映画『セッション』ネタバレ | アカデミー賞三部門受賞作の才能と狂気を解説
2015年、世界にその名を知らしめた監督デイミアン・チャゼル。当時28才、初の長編作品監督にも関わらず、映画『セッション』は映画賞レースに合計142ノミネート、51受賞を果たしました。そしてアカデミー賞を三部門受賞するなど、映画界に嵐を巻き起こした作品です。
今回は、そんな『セッション』にまつわる才能と狂気を徹底ネタバレ解説!映画のあらすじや監督、キャストの詳しい情報、各界から絶賛されたその魅力を1つ残らずご紹介します。本編107分の中に込められた、音楽への愛と毒を肌で感じることができるでしょう。映画、音楽、役者…どの視点から観るかはあなた次第ですよ。
鬼気迫る衝撃のラストシーンには思わず誰もが息を止めること間違いありません!!
映画『セッション』の名言集 | 鬼コーチとストイックな生徒の刺激的バトル目次
映画界が震えた映画『セッション』について
2014年、アメリカでデイミアン・チャゼル監督によって制作された『セッション』は、映画監督や俳優、ジャズ界はもちろんのこと、作家、ドラマー、批評家など多くの人の間で話題となりました。
興行収入は世界で4900万ドル、日本円にして約53億。しかし、北米では1300万ドル、日本円で約14億と、アカデミー賞を受賞した数々の作品の中では比較的低めなのです。
それでは気になる受賞歴を見ていきましょう!
本作は2014年にサンダンス映画祭でグランプリ、観客賞を受賞したのを皮切りに、怒涛の賞レースに至ります。アカデミー賞では作品賞、脚色賞でノミネートされ、編集賞、録音賞、J・K・シモンズが助演男優賞で受賞を果たしました。
この熱狂は全米へと広まっていき、多くの劇場へと公開は拡大されていきました。また、アメリカの批評家サイトRotten Tomatoesでは、驚異の96%の批評家支持率を叩き出し、平均を上回る評価を残したのです!
10秒で分かる映画『セッション』の簡単なあらすじ
出典:映画『セッション』予告編
ここでは、本作を観ようか迷っている方へ向けて、”ネタバレなし”で大まかなあらすじをご紹介します!
ラスト9分19秒。緊張感のある衝撃の結末に、あなたはきっとまばたきを忘れてしまうことでしょう!
どんでん返しが好きな方、手に汗握るスリルが好きな方におすすめです!
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映画『セッション』のネタバレあらすじ
ここからは、じっくりと【ネタバレあり】で作品を見ていきます!まだ作品をご覧になっていない方は注意してください。
【あらすじ①】鬼才フレッチャーとの出会い
バディ・リッチのような偉大なドラマーに憧れるニーマンは、副演奏者のポジションから抜け出せず、バンド仲間からも敬遠されていた。そんな中、1人で練習しているところをフレッチャーに見られたのをきかっけに、彼のバンドに入ることになる。
フレッチャーのバンドでは、生徒はみんな死刑宣告を待つ人たちのように下を向き、場には緊迫した空気が流れていた。それもそのはず、練習が始まるとフレッチャーの口からは罵声や人格否定が飛び出す。そんな中、音程の僅かなズレが原因で、1人の生徒を退場させることになった。
新しいバンドメンバーだ、とニーマンを演奏に参加させるフレッチャー。しかしテンポが合わず、罵声を浴びせられ、椅子を投げつけられ、頬を叩かれ、みんなの前で家族を侮蔑され、ニーマンはとうとう涙を流すのだった。家に帰ったニーマンはドラムに向き合い、血が出るまで叩き続ける。
【あらすじ②】血のにじむ特訓
ある日、ニーマンは以前から気になっていた映画館勤務のニコル(メリッサ・ブノワ)をデートに誘い、晴れて二人は恋人同士になった。
ジャズコンテストが開催されることになり、ニーマンは主奏者のタナー(ネイト・ラング)の譜めくりとして参加していた。しかし、とあるミスでタナーの楽譜を失くしてしまう。
目の疾患で暗譜ができないタナーに代わって、ニーマンはコンテストで演奏するチャンスを得るのだった。
演奏は見事に成功し、シェイファー音楽院はコンテストで優勝した。結果ニーマンは主奏者の席をタナーと交代するに至ったのだった。
そんな成功を誇りに思うニーマンだったが、音楽界に理解のない親戚たちからは良くは思われなかった。親戚の息子たちの模擬国連議長やMVPの活躍は誇られ、ニーマンの活躍は軽視されてしまう。しかし、ニーマンはフレッチャーに気に入られていると自負し、さらに練習に励んだ。
