タフな生き様に痺れる!憧れる!最高にシブいハードボイルド映画特集
権力になびかず、ただ己の信念に従って生きるハードボイルドな男たち! 今回はそんなシブい男たちのタフな生き様を描いたハードボイルド映画をご紹介いたします!
男ならきっと憧れてしまう! タフでカッコいい男たちの、シブくてカッコいい物語に痺れましょう!!
※本記事でご紹介する配信状況は2020年1月時点のものです。最新の配信状況は公式サイトにてご確認ください。
目次
ハードボイルドとは?
そもそも「ハードボイルド(hard‐boiled )」という言葉は元々固ゆで卵の事。卵を鍋で15分以上茹であげると、黄身の部分まですっかり固まってカチカチになりますよね。その様子を引用して、「固茹で卵のよう」という揶揄の表現として「ハードボイルド」という言葉が使われるようになりました。
「ハードボイルド」と聞けば「トレンチコートを羽織って煙草をふかし、バーボンを喉に流し込むニヒルな男」をイメージする方も多いでしょう。その背景として、とある二人のキャラクターの存在があります。
一人は、アメリカにおいてハードボイルド文化を確立した第一人者とも呼べるミステリ作家のダシール・ハメット(Samuel Dashiell Hammett)が生み出した私立探偵「サム・スペード」。
出典:Wikipedia
そしてもう一人、アメリカの作家レイモンド・チャンドラー(Raymond Thornton Chandler)が生み出した「フィリップ・マーロウ」
これらのキャラクターのイメージが世間にあまりにも強く印象付けられてしまったため、彼らのビジュアルがそのままハードボイルドというイメージとして定着しました。
しかし、元来ハードボイルドというのは「手ごわい」「食えないヤツ」という人物像に対して=固茹で卵のように感情に流されないタフさ・非情さ=ハードボイルドという流れで定着したものなんです。今でこそ小説・映画・漫画と幅広いジャンルで使用されているハードボイルドですが、元々は第一次世界大戦後の1920年代に、アメリカで前述のような主人公の姿を淡々と描く手法を用いた文芸小説に対して呼ばれるようになったのが始まり。
ちなみに、ハードボイルド好きなら知らない人はいないであろう、日本のハードボイルド第一人者である研究科・小鷹信光之。彼の著書「私のハードボイルド―固茹で玉子の戦後史」は、ハードボイルドファンなら必見です。ハードボイルドの語源や関連作家の解説、そして何より小鷹信光自身のハードボイルドとの出会い、生き様といった自伝からは熱すぎるくらいの情熱が伝わってきます。ご興味のある方は是非お手にとってみてくださいね。
ハードボイルド映画あるある
イチオシのハードボイルド映画をご紹介する前に、ハードボイルド界隈における「あるある」なネタをおさらいしていきましょう。これからご紹介する映画でも、このような「あるある」演出がたくさん登場します!
どの作品でも似たように登場するお決まりの演出は、「あるある~(笑)」とネタにしたくもなりますが、いざ作品を見つめると不思議と飽きず、そして真剣に引き込まれてしまう、ハードボイルドにはなくてはならないものです。ぜひそういった要素も楽しみながら鑑賞してみてはいかがでしょうか?
【あるあるその①】大抵コーヒーが不味い
ハードボイルド作品に登場するキャラクターが飲むコーヒーは、何故か大概「不味い」のがお約束。ハードボイルド作品に登場する人物は、お金持ちのエリート…ではなく、どこかやさぐれて、身一つで生きているようなミニマリストだったり、質素でしみったれた生活を送っているパターンが多いというのもあるのでしょうか?本当に不思議なくらい「不味い」コーヒーが登場します。彼らが美味いコーヒーを飲んでいることの方が珍しいかもしれません。
ススキノ探偵はカウンターの隅で胃薬を酒で流し込むし、次元大介はいつもシケモクもくわえている。繊細で豊潤な香りとか、そういう手入れの行き届いた贅肉みたいな味わいはいらないのよ、ハードボイルドには。
— ジロウ (@jiro6663) 2019年5月17日
ハードボイルドな生き方に憧れるなら、仕事前の朝の一杯、あろう事か「不味いコーヒー」に遭遇してしまった場合は思い切り眉をしかめ「…相変わらず不味いな」と呟いてみましょう。いともカンタンに”ハードボイルド”ぶる事が出来ます。運よく隣の席の人が同志ならば、「よォ、調子はどうだ」なんて返事が返ってくるかもしません。
【あるあるその②】薬を酒で流し込む
ハードボイルドの主人公は、怪我を負ってもアルコールで痛みを忘れさせようとする男がやたらと多いです。ハードボイルドな酒と言えば、ウォッカやバーボンといったウイスキーだけでなく、映画『007』シリーズの「マティーニを。ステアせずシェイクで」というセリフでお馴染みのカクテル「マティーニ」や、ロング・グッドバイの「ギムレットには早すぎる」でお馴染みの「ギムレット」など、とにかく度数の強い酒。
そんな強い酒で薬をカッと流し込むハードボイルドな男――。見ている分にはサイコーにクールで、その姿に一度や二度は憧れを抱いてしまうもの。
しかし、アルコールには薬の作用を増長させてしまう危険な力があります。(アルコールも薬も肝臓内で代謝が行われる為、同時に接種してしまうと代謝の効果が半減してしまい、代謝しきれなかった薬が血液に流れてしまう=薬の効果が強くなってしまうと言われています)
ハードボイルドな男といえど、命無ければ酒を飲むことも煙草をふかすこともかないません。体を大事に思う方は、絶対にマネしないようにしましょう。
【あるあるその③】とにかく煙草の登場回数が多い。むしろ煙草が主役
今や禁煙や分煙が叫ばれる時代。電子タバコなんてものも流行りだし、生粋の煙草を愛する人間にとっては世知辛い世の中になりましたね。しかし、映画に登場するハードボイルドな男たちは、世間も他人もお構いなしに不味いコーヒーと共に、新聞片手に、道端で、戦場の真っただ中で、とにかく様々な場面で格好良く煙草をくゆらせています。
