映画『クワイエット・プレイス』のネタバレあらすじ|音を立てたら即死…”何か”の正体とは?
「音を立てたら即死」というインパクトの強い触れこみで注目を集め、大ヒットを収めたアメリカ映画『クワイエット・プレイス』。
隕石と共に飛来した”何か”に襲われるというSFチックな恐怖に音という要素を加えた本作は会話はすべて手話、音響もほぼ自然の音と小さな生活音のみという徹底により沈黙系ホラーの筆頭に立ちました。
その注目ぶりは凄まじく2021年、コロナ禍真っただ中に公開された続編『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』も週末興行収入ランキング初登場1位を獲得。2023年にはシリーズ3作品目が公開予定です!
本作品の脚本を担当したのはジョン・クラシンスキー。クラシンスキー自らも役者として参加し、実生活の妻エミリー・ブラントと夫婦役で共演したことでも話題になりました。
本記事では、そんな『クワイエット・プレイス』のあらすじ・見どころ・キャストについて徹底紹介していきます。
※こちらの記事は一部ネタバレを含むので、未鑑賞の方はご注意ください。
目次
映画『クワイエット・プレイス』について
音を出したら即死の触れこみで話題を呼び、大ヒット映画となった『クワイエット・プレイス』。
正体不明の”何か”が音で引き寄せられ、襲ってくるという設定から音響は可能な限り抑えられており、つられて息を殺してしまう緊迫感が特徴的です。
本作品を制作するうえで、監督兼リー役を務めたジョン・クラシンスキーは日常生活に必ず生じる音をリスト化し、安全な音と危険な音に分類するほどこだわったのだとか。
その甲斐あって静寂と音がバランス良く緊張感を伴い、重みのある映像に仕上がっています。
夫婦で共演!低予算ながらも大ヒットを収めたホラー映画
さぞ予算を充てられていたのだろうと思いきや、実は1700万ドルという低予算で製作されたという本作。
最初の口コミ獲得にこそ苦戦したものの、オープニング興行で5020万ドルを稼ぎ出し、ホラージャンルでは『パラノーマル・アクティビテ3』(2011)以来の快挙を成し遂げました。
また主演のイヴリンを演じたのはジョン・クラシンスキーの妻エミリー・ブラントで、記念すべき夫婦初共演作でもあることに注目です。
タイトルの意味は?
原題の『A Quiet Place』は限りなく静かな場所という意味。
限りなくというのが本タイトルのミソで、映画内では音声やノイズは極力抑えつつ生きてるうえで発生する生活音や自然界の音、ささやかな話し声が最大限に活かされています。
映画『クワイエット・プレイス』の見どころ
”表情で語る”キャストたちの演技力
出典:『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』公式Twitter
音を立てれば即死の世界に生きる主人公たち。足音にすら気を払う世界をたくましく生き残った彼らのコミュニケーションは、もっぱら手話で行われます。
そのため必然的に映像は、ほぼ無音。
感情表現にかなりの制限がある映画にも関わらず、視聴者を約90分もの間画面に釘付けにさせたのはキャストらの表情による高い演技力でしょう。
眉毛ひとつ、口元ひとつで登場人物たちの感情の流れをを伝えていく表現力は本作品きっての注目ポイントです!