そんな時、新しいドラマーのコノリー(オースティン・ストウェル)が入ることになる。自分より下手な演奏者が「主奏者になる日も近いな」とフレッチャーに言われたことから、自分の将来のためにとニコルにも別れを告げ、ニーマンは病的なまでに練習に打ち込むようになる。
手から血が流れると氷水に浸して、ドラムが汗と血で汚れるのも気にせずにバチを振った。
【あらすじ③】ついに得た主奏者の席とその終わり
重要なコンペティションを控えたある日、練習場に来たフレッチャーは「ショーンより」というCDをみんなに聞かせた。そして、教え子であるショーンが自動車事故で亡くなったのだと、目に涙を浮かべてその死を悼んだ。
それからの練習はさらに苛烈を極め、より”完璧”な”テンポ”をドラマー3人に要求する。練習は一時中断し、ニーマン、タナー、コノリーは主奏者の席をかけて、フレッチャーの要求する”異常に速いテンポ”でドラムを叩き深夜まで及んだしごきの末に、3人の手からは血が流れた。その結果、肉体的にも精神的にも最後まで食らいついたニーマンに正式に主奏者の席が与えられたのだった。
翌日は5時に集合だったが、ニーマンの乗っていたバスがパンクしてしまう。慌ててレンタカーを借り、何とか会場までたどり着いたニーマンだったが、スティックを忘れてしまったことに気が付く。
コノリーと交代させるというフレッチャーに必死で食い下がるニーマンに、フレッチャーは「5時30分までに必ず自分のスティックで席に着くこと。1つでもミスをしたら卒業か退学までずっと譜めくり」という条件を提示するのだった。
条件を飲んだニーマンは急ぎ車を走らせ、11分後の演奏開始に間に合うようにアクセルを踏んだ。しかし、途中で交通事故にあってしまう。血だらけになって車から這い出たニーマンは、スティックを手に、その足で会場へと向かった。
5時30分、大傷のまま席に着き、目を見張るフレッチャーや仲間を無視して演奏を始める。しかし、けがの影響で徐々に手は動かなくなり、ついにフレッチャーによって演奏は止まる。「お前は終わりだ」というフレッチャーの言葉に、ニーマンは激昂してフレッチャーに殴りかかるのだった。
【あらすじ④】明かされる新事実。退学と再会
この騒動によって、ニーマンはシェイファー音楽院を退学となってしまう。偉大な音楽家になるという夢も破れ、バディ・リッチのポスターを捨て、ドラムセットも物置に置いてしまう。
事故を受け、ニーマンは父親ジム(ポール・ライザー)とショーンの死の時も担当した弁護人と話をする。その時明かされた新事実は、実はショーンは事故死ではなく、首つり自殺だったのだった。ニーマンと同様にフレッチャーの教え子だったショーンは、その指導によってうつ病と診断されていた。
行き過ぎた指導はなかったのか、と弁護人から匿名で証言をしてほしいと頼まれるニーマン。始めはフレッチャーを庇っていたが、父親と弁護人に説得され、最終的には話を始めるのだった。
それからしばらく経ち、ニーマンはドラムとは縁のない生活を送っていた。しかし、街を歩くたびに、路上でドラムをしている人に目が止まり、ジャズフェスティバルのチラシをつい見つけてしまうなど、彼の心はドラムを忘れてはいなかった。
ある日、フレッチャーがジャズフェスティバルの特別ゲストで登場すると知ったニーマンは、会場を訪れる。演奏後、帰ろうとしていたニーマンをフレッチャーが呼び止め、二人は話をする。
明かされたのは、保護者か誰かの密告によりフレッチャーも音学院を辞めたということだった。また、フレッチャーが学院で目指していたのは、期待の上をいくことで次の天才を生み出すことだった。
「必死の努力で指導したが育てられなかった。それを謝る気はない。」そう告げるフレッチャーはさらに、コノリーはニーマンへの刺激剤にすぎなかったことやタナーは挫折して医大へ行ったことなどを話した。
そして、自分のバンドに優秀なドラムが足りないということで、ニーマンをスカウトするのだった。
これを受け、ニーマンは物置からドラムを再び取り出した。さらに、ずっと心に残っていたニコルに電話をし、出演するジャズフェスティバルを見に来ないかと誘う。しかしニコルには既に新しい彼氏が存在していたのだった。
【あらすじ⑤】二人のセッション、圧倒的衝撃のラストシーン… !