斜めに咥えられた煙草、その隙間から漏れる掠れた声、立ち込める煙…タフな男がそうしてふと孤独を吐き出す様は、とにかく痺れます。
ヨメや彼女に苦い顔をされ泣く泣く電子タバコに切り替えた…なんてしみったれた現状を抱えているは、せめて映画や小説を見てハードボイルド欲求を満たしましょう。
【あるあるその④】皮肉がうまい
口から生まれてきたとでも言わんばかりにとにかく皮肉が”うまい”!世界に誇るジブリ作品では、『紅の豚』でマルコが「豚に国も法律もねェよ」なんて痺れる事を言っていますし、『007』シリーズではボンドが「死人は時間にうとくてね」なんていう皮肉なセリフをかましています。このセリフ回しがサイコーに痺れるのなんの。
主人公が発する言葉の切れ味の良さが、ハードボイルド作品に良いスパイスを加えて魅力を深めているんですよね。
おすすめハードボイルド映画16選
さあ!お待たせ致しました。ここからは編集部イチオシのハードボイルド映画をご紹介していきます。
洋邦問わず様々なジャンルから、王道なもの、そしてちょっと意外な作品まで、ハードボイルドなみどころをたっぷりと語っていきます!あなたに合ったお気に入りの男たちを見つけてみてくださいね!
1.ヒート
叫ぶか、黙るか。二人は出会った。いま高鳴る銃撃のシンフォニー!
あらすじ
『ヒート 製作20周年記念版』2017.3.3ブルーレイリリース – YouTube
強盗を生業とする犯罪のプロフェッショナル、ニール・マッコーリーをリーダーとする強盗団は、完璧な手口で現金輸送車を襲う。しかし短気な新入りが起こしたミスで想定外の事態が発生、ニールはその新入りを粛清しようと考えるが逃げられてしまう。
一方で事件の捜査に乗り出したロス市警のヴィンセント・ハナ警部補は、その鋭い捜査能力から強盗団のメンバーを割り出すことに成功し、やがて強盗団のリーダーであるニールの存在を知る。
犯罪のプロフェッショナルと、犯罪捜査のプロフェッショナル。決して譲れないものを持った二人の運命の激突が、始まろうとしている。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
ハリウッドきっての名優であるロバート・デニーロとアル・パチーノが、犯罪のカリスマとそれを追う鬼警部を演じた犯罪映画です。特に、強盗のプロであるニールの生き様はどこまでもプロフェッショナル。ただの悪党ではなく、強い美学を持った犯罪者であることがわかります。
それを追うヴィンセント警部補も、私生活を捨ててまで凶悪犯罪の捜査に執念を燃やす男の中の男。やがて二人はお互いの存在に気付き、決して避けられない運命の敵であると認識するようになります。
しかし同時に、歩む道は違えどその道のプロフェッショナル同士、決して他人とは分かり合えないハードボイルドな人生を送る二人は、初めて出会った自分と同格の存在に敬意を払い、不思議な共感まで共有するようになります。
「もしも違う出会い方をしていたら?」そんな思いが頭をよぎりながらも、決して譲れない信念のために銃を握り、生死を賭けた激突を果たすことになる二人。ハードボイルドな男たちの闘いの行く末を、ぜひ見届けてください。
こんな人におすすめ
- ハードボイルドな男同士の、運命の激突が見たい人
- 犯罪のプロフェッショナルの、強い美学を持った生き様が見たい人!
- ハリウッドきっての名優二人の、火花散らす激突が観たい人!
- 強盗団VS警察隊のリアルな銃撃戦が見たい人! 映画史において今でも語り継がれる、12分間の伝説の銃撃戦をご覧あれ!
こんな人には向かないかも…
- 犯罪者を美化するような映画はちょっと…という人(しかし本作を最後まで見ていただければ、この作品が決して、犯罪者を単にカッコよく描いた映画とは違うことをご理解いただけると思います)
- 犯罪世界のハードボイルドではなくて、正義のハードボイルドが観たいという人
2.甘い人生
愛を知らなかった男の、破滅に至る初恋。
出典:Amazon.co.jp
あらすじ
ソウルの中心部に存在するスカイラウンジ。そのラウンジとレストランの総マネージャーを務めるキム・ソヌは、自分の頭一つで表の世界と裏の世界で信頼を勝ち取りながら、現在の地位までのし上がって来た切れ者。そんなソヌは世話になっているカン社長に頼まれ、社長の愛人を数日間監視することになる。
監視対象の愛人と時間を共にする内、今まで愛など知らなかった有能で冷徹な男の中に、不思議な感情が芽生えていく。しかしその感情は、人生の破滅へと至る、決して許されない恋慕だった。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
常に黒いスーツと白いシャツを身にまとう、クールで有能な主人公の生き様がとにかくカッコいい! 一見感情に乏しい優秀なビジネスマンにしか見えない主人公ですが、裏社会でその実力を認められるだけあって、戦闘能力と容赦の無さも確かなもの。
完璧な人生を送っていた冷酷でタフな主人公が、初めて芽生えた恋の感情に戸惑いながらも、やがて後戻りのできない領域で死闘を繰り広げることになる本作は、切ないハードボイルド映画を探している方におすすめです。
またハードボイルド映画が好きな方の中には、カッコいい男のカッコいい私生活のシーンがたまらないという人も多いでしょう。本作はそんな要望にもきちんとお応えできる、クールでタフな男のスマートな私生活の様子が、盛りだくさんな一作となっております。
こんな人におすすめ
- クールでどんな仕事もそつなくこなす、有能かつ切れ者な主人公が好きな人
- 『ハードボイルド』といえば、トレンチコートよりも白シャツ+黒スーツだろ!という人。イ・ビョンホン演じる主人公は常にダークスーツを身にまとい、どの瞬間を切り取ってもとにかくカッコいい!こんな男に生まれたかった!
