社会派映画が好きなあなたに観てほしい!”武正晴”監督映画おすすめ7選!
『百円の恋』や『リングサイド・ストーリー』など、主人公がどん底から這い上がる姿を描いた力強い映画や、『EDEN』や『銃』といった、メッセージ性の強い作品を手掛けてきた名監督・武正晴。
鑑賞後に考えさせられるような深い内容の作品を多く制作されているので、社会派映画が好きな方にぜひ観て頂きたいです!
不完全な登場人物達を魅力的に描く作風で、とてもリアリティがある演出が特徴となっております!
今回は、そんな武正晴監督のおすすめ映画を撮影裏話&みどころと共にご紹介していきます!
武正晴監督について
出典:Amazon.com
武正晴監督は1967年1月1日生まれ、愛知県出身。助監督として映画製作の経験を積み、韓国で行われる「釜山国際映画祭」を題材とした作品『ボーイ・ミーツ・プサン』で監督デビューを果たしました。
そして、引きこもりだった主人公がボクシングを通して成長していく映画『百円の恋』が、日本アカデミー賞を始めとする数々の映画賞を受賞し、話題になりました。
その後も数々の素晴らしい作品を制作し、今後の活躍も期待されている監督です!
隆正晴監督のおすすめ映画
そんな武正晴さんの監督した作品7選をご紹介します。どの映画にも熱いメッセージが込められており、あなたの胸に残ること間違いなし!また、武監督の映画への強い思いを感じられる撮影秘話にも注目です。
武正晴監督の独自の目線で描かれる社会派映画を、ぜひお楽しみください!
1. EDEN
あらすじ
新宿二丁目のショーパブ「EDEN」で店長として働くミロ(山本太郎)。ゲイやニューハーフの従業員達と共に、時には衝突しながらも大切なお店を切り盛りしていた。
そしてミロは42歳の誕生日を迎え、仲間達から盛大に祝われる。お祝いムードの中、お店の常連でトランスジェンダーのノリピー(入口夕布)が、突然病死してしまう。更に、棺桶に入ったノリピーの遺体がEDENへ運び込まれることに。実はノリピーの家族に遺体の引き取りを拒否されてしまい、友人だったミロの元へ預けられたのだった。
ミロ達は真剣に話し合い、自分達でノリピーの実家へ棺桶を届けに行くことを決意するが……。
映画に込めた思いとは!?『EDEN』武正晴撮影秘話
・今作を作るきっかけとなったのは、2011年に亡くなられた俳優の原田芳雄さん。原作を読んだ原田さんは「映画化したい。」と武監督に話していたとか。原田さんの思いを引き継いだ武監督が、熱いメッセージを込めて制作した作品です!
・撮影期間は、たったの11日間!とても厳しいスケジュールで、さすがの武監督も最後の方は倒れそうになったとか。とても完成度の高い今作が短期間で作られていたとは驚きです!
武正晴監督にしか描けない!この映画の注目ポイント
船戸与一さんの短編小説「夏の渦」が原作となっている今作。ニューハーフや同性愛者といった、世間からの認知が追いついていない問題を真っ向から描いた映画です。
今作の注目ポイントは、難しい題材をコミカルに表現した武監督の演出!差別や偏見という問題をただ映し出すのではなく、ひたむきに生きる登場人物達の強さにスポットを当てています。当事者達が抱える思いを忠実に描いた骨太な内容から目が離せません!
性別とは何か、家族とは何か、大切なことを改めて考えさせられる作品です。「コミカルに描かれた社会派映画を観たい!」という方におすすめの一作となっております!