ニーマンは晴れ舞台に父親を招待した。この音楽祭では多くのスカウトマンが来ており、目に留まればスにブルーノートと契約できる大きなチャンスとなる。しかし逆に失敗をすると、2度とチャンスがもらえなくなる可能性もある。
フレッチャーから事前に、曲はシェイファー音学院の時に演奏していたなじみのものだと知らされていた。「ウィップラッシュ」を用意して席に座るニーマン。だが、いざ始まった曲は伝えられていたものとは全く違っていた。焦りながら何とかドラムを演奏するニーマンにフレッチャーが近づき、「私をなめるなよ。密告はお前だな」と告げる。これはフレッチャーによる報復であった。そのままニーマンは悲惨な演奏で一曲目を終える。
「お前は無能だ」死刑宣告のようにそう告げられたニーマンは、大醜態をさらしたショックで舞台からはける。袖では父親が駆けつけており、慰めるように肩を抱いた。
そのまま去るかと思われたが、ニーマンは再び舞台へ戻った。席に着くと、スピーチをしているフレッチャーを遮り、「キャラバン」を演奏し始める。コントラバスに合図をし、ピアノも加わって演奏が始まると、フレッチャーも指揮をせざる負えなくなった。ニーマンは口パクで「クソったれ」と言い、フレッチャーは「目玉をくりぬいてやる」と返す。
そこからは鬼気迫るニーマンのドラム演奏が始まる。バンドメンバーやフレッチャーすらも圧倒して曲を引っ張っていく。始めは不機嫌な顔で指揮をしていたフレッチャーも、ニーマンの演奏がどんどん熱を帯び、今まさにフィッチャーの求めていたジャズ、生きた天才が現れようとしているのを肌で感じ始める。
魂をすべてさらけ出すようなドラム演奏に、フレッチャーの顔には徐々に笑みが浮かび、次第にニーマンのためにバンドの指揮をするようになった。
そうして、極限まで高められたニーマンとフレッチャーによるセッションが終わったのだった。
映画『セッション』のキャスト
アンドリュー・ニーマン/マイルズ・テラー
ニーマンを演じたのは、『ラビット・ホール』(2010)でクロトルディス賞助演男優賞にノミネートされたり『フットルース』(2012)に出演した、マイルズ・テラーさんです。
そんなマイルズさんが演じるニーマンは、夢に向かって野心的に打ち込むドラマーです。バディ・リッチに憧れ、友人も恋人も家族さえも二の次でドラムに向き合う姿は、気迫があり、どこか危うく、執着的でもあります。
外側に感情を出すのではなく、内側でマグマのように感情を抑え、静寂のシーンではその内側の熱さが垣間見える…そんなキャラクターになっています!
フレッチャー/J・K・シモンズ
鬼才教師フレッチャーを演じたのは、『スパイダーマン』シリーズに出演、映画、ブロードウェイミュージカル、テレビなど様々な場所で活躍するJ・K・シモンズさんです。
『セッション』ではアカデミー賞助演男優賞、ゴールデングローブ賞助演男優賞他、7つの助演男優賞を受賞しました!絶賛の嵐を巻き起こした彼が演じたフレッチャーは、学院最高の指揮者と言われています。しかしフレッチャーは天才を生み出すことを目標とし、異常なまでに【完璧】を求めるレッスンを行う人物でした。音楽への愛と執着の両方を感じることができるでしょう。
どこまでも高みを目指す、常人ならざる狂気じみた天才ですが、どこか人間らしくもある魅力的なキャラクターでもあります!
ニコル/メリッサ・ブノワ
ニーマンの恋人ニコルを演じたのは、メリッサ・ブノワさんです。『SUPERGIRL』(2015)や『glee』(2012)などのテレビ番組で活躍されています。
本作では唯一の女性キャラクターとして登場しました。シーンは少ないものの、ニーマンの心の動きが彼女を通して感じることができる、重要なキャラクターになっています。比較的普通の感覚であるニコルと、病的なまでに自分を高めるニーマンとのアンバランスな恋愛が注目ポイントです。ニーマンと別れる際の切ないやり取りに共感する女性は多いのではないでしょうか!