- たった一つの許されない恋が、人生を狂わす…そんな切ないハードボイルド映画を探している人!
こんな人には向かないかも…
- 拷問シーンや血しぶきなどが苦手な人。本作にはかなり凄惨なシーンも多いので、残酷な描写が苦手な方にはおすすめできません (しかし、だからこそ美しさが際立つ映画でもあります)
- 映画はやっぱり、ハッピーエンドでしょ!という人。ネタバレになるので言えませんが、本作はそもそもハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか、ビターエンドなのか? それすらも曖昧な作品です
- ハッキリとした終わり方じゃないとイヤ!という人
- ハードボイルドな男に恋愛を持ち込むんじゃねえ!という人
3.コンスタンティン
その男、天国と地獄のエージェント
あらすじ
人には見えない者が見える男…ジョン・コンスタンティンは、その霊感を苦にして自殺未遂をした経験がある。禁忌である自殺を犯してしまったせいで、死後は地獄行きが決まってしまっているコンスタンティンは、天国行きの切符を手に入れるために末期ガンの身体を引きずりながら、日夜悪魔払いの仕事に精を出していた。
ある日、コンスタンティンは奇妙な依頼を受けるが、その背後では天国と地獄のバランスが崩壊する、とてつもない事態が動き出していた…。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
黒スーツを身に纏い、常にたばこの煙をくゆらせながら退廃的な生活を送る、ニヒルな悪魔祓い師…。そんな主人公にハードボイルドを感じた方には、ぜひおすすめしたい一作です。
またハードボイルド映画といえば犯罪映画や私立探偵物といったリアルな世界観を売りにする映画も多いですが、本作は天使や悪魔が登場するファンタジー・ハードボイルドとなっています。
ハードボイルドの正装とも言える漆黒のスーツに黒ネクタイを締めて、神より与えられた霊感を頼りに、金のメリケンサックと十字ショットガンを握ってこの世に潜む悪魔をしばき倒すジョン・コンスタンティン! 本作は、他とは一風変わった雰囲気のハードボイルド映画を探しているという方におすすめです!
こんな人におすすめ
- ガブリエルやサタンが登場する、ファンタジーな世界観のハードボイルド映画を探している人!
- ハードボイルドといえばタバコは欠かせないよね! という人。主人公のコンスタンティンは、常にタバコを手放さないようなヘビースモーカー!(そのせいで余命わずか…)
- ハードボイルドの代名詞とも言える、権力に屈服しないタフな生き様を見たい!という人。天使だろうが悪魔だろうが、気に入らない奴には従わない!地獄の大魔王本人にまで中指を立てるコンスタンティンは、まさにその生き様を体現した男だと言えるでしょう
こんな人には向かないかも…
- 嫌煙家の人
- ファンタジーな映画には乗り切れない人。たまらない人にはたまらないニッチな映画であることは確かなのですが、天使や悪魔を聖なるメリケンサックで殴り倒すようなファンタジーな世界に乗り切れない人には向かないかもしれません
4.アウトレイジ
全員悪人
出典:Amazon.co.jp
あらすじ
組長大友がまとめる大友組は、小さいながらも狂犬たちの揃った武闘派組織。兄貴分である池本組のトラブル解決を任された大友は、配下を率いて指示された通りに村瀬組の組長、村瀬に残虐な制裁を与える。
しかし大友は、ヤクザ組織のもっと大きな陰謀の歯車の一つにしかすぎなかった。義理を通したはずの池本に裏切られた大友は、後戻りの効かない粛清と復讐の嵐に巻き込まれていくこととなる。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
日本の闇社会の中で生きる、凶暴な男たちの血で血を洗う物語。法にさえ縛られないアウトローたちの危険な生き様が見どころの本作ですが、特にハードボイルドなのは、主人公の大友の右腕、椎名桔平演じる水野という名前のヤクザでしょう。
水野は大友組きっての狂犬かつ切れ者で、どんな時でもニヤニヤとした不遜な態度を崩さない危険な男です。しかし親分である主人公に対する忠誠心は誰よりも高く、誰にも制御できない危険人物にも関わらず、主人公の命令だけは絶対に聞くという一本筋の通ったハードボイルドな男です。
他の登場人物たちも、裏社会を生きるアウトローたちばかり。危険な香りのするシブい男たちの生き様を見たい人には、とてもおすすめできる一作となっています。
こんな人におすすめ
- 死と隣り合わせの世界で生きるアウトローたちに、ハードボイルドを感じる人
- 広大なヤクザ世界で生きる、多種多様な肩書を持ったシブい男たちの抗争が観たい人
- タフな男たちのバトルロワイヤルが見たい人。裏切りが裏切りを呼ぶ、誰が生き残るのかすら予測不可能な展開となっております
こんな人には向かないかも…
- 凄惨な描写が苦手な人。あまりにもグロテスクな暴力描写、処刑方法などが頻出するため、そういった凄惨な描写に免疫の無い方には注意が必要です
- スカッとしない映画が苦手な人。こういったヤクザ映画の常ですが、観終わった後にスカッとするような類の映画ではありませんので注意してください
5.裏切りのサーカス
英国秘密諜報部に潜む、ソ連の二重スパイ。暴くのは、現役を退いた老スパイ――。
出典:Amazon.co.jp
あらすじ
東西冷戦が激化し、熾烈な情報戦の中でスパイたちが最も活躍した時代。イギリス秘密諜報組織、サーカス長官の右腕であったジョージ・スマイリーは、作戦失敗の責任を取って現役を退くことになる。
過酷な情報戦の世界から引退したスマイリーであったが、彼は外務次官の命を受けて、あるミッションを遂行することになる。それは、英国秘密諜報部のトップに存在するとされる、ソ連の二重スパイを突き止めることだった…。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
長年英国の秘密諜報員として働き、今では老いて総白髪になりながらも、キッチリとしたスリーピースの格調高いスーツを着こなす英国紳士…本作は、そんなシブさとダンディズムの塊のような老人が主人公です。
さらに、登場人物たちは全員、英国式スーツベストの似合うダンディな紳士たちばかり。英国スーツを優雅に着こなしたシブいおっさん達が繰り広げる頭脳戦は、正直に言って一回観ただけでは理解できないほど複雑で目が離せません!
