フランス映画のパリジェンヌ達に学ぶファッション | 着こなしポイントも解説!
ヨーロッパ映画は独特な世界観やセンスがありますが、中でもフランス映画は映画史上に残るおしゃれな名作が顔をそろえているのではないでしょうか。フランスのおしゃれは、あまり流行に左右されないと聞いたりもしますが、映画を見ればそれも納得。
古い映画でも、年月がたっているとは思えないほど、映画の中のパリジェンヌたちは輝いています。
中でも参考にしたい選りすぐりのおしゃれ映画をご紹介します!
目次
フランス映画のファッション特集!
1 マニッシュなカッコよさの原点を学ぶなら『ココ・アヴァン・シャネル』
あらすじ
早くに家族を失ったガブリエル・シャネル(オドレイ・トトゥ)は孤児院で育ち、18歳で叔母に引き取られる。
お針子の仕事をしつつ、ナイトクラブで歌手として歌ううちに、そこで出会った将校の愛人となるが暮らしは退屈そのもの。
そんな生活の中で、彼女はイギリス人の実業家ボーイ(アレッサンドロ・ニヴォラ)と恋に落ちる。
彼女の思いを受け止め何かと力を貸してくれたボーイだったが、数々の障害があり、いっしょになることはかなわなかった。
一生誰かの妻になるということはしないと決意したガブリエルは、ファッションを通して、女性が自分らしく生きにくい時代に反発する。
やがてその生き方とセンスは世界中の女性たちの心をつかみ、伝説のデザイナーへと成長していくことになる。
フランスファッションのポイント
世界的に有名なココ・シャネルの成功までの道のりを描く伝記映画です。
機能的でスタイリッシュなデザインが特徴のシャネルブランドですが、それが出来上がる過程は、シャネルが生きてきた時代や彼女の心意気とおおいに関係していることがわかります。
この時代、女性が着ていた服は女性らしいラインを強調したウエストを絞る形のもので、コションやルセットを着用していたため、非常に動きにくいものでした。
シャネルはあえてその制約を取り払い、ウエストのゆったりとしたワンピースや、男性のジャケットやパンツを基本にした動きやすいマニッシュな形の服を作り上げたのです。
くるぶしが出る長さのパンツや、それに合わせた帽子のバランスも絶妙で、黒が女性を魅力的に見せることも実感します。
また、当時は第一次戦争の勃発に伴い女性の職業が多様化したことで、より動きやすい服装が好まれる時代になりつつありました。そこでシャネルは、フランスの港町ドーヴィルで男性労働者が着ていた”ボーダー柄Tシャツ、ジャージ、マリンハット”を買い取って改良し、その服を着て街に出て女性からの反応を試したんだとか。
これさえあれば”シャネル風”ファッションに!
「シャネルといえばブラックドレス」と連想する方が多いのではないでしょうか。その中でもシャネルのアイコンとして有名なのは、やはり”リトルブラックドレス”でしょう。LBDと呼ばれるドレスは、直線的なネックラインと足にふんわりとフィットするスカートが特徴です!
現在でもシャネルのファッションの定番として人気であり、シャネルのファッションショーの定番として圧倒的な支持を得ています。
くるぶしが出る長さのパンツや、それに合わせた帽子のバランスも絶妙で、黒が女性を魅力的に見せることも実感します。当時は黒が喪服や使用人の制服などにしか使われておらず、「ブラックドレスなんてあり得ない」というような風潮があった中、シャネルが”黒”の概念を変えたといっても過言ではありません。
2 ”レトロかわいい”を学ぶなら『アメリ』
あらすじ
心臓に疾患があると勘違いされた父のせいで、登校もせず人から遠ざかって生きてきたアメリ(オドレイ・トトゥ)は、コミュニケーションが下手で空想好きの少女。
成長して22歳になったアメリはカフェで働き始めるが、相変わらず想像と一人遊びを楽しむ毎日。
ある日、ひょんなことから子供を喜ばせることをしたアメリは、人に喜んでもらうことに幸せを見出す。
奇妙な行動でありながら結果的に人に喜んでもらうことができ、アメリは幸せな気分に。そんなアメリの前に心ときめく男性が現れる。
彼にも幸せになってもらおうとするアメリだったが、自分自身はどうしても彼の前に存在を表す勇気がもてない。
果たしてアメリの恋は叶うのか…。
フランスファッションのポイント
オドレイ・トトゥを一躍有名にし、おしゃれな映画の代名詞ともなっている「アメリ」です。
実際見たことはなくても題名だけは知っているという人も多いのではないでしょうか?
