告白が書かれていたー。
ぐったり名作ポイント
「ユリゴコロ」と書かれた殺人の告白ノート。このノートを発見してしまった亮介は、一度も会ったことのない母に絶望します。そして婚約者である千絵の失踪…。父の余命。次第に追い詰められていく亮介。物語冒頭では何もかもが順風満帆な好青年といったイメージがぴったりな亮介ですが、歯車が狂い始め、その瞳に次第に狂気を帯びていきます。
そんな松坂桃李さん演じる亮介の心境の変化に注目して頂きたい作品です。ラストで全ての真相が明かされると、恐ろしくもあり、切なさもあり…たっぷりと余韻に浸れる作品となっています。
20.Another
あらすじ
1998年、15歳の榊原恒一（山崎賢人）は父親がしばらく仕事で海外に行くことになり、叔母の三神怜子（加藤あい）とともにしばらく山間部で暮らすことになる。
引っ越してからというもの倒れてしまった恒一は、病院で奇妙だが美しい少女の姿を見る。しかし、その少女は不思議な言葉を言い残し、霊安室へと消えていってしまった。
学校に通い始めた恒一は同じクラスに病院で見かけた少女がいることに気づく。彼女の名前は見崎鳴（橋本愛）といい、クラスメイトだけでなく、教師までもが鳴のことをまるで存在しないかのように扱っていた。恒一は不思議に感じ、鳴にどういうことなのか聞いてみようとするが、逃げられてしまってなかなか話しかけられない。
やっと鳴に声をかけた時、その場面を1人の生徒に見られてしまう。その後、恒一はその生徒が命を落としてしまったことを知る。それを皮切りにクラスでは次々と不吉なことが起こり始める。
果たして、見崎鳴とは誰なのか、存在するのか…
ぐったり名作ポイント
ホラー映画といいながらも、ミステリー映画色の強い今作は、ホラーの苦手な人でも観られるといわれています。少しグロテスクなところはありますが、勇気を出して観てみるのはどうでしょうか？
まだ若くてブレーク前の山崎賢人さんが見れます。そして、橋本愛さんとの共演は2回目。一回目ではそこまで打ち解けることはできなかったそうですが、今作でかなり打ち解けて仲良くなることができたんだとか。そんな2人の息のあった演技にも注目です。
まとめ
なぜこんな落ち込む映画を見たのかと後悔する時があります。しかしそのモヤモヤは、あなたの心の奥底に沈み、発酵し、澱となり、「嫌だけど、なぜか忘れられないもの」になるでしょう。それがいつかあなたが落ち込んだ時の救いとなるかもしれません。
