ハルクとは何者なのか?原作から映画まで能力や強さ&魅力を徹底解剖!
緑色で筋骨隆々、巨大な体に怪物のような唸り声。そんなヒーローと言えばハルクです!怒りの感情で暴れる彼は、誰にも止められません!。
アメリカにあるユニバーサル・オーランド・リゾートには「インクレディブル・ハルク・コースター」なるアトラクションがあります。人気キャラクターの乗り物とあって大人気です!2019年の映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』での活躍も記憶に新しいのではないでしょうか。
今回は、そんな大人気ヒーローのハルクの魅力を、原作から映画までおさらいしていきます!
目次
「アベンジャーズ」でも活躍するハルクとは?
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)好きでハルクを知らない人はいないでしょう。マーク・ラファロ演じるハルクの迫力はたまりません。
人間の状態の時には、アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)と研究室にこもっていたり、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)と良い雰囲気になっていたり……。MCUにいなくてはならないキャラクターです。
ハルクに変身するブルース・バナーは、普段は温厚そうな普通の男性にみえます。そんな彼は怒らせるともう手を付けられない緑色の巨人になるのです。なぜ彼にそんな能力が備わったのでしょう。原作を紹介しつつ、彼のオリジン(起源)を振り返ります。
原作コミックスに登場するハルクについて
ハルクの原作は、アメリカの漫画出版社「マーベル・コミック」のコミックです。1962年に出版された『The Incredible Hulk vol. 1, #1』が初登場でした。
当時はなんとハルクは緑色ではなく、灰色!なぜ緑色に変更されたのかは、「当時の印刷技術が未熟で、灰色の色味が悪かったから」「配色指定の『G(グレイ)』を『G(グリーン)』と間違えたから」など諸説あります。
段々と人気が出てきたヒーローのハルクは、1977年にはドラマ化されました。ドラマ『超人ハルク』のシリーズは5年も続く人気シリーズとなります。放送終了後もスペシャルドラマが作られる程の人気シリーズでした。
2003年に『ハルク』の題名で映画化されます。1977年の実写ドラマでは表現しきれなかったハルクの巨大な体は、ファンを熱狂させました。その『ハルク』の公開から間もない2008年に『インクレディブル・ハルク』が公開されます。この2度の映画化ののち、マーク・ラファロが演じるハルクがMCUの「アベンジャーズ」に合流したのです。
ハルクは今や実写映画でも大活躍の人気キャラクターですが、まずは原作コミックス版の「ハルク」に関する下記4つの情報を整理していきましょう!
ハルクの能力
ハルク関連のヒーロー
ハルクの関連のヴィラン
ハルクのオリジン
多くのコミックも出版され、実写作品も製作されるハルク。そんな彼のオリジン(起源)はなんだったのでしょうか。実験の結果ハルクになってしまったり、事故でガンマ線を浴びたせいでハルクに変身してしまったり……作品によってそのオリジンは違います。
原作コミックでは、ブルースは子どもをガンマ線から身を挺して守った結果ハルクになってしまいました。ガンマ爆弾の実験中、子どもが入り込んでしまったのです。ブルースのおかげで子どもは無事だったものの、ブルースはガンマ線の影響でハルクに変身してしまうようになります。その後政府はハルクを「危険」と判断し、ブルースは逃亡生活を余儀なくされました。
ハルクに変身するようになったきっかけはこのガンマ線ですが、ブルースは元々ハルクになり得る「怒り」があったのです。ブルースは幼少期、父親に虐待されていました。母親は父親によって目の前で殺されています。成長したブルースは、その父親を殺してしまいました。幼い頃から抑圧された感情、暗い過去があったからこそ、ガンマ線を浴びる事故でハルクになったのです。
コミックではこのようなオリジンが語られています。しかし、ハルクの体の色が最初は灰色だったように、この設定も時代やコミックによって微妙に変化しています。今では「怒り」の感情によって変身するのが当たり前ですが、最初期には感情に関係なく夜になると変身してしまう設定だったのだとか。