この作品は、何といっても映画全体から溢れるファッション性が抜群!
レトロっぽいデザインの服装や、傘など小物の柄、黒くてごついドクターマーチンの革靴はアメリが履いていた靴として人気を博しました。
そして、ぱっつんと切りそろえたアメリの髪型は一種のブームを起こしたほどです。アメリのヘアスタイルは「フレンチボブ」と呼ばれる、毛先を遊ばせたふわっとした雰囲気のボブです。クセのある人でもスタイリングしやすいのがポイント!
髪を切ってイメチェンしようと思っている方は、思い切って「アメリ風フレンチボブ」をオーダーしてみてはいかがでしょうか?
後頭部のふんわり感もカワイイ❤
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映画『アメリ』は服装だけでなく、インテリアも素敵です。
好きなものに囲まれたアメリの部屋は、一人暮らしの女子の心をわし掴みにします。動物モチーフのインテリア小物、赤を基調とした部屋がとにかく可愛い!
時がたっても決して色あせない人気を誇るおしゃれの金字塔ムービーです。
これさえあれば”アメリ”風ファッションに!
アメリ風ファッションで印象的なのは、レトロデザインの中でも比較的大きめにデコルテが空いているデザイン。少しセクシーさを出すことで、子供っぽくなりがちなレトロファッションがぐんっと大人っぽくなります。
アメリはショートカットなので、美しいデコルテがより目立って素敵ですよね!l
アメリが勤務先のカフェで着ている緑のトップスは特に真似しやすいファッションです。首元が空いていてもあえてアクセサリーをつけないのがアメリ風。シンプルなので、大人っぽさがより引き立ちます。
また、アメリファッションで抜かせないのはランジェリー。映画内でアメリは、考え事やなにか計画を立てている時に下着一枚の姿を披露しています。セクシーさとキュートさを兼ね揃えた白のネグリジェは、女性らしさをプラスしてくれる大事なアイテムです。
3 自分らしさ×バランス感を学ぶなら『なまいきシャルロット』
あらすじ
13歳のシャルロット(シャルロット・ゲンズブール)は思春期の真っ最中。
学校での友達関係もややこしく、家での兄妹げんか、父にも反抗的な口をきいてしまうなど、常に心の中はモヤモヤしたもので溢れていた。
母親を亡くしているシャルロットが唯一心を許して話せるのが近所に住む年下の少女ルルだけ。
そんなある日、シャルロットがたまたま道を聞かれた相手が、偶然にもビデオでいつか見た憧れの少女ピアニストクララの一行だったことで、シャルロットの生活に変化が訪れる。
彼女と出会ったことで、今の自分から抜け出せるように感じたシャルロットは、クララに着いてこの町から出ていこうと心に決めるが、しかし現実はそう甘くはないのだった。
ファッションの見どころポイント
十代の少女のまわりを取り巻く様々な出来事と、揺さぶられ翻弄する思春期の複雑な感情が新鮮な青春映画ですが、とにかくシャルロットのファッションセンスが抜群です。
といっても、彼女が着ている服はごくシンプルなもの。ボーダーのTシャツとジーンズ、白のシャツとデニムのスカートなど、どこにでもあるファッションです。しかし彼女が着るととてもおしゃれに見えてしまうから不思議です。
参考にすべきは絶妙なバランス感。髪型、シャツの長さ、袖やパンツの丈、ボタンの開け具合など、大事なのは服のデザインではなく、全体のバランスだということを教えてくれます。
これさえあれば”シャルロット”風ファッション!