2. イン・ザ・ヒーロー
あらすじ
ヒーロースーツを身にまとい激しいスタントを行う「スーツアクター」。本城渉(唐沢寿明)はスーツアクター歴25年のベテランで「下落合ヒーローアクションクラブ」の代表を務めている。
そんな本城の元に、待ちに待っていた顔出し出演のオファーが舞い込んできた。喜ぶ本城だったが、その後キャストの変更が決まり、本城のやるはずだった役は人気若手俳優・一ノ瀬リョウ(福士蒼汰)が演じることに。
顔の映らないスーツアクターを見下していた一ノ瀬は自分のアクションに絶対的な自信を持っていた。しかし撮影中に大きな失敗をしてしまい初めての挫折を味わう。そして心を改め、本城にアクション指導を申し込むが……。
映画に込めた思いとは!?『イン・ザ・ヒーロー』武正晴撮影秘話
・武監督は「何かをやり続ける大切さ」が観ている人へ伝わるように撮影していたそうです!演出一つ一つから、監督の思いが伝わってくる作品となっております。
・今作を企画したプロデューサーの李鳳宇さんは、クライマックスの激しいアクションシーンを撮影できる技術を持つ監督を探していて、武正晴さんに声をかけたとか!迫力満点な最後のアクションシーンは必見です。
武正晴監督にしか描けない!この映画の注目ポイント
ヒーロースーツを着てスタントを行うスーツアクターの葛藤を描いた今作。知っているようで知らないヒーローの裏側を楽しめる映画です。特撮ヒーローが好きな方にはたまらない作品ではないでしょうか!
注目ポイントは、武監督から働く人達へ込められた熱いメッセージ!一見明るいアクション映画に見える今作ですが、実は社会派映画の一面もあります。脚光を浴びづらい職業の人を描くことで、「働く」ということの意味を改めて問いかけてくれる作品です!
「明日からも頑張ろう!」と、働くモチベーションアップになること間違いなし!あなたのやる気に火を付けてくれる、エネルギッシュな作品です。
3. 百円の恋
出典:映画『百円の恋』予告編
あらすじ
実家に引きこもってだらしない毎日を送る32歳の無職・斎藤一子(安藤サクラ)。両親に甘えて暮らしていた一子だったが、夫に出ていかれてしまった妹・斎藤二三子(早織)が子供連れて実家に戻ってきたことで生活が一変する。
二三子との激しい喧嘩のせいで家を追い出された一子は、やけくそで一人暮らしを決意。個性的な人が集まる深夜の100円ショップで働き始め、細々とした生活を送るようになる。
そんな一子が見かけたのは、ジムで真剣にボクシングへ打ち込む狩野祐二(新井浩文)の姿で……。
映画に込めた思いとは!?『百円の恋』武正晴撮影秘話
・今作は、武監督が親交の深い脚本家の足立紳さんへ「何かシナリオを作ろう。」と電話をかけたことがきっかけで制作が始まったとか!足立さんは、気心が知れた仲である武監督からの電話に出ないこともあるそうで、「あの時電話に出て運命が変わった。」と話していたそうです。
・武監督は、現場でお芝居についての演出はあまりしなかったとか!あえて俳優さんが自ら作り上げる演技に委ねたそうです。工夫された監督の演出法によって、登場人物の人柄がとてもリアルに表現されています!
武正晴監督にしか描けない!この映画の注目ポイント
夢も希望もなかった引きこもりの主人公が、ボクシングを通して成長していく様子を描いた今作。数々の賞を受賞した、武監督の代表作です!
注目ポイントは、真っ向から描き出す武監督の演出によって生まれたリアリティ!自然な演技、生活溢れるセットなど隅々まで監督のこだわりが詰まっています。つい描くのを躊躇してしまいそうな生々しい人間の姿がそのまま映し出されていて、もはやドキュメンタリーに近い映画です!
人間の野性的な本能を呼び起こしてくれる、力に満ち溢れた作品となっております。新しい社会派映画の形を、ぜひご覧ください!
4. リングサイド・ストーリー
あらすじ
アラサー女子・江ノ島カナコ(佐藤江梨子)は弁当工場で働きながら、自称俳優の彼氏・村上ヒデオ(瑛太)と一緒に暮らしていた。ヒデオは特に働きもせずカナコに頼っりっぱなしで、ヒモ同然の生活を送っている。
そんな中、突然働いていた工場をクビになってしまったカナコ。必死に新しい仕事を探すカナコに、ヒデオは格闘技団体が求人募集を出していると紹介する。
格闘家について無知なカナコは見習いとして働き始め、忙しい日々を送るように。そんなカナコと距離を感じ始めたヒデオは、なんとなく釈然としない気持ちを抱えていた。そしてついに、カナコが浮気していると勘違いしたヒデオは大きな事件を起こしてしまう……。
映画に込めた思いとは!?『リングサイド・ストーリー』武正晴撮影秘話
・今作は、『イン・ザ・ヒーロー』でもタッグを組んだプロデューサーの李鳳宇さんから「格闘技で何か撮ろう。」と言われた武監督が一から作り上げた作品なのだとか!プロの格闘家の方も多く出演されていて、見応えのある映画となっております。
・佐藤江梨子さん演じるカナコが蟹を食べる場面があるのですが、そのシーンを撮り終えた武監督は、映像をチェックする前に残りの蟹を食べ始めたそうです!あまりに美味しそうで、つい食べたくなってしまったとか。武監督のおちゃめな一面が垣間見えるエピソードですね!