ハルクの能力
ハルクの能力といえば、その巨大な体から繰り出される「怪力」です。「ハルクスマッシュ!」の決め台詞と共にモノを壊す姿は格好良い!の一言に尽きます。彼の能力は「怪力」だけではありません。
図体が大きいなら、その分重くて遅いだろう……と思いきや、実はその逆です。体の大きさからは想像もできない程、高く飛び上がる「跳躍力」があります。そして、想像以上に素早いのです。さらに、彼はかなり「頑丈」です。銃や大砲なんかではビクともしません。それに、どんな怪我をしても驚異の「回復力」で復活します。
人類が滅亡して何百年も経ってもハルクは一人彷徨い続けていたり……宇宙空間に放り出されても平気だったり……彼には宇宙の法則を捻じ曲げる程の力があるのです。
また、彼には「霊能力」もあります。この力でハルクは、ドクター・ストレンジのアストラル体(霊体)を見ることができました。ハルクは、ただの怪力だけではない多彩なヒーローです。
ハルク関連のヒーロー
レッドハルク
出典:MARVEL公式サイト
ハルクと同じように巨大な体を持つレッドハルクは名前の通り、赤いハルクです。ハルクとは違いかなり理性的な人物でもあります。
そんな彼の正体はロス将軍。ブルースの恋人であるベティの父親です。一度死んだものの、ヴィランたちの組織「インテリゲンチャ」に蘇生され操られていました。その後、改心しアベンジャーズの一員として活躍することになります。
ハルクと同じような能力ありながら、ハルクと違い「理性」を持ち合わせているので、戦略的な戦い方ができます。敵であれば恐ろしいですが、味方ならこれ以上ないほど頼れる味方です。ちなみに、ロス将軍は映画『ハルク』、『インクレディブル・ハルク』にも登場します。
シーハルク
出典:MARVEL公式サイト
ブルース・バナーのいとこジェニファー・スー・ウォルターズ・ジェイムソン。彼女も元々は普通の女性でした。弁護士として活動していたジェニファーはある日、殺し屋に狙われ重傷を負ってしまいます。その時、ブルースの血を輸血してしまい、「シーハルク」に変身できるようになりました。
シーハルクに変身しても、彼女にも理性があります。ヒーローのための弁護士として仕事を続けながら、シーハルクとしてヒーロー活動をしている格好良い女性です。
MCUではこれからドラマ化されることが決定しており、シーハルクに注目が集まっています。まだキャストなどは発表されていないので、続報が楽しみですね。
レッドシーハルク
出典:MARVEL公式サイト
ロス将軍の娘、ベティ・ロス。ブルースの恋人でもあります。逃亡生活を送るブルースを手助けしていました。彼女もロス将軍と同じように、一度死にましたが、ヴィランによって「シーハルク」として復活し利用されました。洗脳が解けてからは、アベンジャーズの一員になります。
彼女もハルクと同じような能力を持っています。トニー・スタークがアスガルドで取れる金属「ウル」で作った剣を使い、戦うこともありました。
ベティ・ロスも映画『ハルク』、『インクレディブル・ハルク』に登場しています。映画の中ではレッドシーハルクにはならないものの、ブルースを支え戦う強い女性として描かれています。
リック・ジョーンズ
出典:MARVEL公式サイト
ブルースがハルクになるきっかけとなったガンマ線の実験。その時、ブルースが助けたのがリック・ジョーンズ少年でした。ハルクの誕生の瞬間に居合わせたリックは、ブルースを手助けする親友として活躍します。ブルースもハルクに変身してもリックには攻撃しません。
リックはアイアンマンやアントマン、ワスプ、トールといったヒーローを集めて共闘させた功績があります。彼がいなければアベンジャーズは結成されなかったかもしれません。
敵に捕まり、アボミネーションと呼ばれるヴィランと似た「A-Bomb」に変身し記憶を失ったエピソードもあります。ハルクと同じような能力に加え、ステルス(周囲に溶け込み見えなくなる)能力を得ました。元の体に戻ってからは、副作用で以前より知能が高まります。その能力を活かし、アベンジャーズのサポートをしています。
ドク・サムソン
出典:MARVEL公式サイト
精神科医。彼もガンマ線を浴びて変化したヒーローです。ハルクと同じように怪力などの能力を持ちますが、見た目の変化は少なく、髪の色が緑色になっただけに留まりました。ハルクの精神分析をするなど良好な友人関係を築いています。
