ウェス・アンダーソン監督のおすすめ映画特集!『ムーンライズ・キングダム』他
「グランド・ブダペスト・ホテル」や「ムーンライズ・キングダム」などで知られているウェス・アンダーソン監督。ウェス・アンダーソン監督は、アメリカのヒューストンで1969年5月1日に生まれました。
地元の私立高校に進学すると、演劇部で脚本と演出を手掛けるようになります。高校卒業後はテキサス大学オースティン校に通い、大学で出会った俳優のオーウェン・ウィルソンと映画の共同制作を始めました。
この時に制作した短編映画「Bottle Rocket」が映画監督ジェームズ・L・ブルックスの目に留まり、リメイクした長編映画「アンソニーのハッピー・モーテル」で正式に監督デビューを果たします!
ウェス・アンダーソン監督の映画はどれもお洒落で可愛らしい色彩の映像が特徴です。今回は、そんなウェス・アンダーソン監督の作品を、公開年順に、みどころと撮影秘話を踏まえてご紹介していきます!
ウェス・アンダーソン監督のおすすめ映画7選
1.アンソニーのハッピー・モーテル
出典:Amazon.com
あらすじ
精神病院から退院したばかりのアンソニー(ルーク・ウィルソン)は、昔の仲間ディグナン(オーウェン・ウィルソン)に誘われて強盗計画に参加することになる。更に車の運転担当としてボブ(ロバート・マスグレーヴ)が加わるが、彼らの犯罪計画が上手く進むわけもなく失敗し、ディグナンは刑務所に送られてしまう。
ウェス・アンダーソン監督の「アンソニーのハッピー・モーテル」撮影裏話!
「アンソニーのハッピー・モーテル」は、ウェス・アンダーソン監督の長編デビュー作です。
企画当時はプロの俳優を起用する予定でしたが、資金不足だったために、ウェス・アンダーソン監督の友人だったオーウェン・ウィルソンが俳優として起用されました。
当時オーウェン・ウィルソンは俳優経験がほとんどありませんでしたが、この映画で俳優デビューを果たしました。
オーウェン・ウィルソンの実の弟であるルーク・ウィルソンも出演しています。
ウェス・アンダーソン監督「アンソニーのハッピー・モーテル」のみどころ!
ウェス・アンダーソン監督の作品では1人1人のキャラクターの個性が強く描かれていますが、長編デビュー作となった本作でももちろんキャラクターの魅力が溢れています。
強盗計画を企てて実行するというベタなストーリーにも関わらず、ウェス・アンダーソン監督にしか出せない雰囲気で唯一無二の作品になっています。
今や様々な映画に引っ張りだこのオーウェン・ウィルソンの初々しい演技にも注目です。
2.ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
出典:Amazon.com
あらすじ
テネンバウム家の子どもたちは、3人とも若くして成功を収めた天才だった。長男のチャス(ベン・スティラー)はビジネスマンとして、長女のマーゴ(グウィネス・パルトロー)は作家として、次男のリッチー(ルーク・ウィルソン)はテニスプレイヤーとして将来を渇望されていたが、父親の過ちによって一家は崩壊していく。
大人になった彼らはそれぞれに問題を抱えていたが、死期が近いという父親の呼び掛けによって再び一緒に暮らすことになる。
ウェス・アンダーソン監督の「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」撮影裏話!
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」は、ウェス・アンダーソン監督の作品で初めて日本で公開されました。
本作では俳優として出演しているオーウェン・ウィルソンが共同で脚本と製作を行っています。
この頃からハリウッド映画界で鬼才と称されていたウェス・アンダーソン監督の新作が、日本にも知れ渡るきっかけになった作品です。
ウェス・アンダーソン監督「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」のみどころ!
