どんでん返しの最高潮『シックス・センス』ネタバレと伏線を解説!
1999年に公開された映画『シックス・センス』。ジャンルはミステリーやホラーにカテゴライズされますが、ただ驚かすだけの大味な作品ではありません。一概に”ホラー”と言えどその域をゆうに超えており、細やかなストーリー構成と伏線回収には思わず夢中になってしまうことでしょう。
ただの「恐怖」「脅かす」という意味合いの怖さはなく、じっくりと謎を解き明かしていく丁寧な描写・脚本が魅力の一つです。ホラー映画が苦手な方でも存分に楽しめる作品ですね。
ネタバレを知ってから鑑賞すると楽しさが半減してしまいますので、本記事は鑑賞後の閲覧を強くおすすめします。また鑑賞済みの方は繰り返し観ることで新たな発見があるかもしれません。『シックス・センス』の奥深い世界観を解説していきますよ!!
目次
映画『シックス・センス』の登場人物
マルコム・クロウ役:ブルース・ウィリス
腕の良い小児精神科医のマルコムは、名誉市民賞を受賞しているほど仕事熱心。かつて患者が助けられなかった過去を持ち、その患者を一年後に出会うコールという青年と重ね合わせてしまうのです。彼を救いたい一心で、精神不安と判断したコールを気にかけることになるのですが……。
マルコムを演じるのはブルース・ウィリス。『ダイ・ハード』シリーズや、『アルマゲドン』、『フレンズ』など多くの大ヒット作に出演し、ゴールデングローブ賞やエミー賞などを受賞する実力派俳優です。現在はすでに60歳を超えていますがまだまだ現役!出演作品も続々と決定しているので、いつまでも第一線で頑張ってほしいものですね。
コール・シアー役:ハーレイ・ジョエル・オスメント
9歳のコールは母親と二人暮らし。マルコムには精神不安定を診断されてしまいますが、実は幽霊が見えることから摩訶不思議な言動が多かっただけなのです。ちょっぴり生意気な一面も見せますが、自身の秘密をマルコムに打ち明けるほど心を開くようになり……。
コールを演じるのはハーレイ・ジョエル・オスメント。わずか11歳でありながら本作ではアカデミー助演男優賞にノーミネート!繊細な表情から細やかな演技が素晴らしいので、ぜひ注目して観て下さい。
アンナ・クロウ役:オリヴィア・ウィリアムズ
マルコムの妻・アンナ。彼の働きっぷりには感心する一方で、自分の存在は二の次だと寂しさを覚えています。ある事件が起こった一年後、夫婦の間には溝ができてしまうのですが……。
アンナ役はイギリス・ロンドンの女優オリヴィア・ウィリアムズ。『X-MAN』や『ゴーストライター』で見かけたことがある人も多いのでは?実はあの人気ドラマ『フレンズ』にも出演している点においては、ブルース・ウィルスとの共通点とも言えますね。現在も素晴らしい美貌は健在です。
リン・シアー役:トニ・コレット
コールの母親であるリンは離婚歴があり、息子と二人暮らし。決してコールを疎ましく思っているわけではありませんが、彼の言動が理解できずに苦しんでしまいます。ですがその苦しみも、愛ゆえの悩みなのです。
リンを演じるのは大物女優のトニ・コレット。本作ではハーレイと同様、アカデミー賞助演女優賞にノーミネートされました。二か国に家を所持するセレブとしても有名です。
ヴィンセント・グレイ役:ドニー・ウォルバーグ
序盤にて現れるヴィンセントは、マルコムが救うことのできなかった患です。突如彼の家に侵入し、声を荒らげるから驚いてしまいますよね。マルコムはこの青年を救えなかったことを気にし、翌年現れるコールに姿を重ね合わせてしまうのでした。
彼を演じるのはミュージシャン兼俳優のドニー・ウォルバーグ。『SAW』シリーズや『デッドサイレンス』、『ドリームキャッチャー』などホラー作品への出演が目立っています。
キラ・コリンズ役:ミーシャ・バートン
突如コールの前に現れたキラは幽霊の女の子。実は亡くなったばかりの時にコールにSOSを出し、彼女だけでなくその妹も救うことに成功しました。キラに対する成功体験により、コールの気持ちに変化が訪れます。
キラ役はモデルや女優で活躍するミーシャ・バートン。10代の頃から演劇の勉強を始め、そのセンスに高い評価を受けたのだそう。ブランドモデルなども務め、現在も積極的な活動を見せています。
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映画『シックス・センス』のあらすじ①(ネタバレなし)
それでは早速、『シックス・センス』のあらすじを紹介していきます!