映画『インクレディブル・ハルク』でも彼は登場しています。ベティはブルースが逃亡した5年の間にドク・サムソンと出会い恋に落ちました。ドク・サムソンはベティが逃亡しているブルースと密会しているのを知り、陸軍にリークします。
しかし、ハルクに変身してもベティを守るブルースを見て、リークしたことを後悔していました。もしかすると『インクレディブル・ハルク』の世界でも、ブルースとドク・サムソンは友人になれたのかもしれません……。
スカー
出典:MARVEL公式サイト
惑星サカールでハルクはカイエラという女性と出会い、双子を授かります。カイエラは宇宙船の爆発に巻き込まれ死亡、お腹の中の子どもも死んだと思われていました。しかし、子どもは生き延びており、そのひとりがスカーです。
女戦士であった母親カイエラの力とハルクの能力を受け継いだスカー。もしかするとハルクよりも強いかもしれません。見た目はハルクと似ていますが、人間の姿にも変身できます。
彼は地球でスパイとして活動しており、ダークアベンジャーズ(トニー・スターク失脚後、ヴィランであるノーマン・オズボーンによって乗っ取られたアベンジャーズ)の情報をキャプテン・アメリカに報告する等の活動をしています。
アマデウス・チョ
出典:MARVEL公式サイト
世界で8番目に頭が良いと言われる天才少年アマデウス・チョ。リックと同じようにハルクのサポートをする韓国系アメリカ人です。左腕に着けている機械でハルクのような体に変身することができます。
映画『インクレディブル・ハルク』で、ブルースは研究室にいた科学者にピザをあげる代わりにパソコンを使わせてもらうことに成功しました。そのピザに釣られた科学者の名前がアマデウス・チョです。
また、映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に登場する科学者ヘレン・チョ。この名前はアマデウス・チョの母親の名前と同じです。もしかすると、ハルクのように戦うアマデウス・チョがMCUに登場するのもありえない話ではないのかもしれません。
ハルク関連のヴィラン
お次は、ハルクに関連するヴィランを4人ご紹介していきます!
アボミネーション
出典:Amazon.com
ハルクと似た能力を持つ敵エミル・ブロンスキー。彼もガンマ線を大量に浴びアボミネーションに変身しましたが、ハルクとは違い人間には戻れません。えらがあるので水中でも活動できます。コミックではハルクと何度も対峙してきました。
映画『インクレディブル・ハルク』にも登場しています。イギリスから派遣されてきた「最強」の兵士です。映画ではロス将軍の超人血清の研究の被験者となり、力を得ました。最初はキャプテン・アメリカのように身体能力や回復力が高まり、上からの命令にも忠実に守っています。しかし、力を求める欲求が強まり最後には……。
リーダー
ブルースの同級生、サミュエル・スターンズ。彼は元々ごく普通の男性でしたが、研究施設の事故によってガンマ線を浴びてしまいました。ハルクのような怪力や腕力は持っていませんが、代わりに頭が肥大化し知性が発達します。マインドコントロールの能力もある厄介な敵です。
映画『インクレディブル・ハルク』でブルースの治療に手を貸していたチャットの相手「ミスター・ブルー」がサミュエル・スターンズです。コミックとは違い、ブルースと対等に意見が言い合えるほど頭の良い研究者です。しかし、危険も顧みず研究や実験を行う人物でもあります。映画終盤では、彼が「リーダー」になるかのような描写が見られます。
アブソービングマン
出典:MARVEL公式サイト
画像中央の鉄球を持った男性がアブソービングマン。
犯罪者カール・クリーク。ソーの弟であるヴィラン、ロキによって能力が与えられました。その能力は、触れた物質と同じ素材に変身するというものです。
映画『ハルク』では、ブルースの父デヴィッド・バナーが同じ能力を持っていました。電気や岩、水などに変身してハルクを追い込みます。また、MCUのドラマシリーズ『エージェントオブシールズ』でもアブソービングマンは登場しています。
マエストロ
出典:MARVEL公式サイト
髪はなく、白鬚を蓄えた緑色の巨人。彼は、核戦争で荒廃した別の未来から来たハルク自身です。放射線の影響でさらに強くなっており、ブルースの知性とハルクの悪意を持っています。マエストロは自分の世界のヒーローをほとんど倒してしまいました。実は、マーベルキャラクターの中で一番強いのかも……!?