こんな人におすすめ
- 英国紳士たちが繰り広げる、格調高い男の世界を堪能したい人
- 007のような超人スパイではなく、リアルなスパイたちの現実的な頭脳戦を見たい人
- 英国紳士のダンディな雰囲気が好きな人。英国の冷たい空気を感じる景色を、淡い色彩で描いた本作。シブい英国紳士たちのダンディな雰囲気を存分に味わいたい方におすすめです
こんな人には向かないかも…
- 複雑な映画が苦手な人。あまりにも話が複雑なため、一度見ただけで内容を理解するのはかなり難しい映画です。(実際にあった事件を元にした作品なので、リアリティを追求した結果ではあります)
- 終始静かな映画だと、寝てしまうような人。スパイたちのリアルな頭脳戦が見どころの映画ですので、派手なアクションシーンなどは存在しません
6.ドライヴ
男には、決して実らない恋に命を賭けなければならない時がある
出典:Amazon.co.jp
あらすじ
昼は映画のカースタントとして働く寡黙な主人公には、犯罪者の逃亡を手伝う運び屋という裏の顔がある。ドライバーとしての天才的な技術を持つ主人公は、誰とも深く関わることなくひっそりと暮らしていた。
しかし、ひょんなことから知り合うことになった人妻アイリーンに、主人公はひそかな恋心を抱くことになる。そして服役中だったアイリーンの夫が戻ってきたことで、事件は動き出す…。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
無駄な台詞は一つとして吐かない、寡黙な男。そんな主人公の静かな生き様は、まさにハードボイルドと呼ぶに相応しいでしょう。そんな主人公が、決して実らないとわかっている恋心のために命を賭けて戦う姿は、男であれば一度は妄想して止まないシチュエーションかもしれないですね。
絶えず何かが起きそうな緊張感漂う演出に、どこを取ってもお洒落な画作りと音楽。対比するように描かれる『ラ・ラ・ランド』でも主演を演じたライアン・ゴズリングが熱演する、寡黙でハードボイルドな主人公の行く末を、見届けてみてはいかがですか?
こんな人におすすめ
- お洒落で危険な雰囲気のハードボイルド映画を探している人
- 無駄な台詞は吐かずに表情で魅せる、寡黙な主人公が好きな人
- 複雑な主人公像にハードボイルドを感じる人。普段は静かだが、キレると突如として暴力性を発揮する。本作の主人公は、そんな二面性を持ち合わせています
こんな人には向かないかも…
- 単純明快で、わかりやすいストーリーを求める人
- 静かな映画だとつい寝てしまうような人。常に高い緊張感を維持する映画ではあるのですが、ハラハラドキドキの展開というよりは、緊張の糸が張りつめるような静かな雰囲気で魅せる作品です
7.007 / 慰めの報酬
傷ついた心が、共鳴する。
あらすじ
初めて愛した女…ヴェスパーを失ったボンドは、彼女を裏から操っていたホワイトという男を追っていた。ホワイトからクァンタムという謎の国際的犯罪組織の情報を手にしたボンドは、自身の所属するMI6のコントロール下からも外れ、半ば暴走するように事件の真相を追う。
ボンドはグリーンという組織の幹部を追跡するようになるが、その途中でカミーユという女の殺し屋と出会う。カミーユと自身の利害が一致することを知ったボンドは、共にグリーンの陰謀を打ち崩すために共闘するようになるが…。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
愛した女の復讐のために、世界を股にかけて犯罪組織を相手取る凄腕エージェント。本作は、007シリーズの中でも最もクールでハードなジェームズ・ボンドの姿を見ることができます。
初めて愛した女を失って深く傷ついた心を抱えながらも、泣き言は一切吐かずに、その胸の痛みをきついマティーニで流し込みながら戦うボンドの姿は、まさにタフな男の理想像と言えるかもしれません。
また、今作はダークでシリアスな雰囲気を貫いており、シリーズのお約束であるボンドガールとのベッドシーンが存在しない作品でもあります。胸に熱い復讐の炎を渦巻かせて、単身巨大な組織に立ち向かうジェームズ・ボンドの活躍をぜひご覧ください。
こんな人におすすめ
- ダニエル・クレイグ以降の、ダークでシリアスな雰囲気の007シリーズが好きな人
- 決して胸の内は明かさない、寡黙でタフな主人公像が好きな人
- 壮大なスケールで繰り広げられる、国際的スパイのハードボイルドな映画を求めている人
こんな人には向かないかも…
- 練り込まれた脚本じゃないと満足できない人。本作は製作途中に脚本家のストライキに見舞われたこともあり、若干脚本がまとまっていない部分があります。ですので、ストーリーに深いドラマ性や高い完成度を求める人にはおすすめしづらいかもしれません
