ミュージカル映画といえばこの人 ! ロブ・マーシャル監督のおすすめ映画6選
美しくおしゃれで鮮やか。楽しくにぎやかにテンポ良く。彼の作る映画は、これぞエンターテインメントという世界に溢れています。ミュージカルの舞台を下りてから、その経験を活かして独特の映像世界を作り上げる異色の監督「ロブ・マーシャル」。ポスターを見ただけで、その映画が見たくなる魅力あふれた世界をご紹介します!
目次
ロブ・マーシャルってどんな監督?
出典:Wikipedia
1960年アメリカウィスコンシン州マディソン生まれ。カーネギー・メロン大学を出た後、ブロードウェイで振付師として活動を始めます。『くたばれヤンキース』キャバレー』などのブロードウェイミュージカルの振付を手掛け、アメリカの演劇界で最も権威あるトミー賞振付賞にノミネートされています。
これらのミュージカルのタイトルを見てもわかるように、かつて振付師ボブ・フォッシーが手掛けた作品です。彼もまたダンサーとして活躍後、メガホンをとったミュージカルの巨匠なのです。自他ともに認めるボブ・フォッシーのファンであったロブ・マーシャル。偉大な存在ありきのミュージカル監督誕生となったわけです。
ロブ・マーシャルのおすすめ映画6選
おすすめ6選!と言っても、ロブ・マーシャルの監督した劇場公開映画は6本しかありません。2023年公開予定『リトル・マーメイド(原題)』を入れても7本ですが、どれも「あ、知ってる」「聞いたことある」という有名どころばかり。しかもその中の一つはアカデミー賞を始め各賞を総なめにした名作。まだまだこれから楽しみな監督ロブ・マーシャルの映画をご紹介します。
1 シカゴ
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あらすじ
1924年シカゴ。普通の主婦であるロキシー・ハート(レニー・ゼルウィガー)は、憧れのナイトクラブのスターヴェルマ・ケリー(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)のようになりたいと夢見ていた。舞台に立たせてやるという男と浮気までしたが、騙されていたことを知り揉めた挙句に男を殺してしまう。しかし刑務所の中には以前に殺人を犯していたヴェルマがいた。
刑務所の中という特殊な世界に集う個性的な面々に、始めは驚き大人しくしていたロキシーだが、敏腕弁護士ビリー・フリン(リチャード・ギア)に出会い、刑務所を出るため本来のしたたかで魅力的な女へと変貌していく。
ロブ・マーシャル監督『シカゴ』のトリビア
ダンスと歌が素晴らしいこの映画。ロブ・マーシャル監督は舞台のプロですが、ヴェルマ役のキャサリン・ゼタ・ジョーンズもミュージカル経験者。さすがに歌もダンスも迫力満点 !
ロキシーのレニー・ゼルウィガーは、ダンスではなく体操経験者だったそう。監督はロキシー役を決めるために数人の女優と会ったそうですが、レニーにはコメディのセンスがあったからというのが決定打になったみたいです。歌とダンスは三か月の特訓だったとか。撮影は学校みたいだったというのがレニーの感想。
ミュージカル映画ハリウッドで復活 ! 映画の見どころ
ロブ・マーシャルにとって初監督作品であるにもかかわらず、多くの賞を受賞し大ヒット作となった『シカゴ』は、かつて尊敬するボブ・フォッシーがブロードウェイで上演し、トニー賞に輝いた作品の映画化です。ミュージカル映画は今のハリウッドでヒットしないといわれていた当時の風説をみごとに吹っ飛ばしました。歌とダンスのダイナミックさ、抜群に魅力的なキャラクターたちは、どの場面を見てもため息が出るほど楽しくて素敵です。
基本情報
上映時間 :113分 監督:ロブ・マーシャル 出演者:レニー・ゼルウィガー キャサリン・ゼタ・ジョーンズ リチャード・ギア 受賞歴:75回アカデミー賞作品賞、助演女優賞、美術賞、衣装デザイン賞、音響賞、編集賞 60回ゴールデングローブ賞作品賞(コメディ/ミュージカル部門)、主演男優賞(コメディ/ミュージカル部門)、主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門) 56回英国アカデミー賞助演女優賞 第8回放送映画批評家協会賞作品賞、助演女優賞、アンサンブル演技賞 公開:2002年12月27日(アメリカ合衆国)2003年4月19日(日本) |
2 SAYURI
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あらすじ
第二次世界大戦前の日本、貧しい漁村の少女・千代(チャン・ツイィー)は9歳で売られて京都に行きます。慣れない場所と環境で、いじめなど辛い日々を乗り越えて、やがて芸者さゆりとして美しく変貌してゆきます。開戦、疎開、戦後と時代に翻弄されながら憧れの男性(渡辺謙)のために尽くそうとするさゆりですが…。
ロブ・マーシャル監督『SAYURI』のトリビア
ストーリーや映画自体の評価より先に、キャスティングについて批判が高かった作品です。日本の話であるのに、主役のさゆりと中心キャラたちが中国人であることに、日本だけでなく、本国アメリカからもバッシングされたとか。