実写映画・ドラマに登場するハルクについて
関連のキャラクターも多く登場するほど人気のヒーロー、ハルク。ドラマ化や映画化もされていますが、その能力や設定は作品によって変わっています。例えば、ブルースがハルクに変身するきっかけとなったオリジン。
原作では少年を守るため、ガンマ線を浴びてしまいました。ドラマシリーズ『超人ハルク』では、潜在能力を引き出すためにガンマ線の研究をしており、自らの体で実験したところハルクになってしまいます。
映画『ハルク』では、過去の父親による実験と成長したブルースが仲間をかばい浴びた大量のガンマ線の2つの要因のせいで変身します。
映画『インクレディブル・ハルク』では、ある研究で成功すると確信したブルースが自ら被験者として実験を開始。結果、失敗してしまいハルクとなります。
オリジンひとつを取ってもここまで違いが出ます。では能力は?ブルースの性格は?ここからは、実写化された「ハルク」について作品ごとに考察していきます。
実写ドラマ『超人ハルク』
『超人ハルク』のあらすじ
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デヴィッド・バナー博士(ビル・ビクスビー)は妻を交通事故で失っていた。あの時、自分に力があれば……そんな思いから、人の潜在能力を引き出す研究を始める。ある日デヴィッドは、自分を被験者にしてガンマ線を照射し潜在能力を引き出す実験を思いついた。しかしその実験の結果、デヴィッドはハルク(ルー・フェリグノ)に変身してしまう。
その後、研究所の爆発が起きる。デヴィッドはその爆発に巻き込まれて死んだと思われていた。それをきっかけに、デヴィッドはハルクをコントロールする方法を知るための旅にるのだった。
本作は1977年に製作されたテレビドラマです。1982年の最終回を迎えてからも、1988年に『新 超人ハルク/勇者伝説』、1989年に『超人ハルク’90』、1990年に『超人ハルク/最後の戦い』、とスペシャルドラマも次々と製作されました。このスペシャルドラマにはソーやデアデビルなどのマーベルヒーローたちも登場する豪華なストーリーになっています。
『超人ハルク』ハルク役ビル・ビクスビー/ルー・フェリグノ
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本作の主人公の名前は「デヴィッド」となっていますが、キャラクターの性格や設定なども原作の「ブルース」と同じです。なぜ名前が変更されたのかは公式では明らかにされていません(「ブルース・バナー」という名前がゲイのようだったから変更された、など噂されていますが真偽のほどはわかりません)。
本作では人間の時のデヴィッドをビル・ビクスビーが演じ、変身したハルクをルー・フェリグノが演じています。ビル・ビクスビーの悲しげな演技にキュンとくるファンも多いはず。親しい人を亡くし、あてもなく旅するデヴィッドとビル・ビクスビーの演技はぴったりです。
ルー・フェリグノは、CGもなしにその筋肉でハルクを演じています。彼はボディービルダーとしても活動しており、アーノルド・シュワルツェネッガーのライバルだったとか!その圧巻の筋肉はもちろん、ルー・フェリグノの怪獣のような迫力ある唸り声と表情も必見です。
『超人ハルク』に登場するハルクの特徴
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デヴィッドは激怒したり追い詰められたりすると、ハルクに変身します。目が白くなり、全身緑色に変色し、体は大きくなって服や靴さえ破れてしまうのです。CGはほとんど使われず、ルー・フェリグノ自身が演じた超人ハルク。
CGが使われていないならそんなに強そうに見えないのでは……と思いきや、本作のハルクも迫力満点です。怒りに満ちたハルクがゆっくりと顔をあげます。画面に映し出されるハルクの怒りに満ちた目と恐ろしい表情は恐ろしいと同時に、格好良いです!
他の作品のハルクと比べると、人間に近い大きさですが、だからこそその強さが際立つのです。周りの警備員や警察、勇敢な人たちがハルクに立ち向かうシーンが多くあります。しかし、その攻撃はハルクには全く効かないのです。人間と似て非なる者という「怪物」感がたまりません!