- 007シリーズの遊び心を楽しみにしている人。本作はシリーズの中でも徹頭徹尾ダークな雰囲気を貫いた作品ですので、007にいつもの遊び心を求めている方にはおすすめできないかもしれません
8.レジェンド 狂気の美学
ロンドンの闇社会を支配した、伝説の双子
あらすじ
一卵性双生児のレジナルド・クレイとロナルド・クレイ…通称クレイ兄弟と呼ばれた二人の双子は、その飛びぬけた頭脳と凶暴性で頭角を現し、ロンドンの闇社会を牛耳っていた。スマートでカリスマ性に溢れた兄のレジーと、手が付けられないほど凶暴な弟のロニーのコンビは、裏社会において並び立つ者が居ないほどのギャングスターだ。
しかし二人の運命の歯車は次第に狂い始め、ついには二人に捜査当局の手が及び始める…。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
1960年代に実在した伝説のギャングスター、クレイ兄弟を題材とした犯罪映画です。ギャングにも関わらずスマートで経営センスに優れ、さらには高いカリスマ性まで持ち合わせるという、まさに男が憧れる男である兄のレジナルドと、手が付けられない狂犬として、誰の目も気にせずに自由に生きる弟のロナルド。
二人のタフなギャングスターの正反対な生き様を観ることができる、ハードボイルド好きには堪らない映画となっています。
しかし、完璧に見えるレジナルドにも実は繊細な部分が存在し、逆に欠点だらけに見えるロナルドには実は一本筋の通った部分が存在しています。不完全な二人は結局、そっくりの双子として互いに助け合って生きていくしかない、という闇社会を牛耳るハードボイルドな双子の、複雑な兄弟愛も見どころの映画となっています。
こんな人におすすめ
- 実際に存在した、伝説のギャングスターに興味がある人。クレイ兄弟は、ロンドンの闇社会を支配した実在のギャングスタ―です
- 一つの映画で、二人の正反対なハードボイルドを楽しみたい人
- タフだが決して完璧な男ではない、人間味のあるハードボイルド映画を探している人
こんな人には向かないかも…
- ハードボイルドな主人公には常にタフで強くいて欲しいという人。弱い繊細な部分を晒して欲しくないという人
- 輝いていた人生が崩壊していく様を見るのがつらい人
- ハラハラドキドキの脚本を求めている人。実在した人物の本物の人生を下敷きにした脚本のため、映画としての盛り上がりにかける部分があります。それをむしろリアルだと感じる人には良いのですが、映画としての面白みに欠けると思う人には向いていないかもしれません
9.3時10分、決断のとき
男たちは命を賭ける。心に秘めた信念のために。
出典:Amazon.co.jp
あらすじ
南北戦争に従軍した狙撃手、ダン・エヴァンス。彼は戦争で脚を負傷し、今では妻子を養うために小さな牧場を切り盛りするので手一杯だった。町の有力者から嫌がらせを受けたダンは、交渉のために街へ向かうが、交渉は決裂してしまう。
あての無くなってしまったダンは、そこで凶悪強盗犯であるベン・ウェイドが保安官に逮捕される場面に出くわす。ダンはそこで、ベンを護送するためのメンバーに加わり、保安官らと共に3時10分ユマ行きの汽車を目指す。しかしベンが率いていた強盗団も、ボスを取り戻すために追跡を開始する。
その過酷な追走劇の道中で、カリスマ犯罪者のベンと冴えない牧場主であるダンの間には、奇妙な友情が芽生え始め…。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
西部開拓時代のアメリカを舞台とした西部劇。本作のハードボイルドなポイントは、主人公に護送される凶悪強盗団のリーダー、ベン・ウェイドのアウトローな生き様です。ベンはどんな状況に陥ろうとも冷静で皮肉屋な態度は決して崩さず、自分を侮辱した人間は誰であろうと絶対に許さず、血の制裁をもって答えます。
会社などの組織の中でつらい日々を送る人の中には、そのシンプルかつ徹底的な生き様に、ハッとさせられることがあるのではないでしょうか。
もう一つの見どころは、そんなカリスマ犯罪者であるベンと、冴えない父親であるダンの間に芽生える奇妙な友情です。立場も性格も正反対な二人が、困難な旅路を乗り越えるうちに敵同士にも関わらず互いを認めるようになる様子は、ハードボイルドな友情物が好きな人にはたまらないでしょう。
こんな人におすすめ
- 会社で、嫌な上司や同僚に馬鹿にされても言い返せない…という人。一度馬鹿にされたらたとえ冗談であっても死で償わせるジョン・ウェイドの、ハードボイルドな生き方を参考にしましょう!(でも、本当に殴ったりしないでくださいね)
- 男同士のハードボイルドな友情が見たい人。立場も生き方も正反対な二人が、苦難の中でお互いのことを認め合っていく展開が熱い!