夫婦が演じる愛の絆
本作の主演エミリー・ブラントとジョン・クラシンスキーは、現実でも夫婦の間柄。
最初、エミリーは友人をイヴリン役に推していたそうですが脚本を読み進めていくうちに、ぜひ自分がと立候補したのだとか。
本作品は静かなホラーの奥に家族愛を描いた作品。本当の夫婦が共演したからこそのリアルな絆が垣間見え、より一層深みが増していますよ。
10秒でわかる!映画『クワイエット・プレイス』の簡単なあらすじ
メキシコに飛来した隕石と共に、聴覚の優れた盲目の”何か”がやってきた。
その”何か”は人間のたてる音に反応して襲いかかり、人間は滅亡寸前に追い込まれていく。難聴の長女リーガンがいるアトウッド家は手話で意思疎通をはかることで生き残っていたが、妻イヴリンが妊娠してしまい……。
映画『クワイエット・プレイス』のネタバレあらすじ
【あらすじ①】変わり果てた日常
隕石と共に”何か”がメキシコに飛来し、人類は滅亡に追い込まれていた。
その”何か”は盲目であるがゆえに聴覚が発達しており、音をたてるとたちまち襲いかかってくる。
難聴の長女リーガン(ジョン・クラシンスキー)のために手話を習得していたアボット家は、会話をすべて手話で行うことで意思疎通を行い、この非常時を生き抜いていた。
侵略から89日目。
この日は発熱した長男マーカス(ノア・ジュープ)の薬を探すため、アボット家の人々は薬局に来ていた。無事に薬を見つけ出したイヴリン(エミリー・ブラント)はマーカスにそれを飲ませて引き上げようとする。
4歳の末っ子・ボー(ケイド・ウッドワード)が音の鳴る飛行機のおもちゃを持っていることに気付いたリー(ジョン・クラシンスキー)はおもちゃを取りあげ、電池を抜いて諦めるよう諭し店を出た。
それを横で見ていたリーガンはボーを不憫に思い、こっそりと電池の抜かれた飛行機を「秘密だよ」のウインクと共に弟へ渡す。受けとったボーは、みんなが店を出ていくのを確認すると電池を手に取って、みんなの後を追いかける。
帰路ではみんな等間隔をあけて、裸足で音を立てないよう歩く。
しかし途中、一番後ろからピュルルルルーという機械音が鳴るのを聞いたイヴリンたちは慌てて後ろを振り返った。そこには取り上げたはずの飛行機のスイッチを入れて満足そうなボーの姿が……。
間髪入れず一目散にボーへ向かって駆けだすリーだったが、辿りつく前に”何か”やってきて、ボーを攫ってしまうのだった。
【あらすじ②】傷を抱えたアボカド家
隕石落下から472日。
ボーを失ったあの日から1年以上が経過したものの、アボット家はいまだ大きな心の傷を抱えていた。
リーガンは玩具を渡した自分を責め続け、今でも夢に見ては飛び起きてしまう。機械に強いリーは色々な部品を集めてはリーガンの補聴器を改造したり、各地にSOSを出しているが収穫はない。
弱虫のマーカスは、リーに連れられて食料調達と”何か”に見つからず生き残る方法を徹底的に叩き込まれる日々を送っていた。
妊娠したイヴリンは臨月を迎え、大きなお腹を支えながら生活している。
【あらすじ③】老夫婦
473日目。
この日もリーに外へ誘われたマーカスは行きたくないと拒絶し、それを見たリーガンは自分が行くと名乗り出る。
しかしリーは母親の手伝いをするようリーガンに言いつけ、予定通りマーカスと川へ。
それが気に入らなかったリーガンは荷物を詰め、ひとりでボーの墓へと向かうことに。そしてボーが死んだ元凶の飛行機の回線を切ると、お供えしてそのまま寝てしまう。
一方、川についたリーはあらかじめ仕掛けておいた罠から魚を引っ張り出し、食料を確保していた。
その際立てられる音に都度ビクつくマーカスを見かねたリーは、近くの滝に連れて行って大声を上げさせ「もっと大きな音が音を消す」と教えこむ。
帰り道。
荒廃した家の近くを通り過ぎたリーたちは、老女の死体とその傍に立ちつくす老人と出会う。