ジム・ニーマン/ポール・ライザー
ニーマンの父親を演じたのは、俳優・脚本家・プロデューサー・コメディアンと様々なジャンルで活躍されているプール・ライザーさんです!
『ダイナー』(1982)で劇場映画デビューし、『ビバリーヒルズ・コップ』(1984)や『エイリアン2』(1986)へ出演されたり、テレビドラマ『あなたにムチュー』(1992)で人気を集めました。
本作では、ニーマンの唯一の家族として登場し、前に出すぎずそれでいてしっかりと後ろから支える、そんな父親を演じています。
映画を一緒に見たり、食卓を囲んだり、ニーマンが事故に巻き込まれた際は心から憤るなど、家族愛にあふれたキャラクターになっています!
カール・タナー/ネイト・ラング
ニーマンと同じドラマーで主奏者の席を争ったタナーを演じたのは、ネイト・ラングさんです。テレビシリーズ『UCB Comedy Originals』(2010)や映画『メイジーの瞳』(2012)、『The Fuzz』(2014)などに出演されています。
タナーはフレッチャーのバンドの主奏者で、ニーマンが入ってからは彼と主奏者の席を争う良きライバルです。楽譜を失くしたり、ほんの些細なミスから立場が変化する厳しい世界で、同様にドラマーを目指しています。
目の疾患でチャンスを逃がしたり、作中終盤ではドラムを挫折し医大へ転科したエピソードなど、この世界の厳しさを表すキャラクターになっています!
もっと『セッション』を楽しみたいあなたへ ! みどころ解説
『セッション』には様々なみどころがありますが、ここではより映画を楽しみたいあなたのためのおすすめポイントをご紹介します!
【その①】沈黙が語る、マイルズ・テラーの名演技
魂を揺さぶるドラム演奏も魅力の1つのマイルズ・テラーですが、ここでは独特の【沈黙】の演技に目を向けていきたいと思います。
ニーマンはその内側に秘めた野心を表に出すキャラクターではありません。どちらかというとおとなしくも見えますが、彼はバディ・リッチに憧れている場面からも分かるように、その根本にはジャズのような激しさがあります。だからこそ、沈黙の場面は激しいドラムシーンと対比的に描かれています。
それでは、その沈黙の場面を見ていきましょう!
まず最初はニーマン、タナー、コノリーが深夜までフレッチャーの求める演奏をし、結果ニーマンが主奏者を席を獲得した後のシーンです。2時過ぎまでしごかれた後、翌日は5時集合という厳しいスケジュール。暗闇の中から現れるニーマンの表情は、やっとのことで主奏者の席を得た喜びとはほど遠いものでした。青白いライトのもと照らされて下を向き、表情もないことからまるで死人のようにも見えます。
静寂の中、ゆっくりと歩くニーマン。身も心も疲れているように見えますが、バックから徐々にドラムの音がなり始めます。ニーマンの内なる炎が燃え盛っている音のようにも聞こえますね!
次の場面は、別れた後再びニコルに電話をするシーンです。残念ながら彼女には新しい恋人ができたと分かるニーマン。電話を切った後の演技に注目です!
ぼんやりと前を見つめ、何かを考えているような表情。小さく首を傾げ、その後首を掻きます。そしてまた虚空を見つめ続けます。その静寂の中の演技は、過去を思い出して後悔しているようにも、自分を納得させようと現実をかみ砕いているようにも見えます。
次に踏み出すための大きな決意をしているように見ることもできますね。
2つの場面でマイルズ・テラーの【沈黙】について見ていきました。キャラクターをより深く知るきっかけにしていただけたら幸いです!
【その②】ニーマンが憧れたバディ・リッチの魅力
出典:Amazon.com
映画の中でも度々出てきた「バディ・リッチ」。壁には彼のポスターが貼ってあったり、彼のCDを聴いているシーンもあります。ニーマンにとってかなり重要な存在だったバディ・リッチとはどういう人物なのでしょうか?