- こういう映画は終わり方もハードボイルドでなきゃ、という人! 二人が背中を預けながら駆け抜ける、ラストの激しい銃撃戦とシブい結末を見届けましょう!
こんな人には向かないかも…
- 犯罪者を美化するような映画はちょっと…という倫理観の強い人。ベン・ウェイドはタフでカッコいいアウトローですが、何件もの強盗と殺人を繰り返しているような殺人犯であることも確かです
- たとえハードボイルド映画であっても、ラストはスカッとハッピーエンドで終わって欲しいという人。本作の結末は非常に解釈が難しい、見た人に余韻を残すような終わり方となっています
10.男たちの挽歌
恥じて生きるより、熱く死ね!
出典:IMDb
あらすじ
香港マフィアの大物であるホーは、同じくマフィアである親友のマークと固い絆で結ばれていた。しかし、ホーは家族のためにマフィアの世界から足を洗うことを考え、最後の仕事と決めた取引に臨む。ところが事前にタレコミがあったため取引は失敗に終わり、ホーは部下のシンを逃がして、警察に自首することとなってしまう。
刑期を終えて出所したホーは、警察官となっていた弟から勘当され、さらには親友のマークが脚に障害を抱えた上に、シンが権力を握った組織でひどい扱いを受けていることを知る。シンが血の粛清を始めたことで大事な人々の命が危険に晒されたホーは、マークと共に銃を握り、立ち向かう決意を固める。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
出典:IMDb
やや昔の香港ノワールに特有の、胸やけしそうなほど熱い男たちが繰り広げる、血と友情の犯罪ドラマとなっています。
特に主人公の親友であるマークは、黒のグラサンスーツに丈の長いコートを羽織って二丁拳銃を構えるというアクの強すぎる風貌から、アジアン・ハードボイルドのみならず後の多くの映像作品に影響を与えました(大ヒット映画『マトリックス』や、『ブラック・ラグーン』などの日本の有名漫画にも)。
特に中盤でマークが復讐のために敵のレストランに乗り込むシーンは、これぞハードボイルドというほどカッコいい仕上がりになっています。かっこよくてスマートな男たちの映画もいいですが、こういった泥臭くて熱い男たちのハードボイルド映画もいかがでしょうか。
こんな人におすすめ
- とにかく激熱な男たちが繰り広げる、銃撃戦と爆発のハードボイルドが見たいという人
- 暑苦しいハードボイルドが見たい人。昼休みにじゃれてる高校生かな? と思うほど仲が良すぎる男たち! そんな彼らの友情が運命のいたずらによって引き裂かれ、再び手を取り合って巨悪に立ち向かう姿が熱い!
- 後の多くのハードボイルド作品に影響を与えた、伝説の二丁拳銃使いの姿が見てみたい!という人
こんな人には向かないかも…
- 勢いで押し切るタイプの映画が苦手な人。昔の西部警察や危ない刑事のような、わりと雑なノリで話が進む部分も多いですので、そういった行き当たりばったりな展開が苦手な人には向かないかもしれません
- やや無茶苦茶な論理を飲み込めない人
11.ハミングバード
二度目の復讐は、正義か、罪か。
あらすじ
ロンドンの街で、汚れたホームレスとして生活しているジョゼフ。彼は報復のために民間人を複数名殺害した罪を問われ、軍法会議から逃亡して身を隠している元特殊部隊員だった。彼に転機が訪れたのは、ギャングから逃げ延びてとある高級アパートに身を隠した時だった。
そのアパートの主が長い間不在であることを知ったジョゼフは、彼の知り合いを装ってアパートで生活を始める。生活を立て直すために裏の仕事を始めたジョゼフは、闇社会でめきめきと頭角を現していく。
新しい生活の中で優しいシスターと出会い、彼女と心を通わせるジョゼフだが、ホームレス時代に唯一優しくしてくれた少女が無残な死体として発見されたのを機に、彼はまた復讐の鬼となる…。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
新生活といえば、新社会人や大学1年生などが夢に溢れた新たなスタートを切るイメージですが、本作は軍法会議から逃亡した元特殊部隊のホームレスが、新居(他人の家)で裏稼業をスタートするというかなりハードボイルドな新生活の様子が描かれます。
世界で一番カッコいいハゲと噂のジェイソン・ステイサム演じる主人公が、薄汚い死にかけのホームレスから、ダークスーツに身を包んで闇の仕事に励み、裏社会で評価されていく様子はタフな男のサクセスストーリーとして楽しむこともできるでしょう。
しかし本作の見どころは、そんな主人公が心を許したシスターとの恋愛模様と、少女をなぶり殺しにするような悪逆非道の悪党への復讐物語が交錯していくストーリー展開にあります。二度目の復讐は果たして正義なのか、それとも許されない罪なのか?ラストに主人公が下すハードボイルドな決断を、ぜひご覧になってみてください。
こんな人におすすめ
- 普通のシチュエーションとは違う、ちょっと捻ったハードボイルド映画が見たい人
- 絶対に真似できない、タフすぎる新生活の様子を見て勇気をもらいたい人
- 切ない恋愛模様と、絶対に許すことのできない復讐のストーリーの交錯が見たい人
こんな人には向かないかも…
- 完成度の高い脚本を求めるような人。ここまで読んでいただいた方はお気づきかもしれませんが、どこに焦点が当たっているのか不明瞭なところがある映画です。直球で言ってしまえば、色んな要素を混ぜすぎてちょっと散らかった印象のある映画なので、には向かないかもしれません
- 映画の最後には、大きな盛り上がりを期待する人。ラストの解決は、ややあっさり感が否めません
12.シン・シティ
この街では、愛さえも闘い
あらすじ