実写映画『ハルク』(2003年)
『ハルク』(2003年)のあらすじ
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ブルース(エリック・バナ)は幼い頃に両親から離れ、里親の元で育っていた。成長したブルースは研究所で遺伝子工学の研究をするようになる。ある時実験室で誤作動が起き、ガンマ線が流出。ブルースは同僚をかばい、大量のガンマ線を浴びてしまった。
当然ブルースは病院で精密検査を受けるが、不思議なことに異常は見つからない。その夜、実の父親デヴィッド(ニック・ノルティ)がブルースの病室に忍び込み、ブルースに忠告する。「”怒り”に気を付けろ」と……。
実写ドラマ化から26年後、ついにCGで完璧に再現されたハルクが登場します。映画『いつか晴れた日に』や『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』などの名作を生み出すアン・リー監督によって製作されました。
人間の内面の描写や、ヒューマンドラマを得意とするアン・リー監督らしく、ブルースのトラウマや葛藤が多く描写されています。原作も尊重して作られているのも伝わって来るでしょう。劇中のシーンのカットの仕方もコミックのように表現されており、原作ファンにはたまらない作品です!
『ハルク』(2003年)ハルク役エリック・バナ
本作でブルースを演じたのはオーストリア出身のエリック・バナ。オーストリア映画協会賞主演男優賞を2度も受賞している実力派です。映画『きみがぼくを見つけた日』での切ない演技が記憶に残っている人も多いでしょう。
本作でのブルースは過去のトラウマとの対峙がメインテーマになっています。悪夢となかなか向き合えない葛藤を表現したエリック・バナの演技は必見です。そんなブルースが少しずつ強く成長する様も丁寧に描写されています。
ちなみに、ハルク役ではないものの、実写ドラマ『超人ハルク』のハルク役ルー・フェリグノが警備員役で出演しています。新ハルクのエリック・バナに睨みをきかせる、元祖ハルクルー・フェリグノという構図は見逃せません!
『ハルク』(2003年)に登場するハルクの特徴
出典:Amazon.com
CGによって、まるでコミックから抜け出してきたかのようなハルクが登場する本作。設定などはコミックに近いものになっています。父親からの虐待、母親の死などはコミックをリスペクトした内容です。自分のトラウマであり乗り越えなければならない父親との対決はコミックよりも深く、原作よりもスッキリしたラストになっています。
鮮やかな緑色の体に目立つ紫のパンツもコミックに忠実です。これこそがハルク!跳躍力も耐久力も圧倒的で格好良いい!理性もなく戦っているように見えますが、本作のハルクはかなり理性的です。
そう言える理由は、彼の戦い方。戦車や武器を壊したり投げつけたりします。しかし、彼は敵であろうと人間を殺そうとはしないのです。わざわざ人に当たらないよう暴れています。よく見て見ると、壊れた戦車から人が逃げるところも観られます。我を忘れていても、人を傷つけない「ヒーロー」ぶりがたまりません!
実写映画『インクレディブル・ハルク』
『インクレディブル・ハルク』のあらすじ
ロス将軍(ウィリアム・ハート)は「スーパーソルジャー計画」の研究を進めていた。その研究にはブルース(エドワード・ノートン)も参加している。ある日、ブルースが被験者になり実験が行われた。しかし、その実験は失敗しブルースはハルクに変身してしまう。
それから5年、ブルースは逃亡生活を続けていた。しかし、ロス将軍はついにブルースの場所を突き止めるのだった……。
MCUシリーズの2作目として製作された本作は、他のMCU作品の伏線も隠された作品でもあります。キャプテン・アメリカが誕生するきっかけになった「スーパーソルジャー計画」の失敗の結果がハルクなのです。MCUシリーズの中では目立たない作品ですが、ファン必見の内容!