バーナード・バディ・リッチ(1917~1987)は、彼がいなければドラムの歴史は違っていたかもしれないと言われるほどの、ドラム界に大きな影響を与えたレジェンド的存在です。その超人的な超絶技巧で有名で、非常に細かく並んだ音符を、正確に、速く、長時間叩き続けます。観客を圧倒するパワーを持ち、疾走感のある音が魅力のようです。
アメリカではビックバンドジャズの新境地を開いた人物として、今も多くのファンから尊敬されています。また、ドラムで名を上げた後も研究を続けるストイックさや、新し技法を生み出し続けるハングリー精神など、彼を好きになる人は多いのではないでしょうか。
【その③】ジャズのイメージを変えるナイスな選曲 !
ジャズというと、大人の通好みの音楽という印象を持つ方もいると思います。
『セッション』ではそんなイメージを忘れさせ、誰でも気軽に作品を通してジャズに触れることが出来ます。それはジャズを良く知らない人に対しても、比較的キャッチ―で分かりやすい選曲をしているところです。
出典:Varèse Sarabande Records公式Youtube
1つ目は、劇中で何度も演奏されている「Whiplash」です。
この曲は1973年にハンク・レヴィが作曲した曲になります。7/4拍子になったり14/8拍子になったりと、曲を通して変拍子の連続で、とても演奏するのが難しい曲になっています。2分ほどの短い曲ですが、自然と体が動く感覚を受けると思います。劇中ではよりドラムが際立つようにアレンジされているのも魅力ですね!
2つ目は、ラストシーンでも登場する「Caravan」です。
観る人の注意を惹きつけるようなドラムソロから始まり、コントラバス、ピアノと徐々に音の幅が広がって曲が始まります。
トロンボーンやトランペットなど各楽器の魅力も伝わる曲で、さらに時々挟まれる絶妙なドラムが心を躍らせます。ニーマンの狂気と才能が顕著に現れる曲になっています!
そんな「Caravan」は、1935年にデューク・エリントンと、エリントン楽団のトロンボーン奏者ファン・ティゾールによって作曲された曲です。
吹奏楽でも演奏されるメジャーな曲のようで、独特なメロディーラインとアップテンポが魅力になっています!
音楽に注目すると、より本作を楽しめる気っかけになると思います!
【その④】やっぱり見逃せない ! ラストセッションの魅力
この映画を語るには避けて通れない、ラストシーン。その魅力をご紹介していきます!
一度はフレッチャーの報復によって醜態を晒し舞台を去ったニーマンでしたが、再びドラムの前に座ります。そして、フレッチャーの次の曲紹介の途中で「キャラバン」を叩き始めます。3度によってニーマンに迫るカメラワークは、こちらの心も湧き上がらせます。
暗い照明の中、光り輝く楽器。アップで撮ったり、真上から撮ったりなど、躍動感あふれる撮り方になっていますが、決して画面酔いすることはありません。むしろ、曲やキャラクターの感情の盛り上がりに合わせて様々なテクニックが使われているところがポイントです!
さらに、少ない会話の中、まさに視線や表情、音楽だけで会話しているようなニーマンとフレッチャーのやり取りも魅力的です。フレッチャーに挑むような挑戦的なニーマンの視線が印象的です。
「キャラバン」の途中から、フレッチャーは満足げな表情を浮かべます。そしてそのまま曲は終わります。
ですが、ニーマンは照明が落ちてもドラムを叩き続けます。落ちていく照明の中、さっと表情が固まり動揺するフレッチャー。怒涛のドラム演奏に、フレッチャーも圧倒されて立場は逆転していきます。
体力も精神力もすべてをドラムに込めて昇華させていくニーマン。音が遠くなり一瞬静寂がやってきます。彼にとっての限界地点に到達しているのでしょう。そして限界を超えた先の演奏は、ニーマンもフレッチャーも求めていた、一握りの天才のものだったのでしょう。
そこには言葉も必要のない、圧倒的衝撃の音だけがありました。
耳で、目で、肌で…この衝撃のラストシーンを味わってみてください。
まとめ
音楽映画界に衝撃をもたらした映画『セッション』。その受賞歴や詳しいあらすじ、キャスト情報やより映画を楽しめるみどころをご紹介していきました。細かい演技や迫力のドラムシーンなど、役者・ドラム双方の魅力を最大限に引き出した素晴らしい映画です。
様々な視点から楽しめる映画となっておりますので、ぜひ、自分なりの考察をして『セッション』をより楽しんでみてください!
映画『セッション』の名言集 | 鬼コーチとストイックな生徒の刺激的バトル