Episode1 欲望と悪徳の街、シン・シティ。巨漢の男マーヴは、昨晩一夜を共にした美女が隣で死んでいるのを見つける。警察に追われる身となったマーヴは、事の真相を突き止めるために街を奔走する。
Episode2 顔を整形して街に戻って来た死刑囚ドワイトは、恋人と再会するが、そこでギャングたちとの抗争に巻き込まれることになる。娼婦街を手に入れようとするギャングだが、ドワイトは娼婦たちと共に銃を握り、立ち向かう。
Episode3 老刑事のハーティガンは連続殺人犯を追い詰めるが、陰謀に巻き込まれて逆にその罪を着せられてしまう。ハーティガンは刑務所の中で自分を唯一信じてくれた少女の身に再び危機が迫っていることを知ると、罪を認めて刑務所から出所する…。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
全編モノクロの世界の中で、飛び散る鮮血のみが赤く光る…そんな斬新な画作りが特徴の映画です。ハードボイルドな物語そのものをテーマとして撮られた作品であり、3つのハードボイルドな短編映画のように仕立てられた物語が組み合わさって、一つの映画になっています。
Episode1、傷だらけのフランケンシュタインのような巨漢の男。Episode2、整形によって顔を変えて街に戻って来た重犯罪者。Episode3、少女を守るために命を賭ける、正義の老刑事…立場も性格もまったく異なる三人の男の共通点は、自分の信じる正義だけを頼りに、悪徳の街を奔走するタフガイであるという一点だけです。
そんな状況にハードボイルドを感じる方には、ぜひおすすめできる作品です。
こんな人におすすめ
- 白黒の世界で展開する、”ハードボイルドさ”をどこまでも追及した映画が見たい人
- 一つの映画で、3つのハードボイルドな物語を楽しみたい人
- 全編白黒という斬新な画作りの映画に興味がある人
こんな人には向かないかも…
- 残酷な描写が苦手な人。ハードボイルドさと同時に、グロテスクさも強調された映画です
- スッキリ終わる映画を求める人。3つの物語の中にはハッピーエンドの話もあれば、ビターエンドの話もあります。全ての問題が解決してスッキリ終わるような映画を求める人にも向かないかもしれません
13.ローガン
少女と刻んだ、最後の爪跡。
あらすじ
かつてX-MENの一員として世界を救ったウルヴァリンは、今では本名のローガンを名乗り、老いたプロフェッサーを介護しながらリムジンの運転手として日銭を稼ぐ日々を送っていた。
そんなローガンの前に、自分と同じ能力を持った少女が現れる。謎の組織に追われる少女を救うことができるのは自分だけだと悟ったローガンは、かつての強力な力を失った老体に鞭打ち、最後の戦いに挑むのだった。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
ハードボイルドな映画を探しているのにアメコミヒーローの映画なんて、と思う方もいるかもしれません。しかし本作は、ウルヴァリンというヒーローの正真正銘最後の戦いを描いた、文句なしにハードボイルドな映画となっています。
まず冒頭の戦闘シーンを見るだけで、この映画の”本気”度が感じられるでしょう。生温いヒーロー映画とは違い、腕が簡単に切り飛ばされて鮮血が溢れ、人が無残に殺される…そんな本物の暴力が渦巻く世界で弱った身体を引きずり、少女を守るために戦う主人公の姿は、まさにタフでハードボイルドな主人公と言えるのではないでしょうか。
こんな人におすすめ
- シンプルな筋書きの映画が好きな人。タフでシブい主人公が、たった一人の少女を守るために戦うシンプルなハードボイルドさも魅力です
- 弱って傷つきながらも懸命に戦う主人公の姿に、ハードボイルドを感じる人。
こんな人には向かないかも…
- 映画の脚本に、複雑なシナリオや奥深いテーマ性を求める人
- 主人公に感情移入しすぎる人。終始主人公が様々な物に追い込まれて弱っていく映画でもありますので、そういった主人公の姿に感情移入しすぎる人にはつらいものがあるかもしれません
14.ゴッドファーザー
家族のために戦うたびに、家族の心は離れていく
あらすじ
父親であるヴィトからコルレオーネ・ファミリーを継承したマイケルは、その冷徹な指導力によって組織を繁栄させていた。ラスベガスを新たな縄張りとして、ファミリーはさらなる拡大成長を遂げる。
そのような絶頂期の中で新時代のマフィア組織の展望を描くマイケルであったが、組織の急速な拡大と共に、周囲の心はマイケルから離れていく。
父親のような誰からも慕われる偉大なボスになれないことを思い悩むマイケルだが、そのような葛藤とは無関係に、組織を脅かす事態は持ち上がり…。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
ハードボイルド映画といえば、このゴッドファーザーシリーズを抜きには語れません。アル・パチーノ扮する主人公のマイケル・コルレオーネほど、後のマフィア映画に影響を与えたキャラクターは存在しないでしょう。まさにギャング映画におけるハードボイルド像の原点ともいえる、犯罪映画史上最も偉大なキャラクターの一人です。
冷徹な指揮能力と先進的な経営眼を併せ持ち、圧倒的なカリスマの持ち主としてマフィア組織の頂点に君臨するマイケルの姿は、一度見れば決して忘れることができないような魅力に溢れています。
しかし極めて優秀な組織のボスとしてその指導力を振るうマイケルにも、内面の葛藤があります。それは、彼のあまりに強大な能力と冷徹すぎる物の見方に、周囲の人間が付いていけないことが原因です。