じゃあ中国はいい気分だったのかというと、予想外にも批判集中。中国の女優に売春婦の役をやらせたということで。当時中国の売れっ子女優が体を売る女性の役などやることがなかったという理由ですが、芸者は売春婦ではないということと、遊郭の高級娼婦である花魁などとの違いも理解されていなかったということなので、見当違いな部分もあると思います。
見る視点を変えて楽しむ 映画の見どころ
制作スタッフがかなりの時間をかけて日本の文化やしきたりなどを勉強したということですが、日本ではまるで異国のファンタジーのようだと評価は低かったのが実際のところです。意外なことにアメリカでは日本や中国ほど評価は低くなかったようです。
見慣れぬ景色やめずらしい風習は、東洋の神秘としてまさにファンタジーに近いものがあるのかもしれません。外国の文化を完璧に描くのはとても難しいということですね。「そうかあ、こんな感じで見られてるんだあ」と思って見るのも一興かもしれません。
基本情報
上映時間:146分 監督:ロブ・マーシャル 出演:チャン・ツイィー 渡辺謙 ミシェール・ヨー 公開:2005年12月9日(アメリカ)2005年12月10日(日本) |
3 NINE
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あらすじ
映画監督のグイド(ダニエル・デイ・ルイス)はスランプに陥っていた。新作映画の制作に行き詰まり、ついに記者会見の会場から逃走をはかる。海辺のホテルで心を癒そうと愛人のカルラ(ペネロペ・クルス)を呼び寄せるが、プロデューサーにばれてスタッフともども押しかけられることに。ついに妻ルイザ(マリオン・コティヤール)までやって来てしまい、挙句の果てに愛想をつかされてしまう。さてグイドの映画は無事完成するのか。
ロブ・マーシャル監督『NINE』のトリビア
この映画の制作が決まった後、なんと19年ぶりに起こった脚本家協会のストライキにより大幅に段取りが狂ってしまいました。撮影は一時延期され、加えて脚本のリライト役が死去。
その影響でキャスティングも変更を余儀なくされ、主演のグイド役が日程の予定がつかず降板し、変更することに。当初はシカゴの主役二人も出演する予定だったのですが、様々な理由により降板。ファンとしてはちょっと見たかったですね。
かっこいい女たちに魅せられよう 映画の見どころ
フェデリコ・フェリーニの自伝ミュージカルを映画化したこの作品。やはり大ヒットした『シカゴ』に続くロブ・マーシャル二作目のミュージカル映画ということで、かなり期待されました。こういう場合どうしても比べてしまうというのが、見る側の辛いところで、前作の評価を上回るというのはなかなかむずかしいです。ただ情けない男にかっこいい女たちという点では共通!豪華絢爛なキャストによる華麗な世界を味わえること間違いなしです。
基本情報
上映時間:110分 監督:ロブ・マーシャル 出演者:ダニエル・デイ・ルイス ペネロペ・クルス マリオン・コティヤール ニコール・キッドマン 公開:2009年12月18日(アメリカ合衆国)2010年3月19日(日本) |
4 パイレーツ・オブ・カリビアン生命の泉
出典:映画『パイレーツ・オブ・カリビアン生命の泉』公式サイト
あらすじ
海賊ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)の前に、かつての恋人だった女海賊アンジェリカ(ペネロペ・クルス)が現れる。自分にとって敵になるのか味方になるのか不明なまま、ジャックはアンジェリーナと共に「生命の泉」探しに出ることになる。
一方英国海軍に寝返った海賊バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)、史上最強の海賊黒ひげ(イアン・マクシェーン)、スペイン軍なども同時に生命の泉を狙っていた。その泉の秘密を握る恐ろしい人魚も加わって、それぞれの野望に満ちた冒険が始まる。
ロブ・マーシャル監督『パイレーツ・オブ・カリビアン生命の泉』のトリビア
アンジェリカ演じるペネロペ・クルスは、『NINE』に引き続いてのロブ・マーシャル作品の出演。「いっしょにパイレーツ・オブ・カリビアン」をやってみないかと誘われ、「もちろん」と答えたそうです。ジョニー・デップとも10年前に『ブロウ』で共演しているということで、ジャックとアンジェリカそのままの名実ともに再会だったということですね。
本当の伝説が登場する 映画の見どころ
パイレーツ・オブ・カリビアンのシリーズは、当初前作までの三部作で完結するということになっていましたが、ゴア・ヴァービンスキーから引き継いでのロブ・マーシャル監督となりました。ヒット映画を引き継ぐのはなかなかのプレッシャーだと思うのですが、得意のリズミカルなテンポの良さとエンターテインメント性を存分に発揮したヒット作になりました。今回の見どころはシリーズ初めての3D映画ということと、実在した伝説の海賊黒ひげや太古から語り継がれる有名な若返りの伝説である生命の泉が題材に選ばれたことですね。ロブ・マーシャルによってどんな風に料理されているのか、楽しみなところです。