リーは立てた人差し指を口に当て、必死に「静かに」と乞うが老人は耐えかねたように叫び声をあげ、”何か”に襲われてしまった。
同じ頃、家にいたイヴリンは破水に気付き地下へと向かう。地下は家のまわりに設置した監視カメラ映像のうつるモニター室だ。その一角には、生まれてくる赤ん坊のための防音対策として木箱や息をするための酸素マスクが用意されていた。
しかし地下へ続く階段を降りる際、踏面の1箇所から釘が飛び出ていることに気づかなかったイヴリンは誤って釘を踏み、衝撃のあまり近くの物を落としてしまう。“何か”が来ると悟ったイヴリンは、室内や外に張り巡らせた電飾のスイッチを入れ、危険を知らせる。
室内に侵入した”何か”に気づかれぬよう息を殺すイヴリン。だが陣痛は待ってくれず、お産の時が近づいていた。
【あらすじ④】出産
“何か”から身を隠すようにバスタブに入ったイヴリンは、お産の体勢にはいっていた。
赤い電飾に気づいたリーはイヴリンを助けようと家に急ぎ、マーカスに花火を上げるよう指示を出す。
昼寝から目を覚ましたリーガンは赤い電飾と花火で非常事態に気付き、大急ぎで自宅へと走る。
花火の音に”何か”が引き寄せられているうちに室内へ駆け込んだリーはバスタブに残された大量の血痕を見て崩れ落ちるが、イヴリンは出産を終えて隠れていた。
赤ん坊を受け取ったリーは、泣き声を抑えるため赤ん坊に酸素マスクをつけて木箱に寝かせる。そして子どもたちを心配するイヴリンに地下室で一休みするよう言い残し、再び外へと出ていくのだった。
【あらすじ⑤】”何か”の弱点
リーガンと合流したマーカスは、穀物貯蔵庫サイロの上でリーが来るのを待っていた。
しかし居場所を知らせるために薪を焚こうとするが強風で上手くいかず、不安になったリーガンは「お父さんが探しに来てくれる」と諭すマーカスに「あんたを探しに来る」と言い返し背を向けてしまう。
その一瞬の隙にマーカスはサイロの抜け落ちた屋根から落ち、穀物の山の中へ。
気づいたリーガンは助けようと飛び込むが、どんどん体が沈んでしまう。壊れて落ちてきた屋根に乗り、何とか助かったマーカスがリーガンを引き上げ2人はことなきを得るが、今度は音を聞きつけた”何か”が迫っていた。
襲いくる”何か”から必死で身を守る2人。
衝撃でズレた補聴器から共鳴音が鳴ると、”何か”はもがき苦しんで逃げていく。
“何か”がサイロに走っていくのを見かけて駆けつけたリーは2人が無事だったことに喜ぶが、周囲をうろつく”何か”に気づいて子どもたちを近くのトラックへ避難させる。
その直後”何か”の襲撃にあったリーは倒れるが、子どもたちが襲われているのを見て最後の力をふり絞って大声で叫び犠牲になるのだった。
リーが襲われている間に家までトラックを走らせたリーガン。イヴリンは2人を抱きしめるが、あとを追ってきた”何か”に気づいて2人を地下へ誘導する。
はじめて地下室に入ったリーガンは、ずっと自分を嫌っていると思っていたリーが補聴器を研究し続けた形跡を見つけて涙を流し、”何か”が補聴器の共鳴音を嫌がっていたことを思い出す。そして地下にあったマイクで共鳴音を増長させ、弱ったところをイヴリンが撃ち殺す。
モニターには音を聞きつけた”何か”が大量に押し寄せる映像が映っていた。それを見たイヴリンはリーガンと目を合わせ、再び銃のスライドを引くのだった。
映画『クワイエット・プレイス』の登場人物・キャスト
イヴリン・アボット/エミリー・ブラント
子どもたちの母親で、リーの妻。妊娠し、間もなく出産時期を迎えようとしている。
主演を務めたのは、ジョン・クラシンスキーの実生活の妻であるエミリー・ブラント。イギリスの女優さんで、2006年公開の映画『プラダを着た悪魔』で一躍有名になりました。
音を出してはいけない世界での出産・釘を生足で踏むシーンなどかなり過酷な演技が多かったですが、表情や息遣いでの表現が素晴らしかった印象です。