武正晴監督にしか描けない!この映画の注目ポイント
『百円の恋』を手がけたメンバーが再集結し制作された今作。ヒモ同然だった自称俳優の主人公が、格闘技を通して自分と真剣に向き合っていく物語です!
今作の注目ポイントは、コメディタッチな作風の中から感じられる人間の成長ドラマ!武監督の作品に完璧な人が出ることは少なく、どのキャラクターにも不完全なところがあります。今作の主人公・村上ヒデオもその一人。そんなヒデオが格闘技と出会ったことをきっかけに生まれ変わっていく姿を、武監督らしいリアルを追求した演出で表現しています!
どん底から這い上がっていく主人公の姿に勇気をもらえること間違いなし!何かに挑戦する人の背中を押してくれる力強い作品です!
5. 嘘八百
出典:映画『嘘八百』予告編
あらすじ
高価な骨董品を探しているが何かと空振り続きな古物商・小池則夫(中井貴一)は、あの千利休の幻の茶器を発見。大喜びする小池だったが箱を開けてみるとそこに肝心な茶器はなく、あるのは本物の箱と所有権を表した譲り状だけ。
小池はどうにか茶器を作れないかと考え、落ちこぼれてしまった陶芸家・野田佐輔(佐々木蔵之介)に話しを持ちかける。2人は大金を手に入れるため、誰にもばれない完璧な贋作作りを始めることに。
そして小池と野田が作った贋作の茶器は、国中を巻き込んだ大事件を引き起こしてしまい……。
映画に込めた思いとは!?『嘘八百』武正晴撮影秘話
・撮影するにあたって、「バカバカしいところもありながらホロッとくるような、難しいジャンルの喜劇にしたい。」と考えていたという武監督。そのため、キャスティングにとてもこだわったとか。監督の思い描いていた通りの、斬新な作品となっております!
・今作には多くのお笑い芸人さんが出演されているのですが、その中でも異彩を放っているのが吉本新喜劇でおなじみの坂田師匠です。中々セリフを言うタイミングが覚えられない坂田師匠を、武監督が「大丈夫です、言えます!」と励まして撮影していたとか!とても賑やかな現場だったそうですよ。
武正晴監督にしか描けない!この映画の注目ポイント
イカサマ古物商と落ちこぼれ陶芸家が大金を手に入れるため贋作作りに奮闘する姿を描いた今作。2人の軽快なやり取りが魅力的な作品です。
今作の注目ポイントは、骨董品を取り巻く世界のリアルな実情!古物商がどんな仕事なのか、どのように査定されるのか、骨董品の価値など、意外と分からないことが多いですよね!骨董品に知識がなくても楽しめるよう、分かりやすく工夫された演出がなされています。
奥深い古物の世界をキャッチーな作風で表現した、社会派コメディとなっております!「一風変わった社会派映画が観たい!」という方におすすめです。
6. 銃
出典:映画『銃』予告編
あらすじ
平凡な毎日を過ごす大学生・西川トオル(村上虹郎)は、ある日河原で偶然拳銃を見つけてしまう。トオルはなんとなくその拳銃を持ち帰り自分の物にする。拳銃を持っているという優越感に浸っていたトオルは、徐々に拳銃の魅力に取り憑かれていく。そしてついには、拳銃を持って出かけるようになるまで行動がエスカレートしてしまった。
そんなトオルの元に、どこか怪しい刑事(リリー・フランキー)がやって来る。刑事はトオルに「人間を撃ちたいと思っているでしょう。」と語りかけた。トオルの中に膨らんでいた狂気が、その言葉で爆発してしまい……。
映画に込めた思いとは!?『銃』武正晴撮影秘話
・中村文則さんの小説が原作となっている今作。武監督は、「原作の世界観を崩さないようにしなければいけない。」というプレッシャーを感じていたとか!青年の持つ独特な雰囲気が、映画でも見事に再現されています。原作ファンの方も楽しめること間違いなしです!