基本情報
上映時間:141分 監督:ロブ・マーシャル 出演者:ジョニー・デップ ペネロペ・クルス ジェフリー・ラッシュ 公開:2011年5月20日 |
5 イントゥ・ザ・ウッズ
あらすじ
魔女(メリル・ストリープ)に呪いをかけられたパン家の夫婦は、子供を授かることができない。子供がほしければ、森から四つのアイテムを手に入れて持ち帰ることという命令を受ける。森に出かけた夫婦は、そのアイテムにぴったりなシンデレラ、ラプンツェル、ジャックと豆の木のジャック、赤ずきんの童話の主人公の面々に出会うことになる。
ロブ・マーシャル監督『イントゥ・ザ・ウッズ』のトリビア
意外なことに魔女役のメリル・ストリープがディズニー映画に出演するのは、これが初めてだとか。彼女自身、舞台版『イントゥ・ザ・ウッズ』の大ファンだったということで引き受けたらしいのですが、さすがの貫禄と歌いっぷりは見ごたえ充分です。
ディズニーが関わるとやはり規模も大きくなるということで、撮影のセットの森の木は、なんとほとんどが本物を用意したとか。また衣装も凝ったものでお金がかかっているなあという感じです。音楽と視覚でディズニーが作り出す魔法に存分かかることができそうです。
ブラッキーなおとぎ話どんなふうに感じるか 映画の見どころ
『イントゥ・ザ・ウッズ』はミュージカルの舞台の映画化です。ロブ・マーシャルお得意の分野。おとぎ話のその後を描いた物語ということやディズニーの制作であるため、子供が喜ぶファンタジーみたいに思いがちですが、そうでもないところがこの映画の賛否両論はっきりするところです。おとぎ話の主人公たちは幸せを手にいれたまま最後まで幸せで過ごせるとは限らないというブラッキーな内容が基本になっているのです。大人のためのミュージカルであるロブ・マーシャルの描いたファンタジーを、どんなふうに見るか様々な意見を聞くのもまた楽しいのではないでしょうか。
基本情報
上映時間:125分 監督:ロブ・マーシャル 出演者:メリル・ストリープ ジョニー・デップ エミリー・ブラント 公開:2014年12月25日(アメリカ合衆国)2015年3月14日(日本) |
6 メリー・ポピンズ リターンズ
あらすじ
前作から20年後大恐慌に見舞われたイギリスで、子供だったマイケルは父や祖父と同じロンドン銀行で働いていた。妻にも先立たれ三人の子供を抱えて四苦八苦の生活を送るマイケルだったが、ついに融資の返済に困り家を失う危機に見舞われる。そんな中、風に乗ってやってきたのがメリーポピンズ!彼女は20年前と少しも変わらぬ姿で、マイケルたち一家の前に舞い降りた。そして待ち受ける夢と魔法の不思議な世界。
ロブ・マーシャル監督『メリーポピンズリターンズ』のトリビア
1964年制作の前作『メリーポピンズ』のリメイクと思われがちなこの『メリーポピンズリターンズ』ですが、リメイクではなくしっかりとした続編です。50年以上後に作られた続編というのもめずらしいと思いますが、前作があまりにも名作で、現在でも身近に親しまれている映画だからこそできることなのでしょう。
前作メリーポピンズは、面倒をみたジェーンとマイケルが大人になってからの話ということですが、当然同じ俳優の出演は不可能。しかしなんと嬉しいのが、メリーポピンズと並ぶ物語の中心人物メリーポピンズの親友バート役のディック・ヴァン・ダイクがカメオ出演しています。前作のオマージュ的場面も盛り込まれているので、前作を見てから『メリーポピンズリターンズ』を見るのもおすすめ。楽しみ方が増えますよ。
時代を超えて楽しめる 映画の見どころ
現実世界から魔法の国へ連れていってくれるのがディズニー。何気ない日常生活から楽しい夢の世界への案内人であるメリーポピンズはディズニーそのものなのかもしれません。前作、アニメと実写の融合という画期的な手法を駆使した『メリーポピンズ』ですが、時を経てCG技術も加わって一段と異世界感が強くなりました。まさにミュージカル監督ロブ・マーシャルの本領発揮といったところ。
素朴なアニメの良さがとてもいい味を出しているこのシリーズは、大げさな言い方ですが50年共に生きてきたあらゆる年代の人たちが楽しめる、まさに名作だと思います。
基本情報
上映時間:130分 監督:ロブ・マーシャル 出演者:エミリー・ブラント リン=マニュエル・ミランダ ベン・ウィショー エミリー・モーティマー 公開:2018年12月19日(アメリカ)2019年2月1日(日本) |
まとめ
大人のためのミュージカル、家族で楽しめるミュージカル、古典的名作のリメイクも含めると、映画化するというのはとても難しいものなのではないでしょうか。一つ間違うと退屈してしまいがちなミュージカル映画を、テンポと鮮やかさと楽しさで飽きさせないロブ・マーシャルの映画センスは、さすがに舞台を経験した実力者であることを実感します。『メリーポピンズ』のシリーズ化も噂されているようですが、これからの活躍が楽しみな監督です!