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」では、かつて天才ファミリーとして脚光を浴びていたテネンバウム家が家族としての絆を再構築して行く過程を描いていますが、滑稽さと面白さを兼ね備えた演出がみどころです。
コメディでありながらも感動してしまうような秀逸な脚本に、思わず感心してしまいます。
3.ダージリン急行
出典:映画『THE DARJEELING LIMITED FOX SEARCHLIGHT』公式サイト
出典:映画『The Official Trailer for The Darjeeling Limited』予告編
あらすじ
長男フランシス(オーウェン・ウィルソン)と次男ピーター(エイドリアン・ブロディ)、三男ジャック(ジェイソン・シュワルツマン)の三兄弟は、フランシスの提案でインドの北西部を走るダージリン急行に乗り合わせる。フランシスが兄弟を集めた目的は、絶交状態だった兄弟の結束を再び取り戻すことだった。
しかしフランシスは、今は亡き父親の遺産を独り占めしたとして兄弟から嫌われていたため、3人は顔を合わせて早々に衝突してしまう。
ウェス・アンダーソン監督の「ダージリン急行」撮影裏話!
「ダージリン急行」が劇場公開された際には、プロローグ作品として13分の短編映画「ホテル・シュヴァリエ」が上映されました。
この短編映画には三男ジャック役のジェイソン・シュワルツマンと、その彼女役のナタリー・ポートマンが出演しています。
「ホテル・シュヴァリエ」は、フランスのホテルに宿泊していたジャックの元に恋人が訪ねてくるというストーリーです。
ウェス・アンダーソン監督「ダージリン急行」のみどころ!
「ダージリン急行」のみどころは、美しい映像とBGMの組み合わせです。映画全編を通して芸術作品のような美しさが楽しめます。
家族をテーマにストーリーを作ることが多いウェス・アンダーソン監督ですが、「ダージリン急行」では家族の素晴らしさを描きつつ、一度壊れてしまったものを再び構築する難しさも表現した味わい深い作品に仕上がっています。
4.ファンタスティックMr.FOX
出典:Amazon.com
あらすじ
盗みで生計を立てていたMr.フォックス(ジョージ・クルーニー)は、子供が生まれたことをきっかけに泥棒から足を洗って平穏に暮らしていた。
ある日、貧乏で退屈な暮らしに嫌気がさしたMr.フォックスは、妻のMrs.フォックス(メリル・ストリープ)と息子のアッシュ(ジェイソン・シュワルツマン)のために、丘の上にある家を購入する。その丘の反対側にある農家には悪名高い人間たちが住んでいて、農場で動物が飼育されていると知ったMr.フォックスは、本能が目覚めて再び泥棒を始めてしまう。
ウェス・アンダーソン監督の「ファンタスティックMr.FOX」撮影裏話!
ウェス・アンダーソン監督は、子供のころに原作の「すばらしき父さん狐」を読んでから、いつか絶対に映像化したいと思っていたそうです。
撮影はパペットを使ったストップモーションという技法にこだわり、1秒間に24コマの画像を撮影して繋げています。パペットは合計で500体以上、小物は4000点以上、セットは150以上もの種類を製作し、2年以上かかって撮影されました。
豪華声優陣のアフレコも臨場感を出すために、走っているシーンでは実際に走りながら、穴を掘るシーンでは実際に穴を掘りながら声を収録したそうです。
ウェス・アンダーソン監督「ファンタスティックMr.FOX」のみどころ!
原作者であるロアルド・ダールの妻に話を聞き、約10年間構想を膨らませていたというウェス・アンダーソン監督。
登場人物たちの動きやパペットのリアルさ、アフレコの臨場感、おしゃれな衣装やセットなど、こだわり抜かれた「ファンタスティックMr.FOX」にはたくさんのみどころがあります。手間と時間を掛けてストップモーションで撮影したため、ウェス・アンダーソン監督にしか作り出せない味のある作品に仕上がっています。
5.ムーンライズ・キングダム
あらすじ
この世界に自分の居場所がないと感じていた12歳のサム(ジャレッド・ギルマン)は、ボーイスカウトのサマーキャンプ中に置き手紙を残し、姿を消す。一方で厳格な両親に嫌気がさしていた同い年のスージー(カーラ・ヘイワード)も家を飛び出していた。
2人は1年前に出会って恋に落ち、文通を続けて密かに駆け落ちの計画を練っていたのだった。
草原で再会した2人は秘密の場所「ムーンライズ・キングダム」を目指して出発する。
ウェス・アンダーソン監督の「ムーンライズ・キングダム」撮影裏話!