映画のパッケージにもあるように、シャルロットといえばボーダーTシャツ×ジーンズ”!本作で彼女が着ているのは、フランスで生まれたブランド「ORCIVAL(オーシバル)」のもの。マリン風ファッションの商品が多く、1950年〜60年にはフランス海軍の制服として提供していたんだとか。
ゆったりとしたシルエットなものが多く、特にシャルロットが着用したマリンTシャツはオーブンエンドという糸で編まれていている丈夫な生地が特徴的です。他にもぴったりシルエットのものやノースリーブもあるので、何着か着回すのもオシャレですね。
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4 パーキンにカゴバック使いを学ぶなら!『スローガン』
「バッグ使いに革命を起こす」
あらすじ
映画祭でグランプリを受賞したその日、CMディレクターのピエール(セルジュ・ゲンズブール)は、エレベーターでイギリスからやって来た魅力的な若い女性エヴリン(ジェーン・バーキン)と出会う。
彼らはすぐに惹かれ合い恋に落ちるが、ピエールには妊娠中の妻がいた。離婚を決意するピエール。
いっしょに暮らし始めた二人だが、情熱的で若いエヴリンに翻弄され平穏な暮らしにはならなかった。
ファッションの見どころポイント
ジェーン・バーキンが映画で共演し、セルジュ・ゲンズブールと実際のカップルとなったことでも有名な大ヒットラブストーリー。シャルロット・ゲンズブールの母でもある彼女は、おしゃれな女優としても知られていました。
ミニのワンピースやアクセサリー使いなど注目すべきセンスに溢れている彼女ですが、なんといってもこの映画の中で話題になったのが、カゴバッグです。
プライベートでもカゴバッグが好きで、どんなファッションにもうまく合わせて持ち歩いていたようです。
これさえあれば”エヴリン”風ファッション!
エヴリンのファッションアイコン・カゴバックは色々な種類があって迷いがちですが、彼女がよく使用しているのはピクニックに行くかのような大きさのタイプ。
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カゴバッグは可愛いのですが、デメリットは中の物がごちゃごちゃになってしまうこと。偶然それを見たデザイナーのエルメスがポケット付きのバッグを彼女に作ってあげたことから、バーキンバッグができたというのは有名な話です。
形や大きさが様々なのでファッションに合わせて使い分ければ、よりエヴリン、もといジェーン・バーキンに近づけるかも!?
5 60年代フレンチファッションを学ぶなら!『シェルブールの雨傘』
あらすじ
自動車修理工のギイ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)とシェルブールの雨傘店の娘ジュヌヴェーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は恋人同士で結婚の約束をしているが、まだ若すぎるとジュヌヴェーヴの母に反対されている。
やがてギイにアルジェリア戦争の招集礼状が届き、永遠の愛を誓い合いギイは戦地へ。
その後、妊娠したジュヌヴェーヴはギイに連絡をとるものの、次第に音信不通になっていく。
打ちひしがれていくジュヌヴェーヴ。そんな時、結婚話が持ち上がる。
相手は以前莫大な納税の通知を受けた母を援助してくれた宝石商の男性だった。彼は子供もいっしょに育ててくれると言う。
そんな時、待ちに待ったギイからの返事が届くのだった。
フランスファッションのポイント
1964年公開の恋愛映画の名作です。60年代のファッションをおしゃれに着こなしているのはカトリーヌ・ドヌーヴ。バーバリーのトレンチコートは有名ですが、シックなコートの中は少女のようなワンピース。頭には常にリボンなのですが、それが子供っぽくない。
カラフルな色のコートやニットにプリーツスカート、どれをとっても今でも着られるアイテムばかりです。カトリーヌ・ドヌーヴだけでなく、まわりの人たちのファッションも全体的に色合いがはっきりしていて60年代ファッション満喫といった感じで、ストーリーの暗さを忘れるくらい楽しませてくれます。
これさえあれば”シェルブールの雨傘”風ファッションに!
時が経っても色褪せないトレンチコートといえば、『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘップバーンの着こなしが有名です。彼女のように黒のドレスに膝丈のコートのクラシックなコイーディネートはかっこよさと可愛さが共存している着こなし。
一方、ジュヌヴェーヴ役を演じたカトリーヌ・ドヌーヴのトレンチルックは、1960年代の王道ガーリースタイル。バーバリーチェックをさりげなくのぞかせながら、中は鮮やかなブルーのギンガムチェックワンピースで大人らしさと無邪気さが感じられます。締め色になっている黒のカチューシャが素敵ですね。
出典元:『バーバリー』公式通販サイト
6 女は女である
「赤と青が映えるおしゃれなインパクト」
出典:Amazon.co.jp
あらすじ
パリの下町に住むエミール(ジャン・クロード・ブリアリ)はストリップガールのアンジェラ(アンナ・カリーナ)と同棲中。
ある日突然アンジェラが子供がほしいと言い出す。しかも24時間以内に!