リー・アボット/ジョン・クラシンスキー
子どもたちの父親で、イヴリンの夫。機械に強く、リーガンのために補聴器を改良したり周波数を合わせて各国へSOSを発信し続けている。
本作では脚本を書いたジョン・クラシンスキー自らがイヴリンの夫役として出演。現実世界の夫婦が映画でも夫婦役を演じる、というのはハリウッドで「絶対に失敗する!」と囁かれているタブー的行為らしいですが本作はリアル夫婦だからこそ、イヴリンが死んだかもしれない!と悟ったシーンの絶望感が真に迫っていましたね。
ジンクスを打ち破って結果を出したクラシンスキーの手腕もお見事です。
リーガン・アボット/ミリセント・シモンズ
アボット家の長女。聴覚障害で補聴器をつけて暮らしている。ボーにおもちゃを与えたことを後悔していて、悪夢にうなされる日々。
リーが未だに自分を怒っていて、マーカスばかり愛していると感じて悲しむ。
心に傷を負ったちょっぴり気難しい少女リーガン役を演じたのは、『ワンダーストラック』のローズ役で注目を集めたミリセント・シモンズ。
シモンズは実生活でも聴覚障害を抱えていて、撮影現場では彼女が「こんな感じ」と手話だけでなく身振り手振りでの感情表現をレクチャーした一面も見られたのだとか。
声がない映画だからこそ、全身での感情表現が重要視された本作においてシモンズは必要不可欠な存在だったというわけですね。
マーカス・アボット/ノア・ジュープ
アボット家の長男。臆病だが、優しい性格の持ち主。父親との関係に思い悩むリーガンを励ます。
長男マーカス役を演じたのは『ワンダー君は太陽』『フォード・フェラーリ』などで注目を浴びたノア・ジュープ。活動開始期間が2015年からと最近なのに対し、すでに数々のハリウッド映画に出演している大注目の子役です。
まだまだ10代前半と若いですが、プロ意識が高く演技に対しては大人顔負けの真剣さなのだとか。今後シリーズを通して、彼がどのように成長していくのかも楽しみですね!
続編『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』の内容は?
出典:『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』公式Twitter
本作の続編にあたる『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』で描かれるのは1日目の出来事と、リーが死んだあとの物語。
家と夫を失ったイヴリンたちは生存者を求めて彷徨い、リーの旧友・エメットと再会。ラジオから「ビヨンド・ザ・シー」が聞こえたマーカスは、それが4か月前から流れ続けていると知って他の生存者がいると確信しますが……?
監督は前作に引き続き、ジョン・クラシンスキー。
もともと続編は考えてなかったそうですが、映画の反響を受けてさらにアボット家を掘り下げていく決意をしたのだとか。父親の欠けた状態で生まれたばかりの赤ん坊を抱えたイヴリンとリーガン・マーカスはどんな世界を見るのか。ぜひ続編もお楽しみください!
『クワイエット・プレイス3』の内容は?
2023年3月31日に全米公開予定の第三弾。
まだ正式なタイトルも内容も未定ですが、脚本を手掛けるのは『MUD マッド』『ラビング 愛という名前のふたり』などの監督として知られるジェフ・ニコルズとの発表が。
ジョン・クラシンスキーの原案をもとに執筆を行うそうで、どんな新ワールドが展開されるか楽しみですね。
まとめ
「〇〇したら即死」シリーズとして有名になった『クワイエット・プレイス』。順調にシリーズ化も進み、より深くなっていくストーリー展開からは一瞬たりとも目が離せません。
また沈黙の世界に突如として響く音への緊張感・襲いくる異形の”何か”によるスリルは勿論のこと、ただのパニックホラー映画では終わらない家族愛にも注目です。