映画を撮影する際には撮影地近くで邸宅を借り、そこを編集室として住み込んでいるウェス・アンダーソン監督。通常そこに寝泊まりするのは監督と撮影監督だけで、俳優たちにはホテルを手配していますが、「ムーンライズ・キングダム」の撮影ではエドワード・ノートン、ビル・マーレイ、ジェイソン・シュワルツマンも同じ邸宅に住みこんでいました。
その甲斐あって、俳優たちが監督の意図を細かく把握して、理解しながら撮影に臨めたそうです。
ウェス・アンダーソン監督「ムーンライズ・キングダム」のみどころ!
ウェス・アンダーソン監督は、映画「小さな恋のメロディ」の大ファンで、「ムーンライズ・キングダム」はその影響を大きく受けていると言われています。
サムとスージーの駆け落ちを描いたストーリーが展開していきますが、2人を取り巻く大人たちの面白い掛け合いや、メルヘンチックで可愛らしい雰囲気がみどころです。
6.グランド・ブダペスト・ホテル
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あらすじ
グランド・ブダペスト・ホテルは、「伝説のコンシェルジュ」と呼ばれるグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)が勤める高級ホテル。そこでベルボーイの見習いとして働くことになった少年ゼロ・ムスタファ(F・マーレイ・エイブラハム)は、指示を忠実にこなして徐々にグスタヴの信頼を得ていく。
ある日、富豪の常連客マダムDが殺される事件が起き、遺言によってマダムDの持っていた名画がグスタヴに贈られたが、グスタヴに殺人の嫌疑がかけられる。
ウェス・アンダーソン監督の「グランド・ブダペスト・ホテル」撮影裏話!
「グランド・ブダペスト・ホテル」の舞台となっているホテルは、チェコのカルロヴィヴァリにある「THE GRAND PUPP HOTEL」の外観がモデルになっています。
ピンク色を基調とした可愛らしいホテルです。
また、撮影はドイツで一番美しい町と言われているゲルリッツで行われました。
ウェス・アンダーソン監督や撮影スタッフがヨーロッパ中を回って撮影地を決めたそうです。
ウェス・アンダーソン監督「グランド・ブダペスト・ホテル」のみどころ!
これまではのどかでメルヘンな雰囲気の作品を作ることが多かったウェス・アンダーソン監督ですが、「グランド・ブダペスト・ホテル」はミステリーの要素も入っています。
時折入ってくる毒々しいシーンも、ウェス・アンダーソン監督らしくおしゃれに仕上がっています。
ウェス・アンダーソン監督の作品の中でも特にメルヘンでファンタジックな作品です。
7.犬ヶ島
出典:Amazon.com
出典:映画『犬ヶ島』予告編
あらすじ
2038年の日本メガ崎市では、ドッグ病が蔓延していた。小林市長は感染を防ぐために全ての犬を「犬ヶ島」に隔離すると宣言し、犬たちを島に送り込んだ。
自分たちだけで生きることを余儀なくされた犬たちは空腹に苦しんでいたが、ある日少年小林アタリ(コーユー・ランキン)が島にやってくる。アタリは、かつて自分の悲しみを癒してくれた護衛犬のスポッツ(リーヴ・シュレイバー)を救出しにやってきたのだった。
ウェス・アンダーソン監督の「犬ヶ島」撮影裏話!
「犬ヶ島」は、ウェス・アンダーソン監督が2009年に製作した映画「ファンタスティックMr.FOX」と同様にストップモーションで撮影されました。670人ものスタッフがセットの製作に携わり、4年の撮影期間を経て完成しました。
本作を作るにあたって、ウェス・アンダーソン監督は宮崎駿監督や黒沢明監督の作品を参考にしていたそうです。
ウェス・アンダーソン監督「犬ヶ島」のみどころ!
日本が舞台となっている「犬ヶ島」には、スカーレット・ヨハンソンやブライアン・クランストンなど豪華なハリウッド俳優陣の他に、渡辺謙や夏木マリ、山田孝之など日本人俳優もボイスキャストとして起用されました。
少年アタリや犬たちの絶対に諦めないひたむきな姿に胸を打たれます。
まとめ
ウェス・アンダーソン監督の作品を公開年順に紹介しました。
可愛らしい衣装や小道具を使い、お洒落な映画を撮影することで知られているウェス・アンダーソン監督は、ハリウッドでも特に次回作が期待されている監督の1人です。
観ているだけで癒されるウェス・アンダーソン監督の作品から目が離せませんね!