その恐ろしい能力を活かして組織を繁栄させ、時には非情な決断を下してファミリーを守る度に、守るべきファミリーの心はマイケルから離れていく…そんな非情な運命に立ち向かうマイケルの姿は、まさにハードボイルド映画のひとつの模範といえるでしょう。
こんな人におすすめ
- ギャング映画の原点にして頂点に君臨する、名作ゴッドファーザーシリーズをまだチェックしていない人
- 圧倒的なカリスマ性で組織を運営する、ダンディでクールなマフィアのボスが見たい人
こんな人には向かないかも…
- 現代の、テンポの速い映画に慣れている人。昔の映画なので、展開はスローな部分が目立つところもあります
- あんまり長い映画は見ていられないよ…という人。本作の上映時間は、なんと3時間を超える200分となっています
- シリーズものは疲れる…という人(この作品はシリーズ累計3作品あります)
15.ロング・グッドバイ
ハードボイルド史に燦然と輝く、一人の私立探偵。
出典:Amazon.co.jp
あらすじ
私立探偵フィリップ・マーロウは、ある晩に友人のテリー・レノックスから奇妙な頼まれごとを受ける。頼まれた通りに、マーロウはテリー・レノックスをメキシコまで連れて行ってやる。
その後テリーの妻が殺害されていたことがわかり、マーロウは警察の取り調べを受けるが、テリー本人が自殺したことが判明し、マーロウは釈放される。しかしそれは終わりではなく、事件の始まりにすぎなかった…。
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
出典:IMDb
私立探偵フィリップ・マーロウシリーズといえば、映画だけでなく後のあらゆるハードボイルド作品に最も影響を与えた作品の一つです。ただクールでタフなだけでなく、同時に感傷的なセンチメンタリズムも感じさせる複雑なハードボイルド像は、このフィリップ・マーロウがひとつの原点であるともいわれています。
『3つ数えろ』や『さらば愛しき女よ』といった映画のタイトルなら、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。マーロウはそれほど有名なキャラクターで、本作はそのシリーズの中でも人気の高い、『長いお別れ』という小説の映画化となっています。(また作家の村上春樹も、強く影響を受けたハードボイルド作品としてこの『長いお別れ』を挙げるほどです)
マーロウは自分の本心を決して表に出さない男ですので、彼が心の底で何を考えているのか、視聴者は推察するしかありません。そして、その推察が当たっているのか外れているのか、答えは決して明かされません。マーロウは誰にもなびかないどころか、視聴者にすら歩み寄ろうとしないのです。そんなハードボイルドの一つの到達点である本作。ハードボイルド好きなら、一度はチェックしてみてはいかがですか。
こんな人におすすめ
- ハードボイルド作品の原点を知りたい人
- 孤独で高潔な私立探偵の姿に、ハードボイルドを感じる人。フィリップ・マーロウは常にタバコを咥えてよれよれのスーツに身を包み、誰にも何にも頼らずに孤独に生きる私立探偵。しかしその心の底には強い正義の心が根差し、悪徳は決して許すことができないというハードボイルドな人物です
こんな人には向かないかも…
- ハードボイルド映画の歴史を知りたいわけではない、という人。本作はハードボイルド作品におけるひとつの歴史資料的な意味合いも強い映画ですので、面白い映画かと聞かれるとちょっと…という部分もあります。ハードボイルド映画が本当に好きだ!その原点を知りたい!という方以外には、強くおすすめしづらい映画です
- 結局あれはなんだったの?結局どうなったの?という細かい部分が気になる人。視聴する際は、とにかくハードボイルドな雰囲気を存分に楽しもう!他のことは知らない!という気概で臨むのがいいでしょう
16.ダーティ・ハリー
あらすじ
舞台はサンフランシスコ。巻き起こる殺傷事件に立ち向かうのは、通称『ダーティ・ハリー』と呼ばれるハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)。犯人を追い詰めるも、暴力的な対応が問題となり犯人は釈放、ハリーは謹慎処分を受ける事に。
そして、犯人は次にスクールバスジャックを企てるのだった。「被害者の人権」を守る為立ち向かうハリーの運命や如何に――?
必見!ハードボイルド映画としてのおすすめポイント
とにかくスカッとする展開のアクション映画。ハリーは悪党を許しません。己の流儀を貫き通し、事件を解決させます。
この映画の主人公は、スーツをビシッと着こなしクールに活躍…というタイプではありません。身だしなみにはどこか無頓着で、任務中のラッキースケベに「生きててよかったぜ」なんて素直に喜んじゃう一面もあります。しかし、仕事をやらせたら一級。射撃の腕は凄いわ、たまたま居合わせたレストランで犯人を一瞬の間に見抜いてしまうわ、とにかくデキる男。
北条司のコミックス『シティ・ハンター』がお好きな方にはたまらないのではないでしょうか!
こんな人におすすめ
- 1970年代のハードボイルドを味わいたい人
- スカッとする展開が好きな人
こんな人には向かないかも…
- シリーズものは苦手という人(こちらはシリーズ5作品あります)
- 身だしなみもビシっとしていて周囲の信頼も厚い完璧な主人公を求める人
まとめ
あらゆるジャンルにおけるハードボイルド映画をご紹介しました!タフでカッコいい男たちの物語を見終わった後には、自然と背筋がピンと伸びてしまうことでしょう。
あなたも明日から、ほんのちょっとだけ「ハードボイルド」な生き方をしてみませんか?
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