ネタバレなしですので、本作をまだ観たことがない方はこちらをご参照くださいね。
ヴィンセントの襲撃
小児精神科医のマルコム(ブルース・ウィリス)は多くの子供の疾患を解決し続ける腕の良い医者。少々仕事熱心すぎる部分もあるが、妻のアンナ(オリヴィア・ウィリアムズ)との夫婦仲も良好であった。
家の中で過ごしていると、二階のバスルームに不穏な影が見える。それはヴィンセント(ドニー・ウォルバーグ)というやせ細った青年だった。突然暴れ、喚きだし歯止めがきかないほどの錯乱状態に陥る男……。夫婦は怯えるも、ヴィンセントの発言からマルコムが過去に手掛けた患者ということが発覚する。彼はどうやら過去の治療内容について逆恨みをしているようだった。
そしてヴィンセントは暴れた末に、マルコムに銃を発砲した……。
コールとの出会い
発砲の夜から一年が経ち、夫婦仲はすっかり冷え切っていた。あれだけ仲睦まじい様子を見せていたが、今やアンナはマルコムを無視するようになってしまう。
ヴィンセントを救えなかった後悔が残る中、コールという9歳の少年に出会う。少年は精神が不安定で、学校でも浮いた存在。そして母親と二人暮らしなことから、マルコムはコールを気にかけている。ヴィンセントと似たような症例があり、どこか重なってしまう部分があるからだ。
コールは摩訶不思議な言動が多く、彼の母・リン(トニ・コレット)も理解に苦しんでいるほどだった。それをマルコムは「精神不安定」と診断していたが、どうやら別の理由があるらしい。
始めはマルコムを警戒していたコールだが、彼の献身的な姿勢をみて心を開くようになる。そして遂に彼は自分の秘密「霊が見える」ことをひっそりと打ち明けた。その件で異常者扱いされたこと、リンにも打ち明けられないことをずいぶんを悩んでいたのである……。
ただの「精神疾患」ではなく、彼の持つ特殊能力のせいで摩訶不思議な言動が多かったということだ。それを聞いたマルコムは少し驚くも、彼を受け入れることに。
死者と関わることで…
コールとマルコムがすっかり打ち解けるようになった頃、コールは家の中である少女の霊と出会う。口から吐しゃ物を出し、苦しそうな顔をする女の子……。何かを言いたげな雰囲気だったため尋ねてみると、少女のキラ(ミーシャ・バートン)を母親に殺されたという事実を口にする。妹の同様の被害に遭いそうなことから、コールにSOSを求めているようだった。
そしてコールはマルコムに相談しとある場所へ向かい、”死者の願い”を叶えるべく動き出す。二人の行動は見事に実を結んだ。キラは無事に成仏でき、それぞれの心境にも変化が訪れていく。
これを機に霊=怖いものではなくなり、死者を救えたことから自信が持てたコール。学校へも馴染んでいき、以前のような彼ではなくなっていた。この経験をきっかけに、コールはリンへ幽霊が見えることも告白。マルコムにも母や打ち明けるように背中を押されていたために、勇気を持って彼女へ伝えたのだ。最初は戸惑い、信じないリンだったが「死んだ祖母に聞いた」とコールは、自分が生まれていない時の母と祖母の話を始める。
驚いた彼女だが疑いは確信へと変わり、息子を抱きしめる。親子関係は非常に難しいものとなっていたが、告白を機に修復へと向かっていた。
そして肝心のマルコムはコールの件を解決して、自宅へと戻っていった。リビングでは相変わらずアンナが酔いつぶれ、テレビの前で寝ている。そしてマルコムはアンナへ話しかけるのだが、……。
映画『シックス・センス』のあらすじ②(ネタバレあり)
以下はネタバレありのあらすじとなります!未鑑賞の方はご注意くださいね!
ネタバレあらすじの前に!ブルース・ウィルスからのお願い
本作は物語に入る冒頭部分で、ブルース・ウィリスからの”あるお願い”がテロップにて現れることで大きな話題となりました。”お願い”とは「この物語には秘密がある。どうかその秘密を未鑑賞の方には話さないでほしい」とのことでした。
察しの良い方はこの時点でで、すでに大きなどんでん返しがあることを推測できるかもしれません。当時はブルース・ウィリスからのメッセージやそれを裏切らないラストに賞賛の声が多数上がったそうです。
衝撃のラスト!マルコムは…
部屋へ戻ると泥酔したアンナ。マルコムは彼女に話しかけるが、「なぜ私を置き去りにしたの」と意味深な言葉を呟く。その時結婚指輪が下に落ち、拾おうとすると……アンナの指にはしっかりと指輪がはまっていた。自分の指を見てハッとなり、彼は自分自身が既に死んでいることを知ってしまう。
要するにアンナは冷たくなったのでも無視をしているわけでもなく、旦那が世に存在していないことを受け入れられないだけだったのだ……。
コールに言われた「幽霊は見たいものだけが見える」「彼らは自分が死んだと思っていないのさ」という話を思い出す。マルコムはヴィンセントに撃たれたあの日、とっくに命を落としていたのだ。彼を救えなかった後悔の念と、妻を残してしまった未練が残り、まだこの世を去れないでいたところコールと出会った。
死に気づき、ヴィンセントこそ助けられなかったもののコールを救えたマルコム。アンナに別れの言葉を告げ、現実を受け入れながら成仏していくのだった。
知っているとさらに面白い!『シックス・センス』の伏線
伏線①冷気の秘密
ラストシーンにてアンナの吐く息が白くなるシーンが気になった人も多いではないでしょうか?「なぜこのシーンで寒そうにしているの?」と思われがちですが、コールのセリフをじっくりと思い出してみるとピンとくるはずです。
霊が見える彼は「幽霊が出てくると寒気がするんだ」と一言。確かにマルコムはすでに亡くなっているので”幽霊”なのですね。そんな彼がアンナに近づければ「幽霊が出た」ということなので、冷気を感じて寒そうにしているわけです。ショールをかけなおしていることが、寒気を覚えている決定的なしぐさですよね!