・プロデューサーの奥山和由さんから今作について話を聞いた時、武監督は既に映画の企画を掛け持ちしていたため断るつもりだったとか。奥山さんはそれでも諦めきれず、「1本ぐらい企画が飛ぶかもしれないから、飛んだら連絡して!」と話していたそう。すると本当に武監督の抱えていた企画が1本飛んでしまい、今作の撮影ができるようになったとか!何か運命的なものを感じるエピソードですね!
武正晴監督にしか描けない!この映画の注目ポイント
中村文則さんの小説「銃」の世界観を忠実に再現している今作。銃を手にしたことによって狂気を持ち始める青年を描いた物語です。
今作の注目ポイントは、恐ろしいはずなのに何故か目が離せない人間の狂気!モノクロの映像を駆使しているのが特徴で、殺伐とした雰囲気の中に美しさを感じる、そんな独特な空気感を生み出しています。武監督の細やかな演出が活かされた、今までにない衝撃作です。
観ている人の心に突き刺さるような、刺々しくも美しい作品となっております。硬派な社会派映画が好きな方にはぜひ観て頂きたい名作です!
7. きばいやんせ!私
出典:Amazon.com
あらすじ
週刊誌に不倫疑惑の記事が乗ってしまい、東京から左遷された女子アナ・児島貴子(夏帆)。仕事も生活も投げやりになっていた貴子は、地元の鹿児島で行われる「御崎祭り」の取材をすることに。しかし、伝統ある行事だった御崎祭りはすっかり廃れてしまっていて、観光客も全く寄り付かない状況だった。
貴子は、同級生・橋脇太郎(太賀)や地元の人達と協力して、御崎祭りを復活させようと奮起する。様々な人と触れ合っていく中で、投げやりだった貴子の考え方も大きく変わり始め……。
映画に込めた思いとは!?「きばいやんせ!私」武正晴撮影秘話
・今作に出てくる御崎祭りは実在するお祭りなのですが、作中で「クソ祭り!」というセリフがあったりと、かなり散々な言われようをしています。そのため、町の人達が怒らないか心配していたという武監督。しかし、町の人達がとても大らかだったそうで、快くOKをもらえたとか!そんな地元の方々の温かい人柄が、作品にも反映されています。
・武監督は、「仕事とは何か、自分にとって仕事とは何か。」という疑問を元に今作を作っていたとか。働く人へ向けた、監督の熱い思いを感じられる作品です!
武正晴監督にしか描けない!この映画の注目ポイント
今作は、仕事にやりがいを見いだせなくなってしまった主人公が、地元の町おこしを通して自分の生き方を見つめ直していく物語です。ちなみに、タイトルの「きばいやんせ!」は鹿児島弁で「頑張れ!」という意味があります!
注目ポイントは、とても人間くさい児島貴子という人物の描かれ方!明るく前向きな主人公、というありがちな人物設定ではなく、駄目な部分もしっかり持ち合わせた魅力的なキャラクターとして映し出されています。武監督の作品らしい、中々癖のある登場人物です!
「本当に自分のやっている仕事に意味があるのかな……。」そんな思いを吹き飛ばしてくれる、応援歌のような作品となっております。ぜひご覧ください!
まとめ
武正晴監督のおすすめ映画7選をご紹介しました。
どの登場人物も、弱い部分を持ち合わせた人間らしいキャラクターでしたね。武監督の演出によって生まれた独特な雰囲気と、登場人物の魅力が作品の良さを引き出しているのでしょう!
また撮影秘話では、武監督の作品に込めた熱いメッセージや、映画を制作するきっかけについてのエピソードが明らかになりました。出演者やプロデューサー、脚本家など様々な人との関わりの中で名作が生まれていたとは、驚きです。
映画を通して、社会へのメッセージを発信し続けている武監督。これからも、観ている人の心に刻まれるような作品を生み出してくれるはずです。これからも、武監督の活躍から目が離せません!
この記事が、皆さんと素敵な映画の出会いの場となっていたら幸いです。