本作のハルクの声を始めMCUシリーズのハルクの声は、『超人ハルク』の元祖ハルク役ルー・フェリグノが声優を務めています!ブルースにガンマ線が照射されるシーンなども『超人ハルク』のシーンのオマージュ。本作は『超人ハルク』ファンへのサービスもたっぷりです。
『インクレディブル・ハルク』ハルク役エドワード・ノートン
ハルクを演じたエドワード・ノートン。映画『世界中がアイ・ラヴ・ユー』、『ファイト・クラブ』、『グランド・ダペスト・ホテル』など数多くの作品に出演しています。俳優業だけでなく、脚本、監督としても活躍しています。クレジットされてはいないものの実は、本作の脚本にもエドワード・ノートンが参加しています。
ハルクはエドワード・ノートンでなければならない、と言い切れるくらい本作の演技が素敵です!感情を乱してはいけない、心拍数を上げてはいけない、と常に気を使っているブルース。その精神的に不安定な状態の繊細な演技が印象的です。ベティ対する感情の揺れ動きもエドワード・ノートンだからこその表現ではないでしょうか。
『インクレディブル・ハルク』に登場するハルクの特徴
2003年の『ハルク』のハルクとは違い、周りの人間に危害を加えないよう気を使っているわけではなさそうです。物語冒頭の回想シーンでは恋人ベティが重症を負っている様子が見られます。
また、ブルースが追い込まれた場面で軍から派遣された部隊の人間だけでなく、一般人も巻き込まれている様子が見られました。親しい人間に対しては危害を加えないようにしているものの、それ以外の戦闘では完全に理性がない状態のようです。
本作のハルクは武器を作り出すことができます。アイアンマンことトニー・スタークの会社、スターク・インダストリーズの音波武器による攻撃を受けたハルク。ただ暴れるだけでなく、どこからどんな攻撃を受けているのか分析する能力を発揮します。そして瓦礫から、盾のようなものを作りだしました。理性はないものの、元のブルースの頭脳を感じます。
「怒り」以外の要因でハルクになってしまうのも、本作のハルクの特徴です。ブルースは常に腕時計型の心拍計を付けています。運動したり興奮したり……などの要因で心拍数が上がっても変身するというのです。そのため、ベティと良い雰囲気になってもブルースは思いとどまります。ある意味、今までの歴代ハルクの中でも最も不憫と言えそうです……。
『インクレディブル・ハルク』以降のMCUシリーズ
先述した映画『インクレディブル・ハルク』はMCUシリーズの1作品です。しかし、その後のアベンジャーズに参加したハルクは『インクレディブル・ハルク』のハルクとは少し違います。大人の事情で俳優が代わり、設定も微妙に変化しているのです。ですので、ここでは『インクレディブル・ハルク』のハルクと分けて、MCUシリーズのマーク・ラファロ演じるハルクをご紹介します。
MCUシリーズのハルク役マーク・ラファロ
出典:Wikipedia
2012年『アベンジャーズ』でマーク・ラファロが演じるハルクが初登場しました。この作品を皮切りに『アイアンマン3』、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』、『マイティ・ソー バトルロイヤル』、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、『キャプテン・マーベル』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』と多くのMCU作品に出ています。だからこそ、ハルクと言えばマーク・ラファロ、と感じる人も多いのではないでしょうか。
マーク・ラファロは、映画『死ぬまでにしたい10のこと』や『はじまりのうた』、『スポットライト 世紀のスクープ』など多くの作品に出演しており、演技の幅の広い俳優です。
MCUシリーズのハルクの特徴
多くの作品で、ハルクの力に脅え悩む青年として描かれてきたブルース。もちろん本作でもブルースは、その力に悩み孤独を感じています。しかし、MCUシリーズのブルースはトニー・スタークの皮肉に言い返したり、ソーに振り回されたり、ブラック・ウィドウことナターシャと関係を深めていたり……とかなり「人間」的です。
文字通り心の中に怪物を飼っているブルースですが、暗いだけではない普通の感情があります。その人間らしさは、マーク・ラファロだからこそ表現できたのではないでしょうか。
一度ハルクになると人間に戻すために、周りのアベンジャーズのチームは苦労していました。信頼関係を築いているナターシャのおかげで元の姿に戻ることもありました。
ところが、『マイティ・ソー バトルロイヤル』では2年もの間ハルクのままでした。惑星サカールで暴れることを受け入れられ、言葉も話せるようになったハルク。ブルースとはまた違った人格を持っています。原作と似た設定やストーリーもあるものの、MCUオリジナルのハルクとして成長しています。
まとめ
原作のコミックから実写ドラマ、映画までのハルクをご紹介してきました。
2019年、東京コミコンのために来日したマーク・ラファロは「まだハルクには描くべきストーリーがある」とハルクの次作への意欲を語っていました。もしかすると、これからもハルクの活躍が見られるかもしれません。
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