ですが幽霊が現れた全シーンで冷気が冷気が出ているのかというと……そうではありません。ラストのマルコムなど、霊側が感情を露わに、もしくは気持ちが高ぶった際にじわりと出てくるものとなっています。
伏線②会話をしていたのはコールだけ
冒頭でマルコムがレストランにて、アンナと向かい合って座るシーン。一生懸命話しているにもかかわらず、彼女は知らん顔……。挙句の果てには会計をサッサと済ませて、出ていってしまいます。
そして思い返せばマルコムとリンの会話もどこか一方的で、会話がしっかりと成立していません。すでに彼は死んでいますから、マルコムと目と目を見て会話していた人物は、作中でコールだけなのです。
アンナに無視をされ続けるシーンに「酷いなぁ」と思った人も多いと思いますが(笑)決して悪気があっての行動ではありません。彼女には死者の声が届いていないのだから、当然のことと言えます。ですからコールが最後にアドバイスした「奥さんには寝ている、意識のない時に話してみて」という言葉は、ラストまで観ればその意味がしっかりと分かることでしょう。
伏線③ものを動かしていない
実はコールの前以外でマルコムはものを動かしていません。死者であることから何かを動かす、掴むといったことが出来ないので、作中では徹底して描いているのですね。よ~く見てみるとアンナとの食事シーンから、この伏線はすでに登場していました。
まず彼女の前に現れたマルコムに「椅子を引く」という動作はなく、そのまま座っているのですね……!伝票を取ろうとするときも同様に、実際に「もの」に触っていないのです。
そしてドアを引く、開け閉めすると言った動作も作中では見られません。車を運転するというシーンもなく、彼はバス移動をしていました。コールの隣に座っているように思えますが、彼以外には少年の単独行動にしか見えていないのです。
かなり徹底して描かれている描写ですが、初見だとこの細やかさにはほとんど気づきません(笑)二回目の鑑賞の際にぜひ注目してほしい部分と言えますね。
その他の伏線
細やかな伏線が多数張られている『シックス・センス』ですが、実はまだまだあるんです。よーく、よーく観ないとわからないシーンなのですがマルコムが亡くなっていることを現わすのに妻・アンナのシャワーシーンがあります。
ちょっぴりセクシーなシルエットに気を取られてしまった人も多いかと思いますが(笑)実はあの部分も立派な伏線が。マルコムは彼女を真っすぐと見ておらず、鏡越しに見ているのに気づきましたか?この時点で彼は「この世に存在していない」ことを現わされているのです。
また、家には彼女の一人分の食事しか用意されていなかったり、マルコムの服装が撃たれた際の青シャツのままだったり……。注意深く観ると「あれ?」と思うシーンは多々ありますよね。
そして更に違和感を覚えるシーンは、アンナがある男性とキスをしようとするところ。窓ガラスを割って妨害したマルコムですが、逃げる際にちょっぴり不自然な歩き方をしているのです。じっくり観察すると左の脇腹、つまりあの日撃たれた部分を押さえていました!彼が撃たれてしまったことを決定づける細やかな演出ですね。
他にもまだまだ伏線が張られているので、繰り返し鑑賞して発見するのも楽しいと思いますよ!
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まとめ
ホラーやミステリーなど一つのジャンルに括ってしまうのがもったいないほど、完成度の高い『シックス・センス』。先にネタバレを知ってしまうと謎解きやオチの面白さが半減してしまいますが、一度観たからといってすぐに満足してしまう作品ではありません。繰り返し鑑賞し、伏線を回収することでより楽しさが増す映画と言えるでしょう!
マルコムは死者だったという事実を知ってから鑑賞しても、また違った発見があります。オチを知ってからでも新たに楽しめるので、ぜひ二回、三回と観てみて下さいね。より深く本作を理解できると思いますよ。