今の生活が気に入っているエミールは怒って二人はケンカになる。
それなら他の男に子供をつくってもらうと、アンジェラは勢いで同じアパートに住むアルフレッド(ジャン・ポール・ベルモンド)に近づいていく。
彼は元からアンジェラに好意を寄せていたことから、誘いに乗ってしまうのだった。
フランスファッションのポイント
「勝手にしやがれ」で名をはせたゴダール監督がその後に制作したコメディ映画。色彩が豊かで美しくゴダールらしい映画です。特に際立つのがアンナ・カリーナのファッション。赤いカーディガンを前のボタンを留めてセーターのように丸首で着る。それにチェックのスカートを合わせているコーディネイトは、50年以上前の映画とは思えないほど現代でも違和感のない服装。
ダンサーとしての舞台衣装であるセーラーのワンピースや、その下のランジェリーもガーリーで、全然 嫌らしくない。
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衣装だけでなく、映画全体に赤と青を効果的に使うことで、インパクトが大きくおしゃれな印象です。ゴダール監督は映画の中で使うファッションアイテムには、かなりこだわりを持っていたそうです。
これさえあれば”アンジェラ風”ファッションに!
映画内で青・赤・白”を特に上手く着こなしている印象があるアンジェラ役のアンナ・カリーナ。彼女のクッキリとした顔立ちと、真っ赤なトップスが彼女の華やかさをより引き立てています。特に印象的なのは、真っ赤なトップスとブルーのアイシャドウにゆるめのポニーテール。
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ギンガムチェックのタイトスカートを合わせれば、よりアンジェラに近づきます!
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7 麗しのサブリナ
「ファッションは映画を作る重要なアイテム」
出典:Wikipedia
あらすじ
大富豪の運転手の娘であるサブリナ(オードリー・ヘップバーン)は、その家の次男デイビット(ウイリアム・ホールデン)に夢中。
しかし身分違いだと父にも諦めるよう説得されて、車庫で自殺を試みようとするサブリナを助けたのが、長男のライナス(ハンフリー・ボガード)だった。
その後、料理を学ぶためフランスに留学したサブリナは、帰国後見違えるような大人の美女となっていた。
さっそく言い寄るデイビッドだが、サブリナの存在は会社の重要な取引の邪魔になってしまうという理由で、富豪一家が引き離そうと画策する。
その役割を担うのがライナスだが、サブリナと接するうちに次第に彼女に惹かれていく。
微妙な三角関係の結果は?
フランスファッションのポイント
出典:Wikipedia
フランスの有名デザイナー、ジバンシイのファッションと、オードリー・ヘップバーンの映画は切り離せません。 初めてジバンシーの衣装が登場したのが「麗しのサブリナ」。
中でも有名なのが、社交界にデビューする時に着用する白のロングドレス。
オードリーの美しさを際立たせるシンプルな白を基調に、バストと裾部分に黒のシルク糸で施された花柄がうっとりする華麗さ。オードリーは実際にこのドレスをジバンシイの前で選びそれを着て踊って見せました。その姿を見たジバンシイは、ドレスを”吹雪の中に現れた雪原”に例え、”スノードリフト・ドレス”と名付けました。シンプルが最も美しいと信じていたオードリーにとってこのドレスはまさに理想だったのでしょう。
また、ウエストの細いオードリーだからこそ似合うウエストを絞ったジャケットも話題になりました。
「ティファニーで朝食を」のブラックドレスなど、その後も数々の映画のインパクトのある衣装として、ジバンシーの服は登場することになります。晩年までファッションのパートナーであり続けたオードリーとジバンシーの出会いは、映画の中のファッションの関わりとインパクトの重要さに大きな軌跡を残したと言えるでしょう。
これさえあれば”サブリナ風”ファッションに!
華やかなドレスを華麗に着こなすサブリナですが、普段着にも取り入れられるような着こなしも真似したいところ。特にこのチェックシャツの着こなしは目を引くような独特さです。”かシュールスタイル”と呼ばれるこの着方は、シャツの前ボタンを閉めず着物のようにズボンに入れているんです!ウエスト部分がしっかりみえることでオードリーのスタイルの良さがより強調されているこのコーディネートなら、簡単に真似ができます!
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まとめ
フランス映画のおしゃれさの特徴は、時代が変わっても色あせないということではないでしょうか。
その映画から始まった着こなしやアイテムがたくさんあることに、改めて驚かされます。
また、フランス女優たちのセンスの良さは年を重ねても変わることがなく、いつまでもおしゃれで素敵です。
監督や女優たちがこだわりぬいたフランス映画を参考に、ファッションセンスに磨きをかけましょう!