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衝撃のバイオレンス・ロマン!世界が認めた石井隆監督おすすめ映画7選!

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映画監督・石井隆(いしいたかし)。男女の恋愛にこだわり続ける監督です。正しく健康的な物語を拒否し、リアルで暴力的な現実の中に、限りなく「美しい」瞬間を見つける作風が特徴。そんな独自の世界観が世界に認められ、海外でも高い評価を得ています。また俳優の中にも、石井監督の世界観にやられた多くの「石井マニア」がいることでも知られます!

まさに「バイオレンス・ロマン」。今回はそんな石井監督の中でも、特にハイ・テンションな映画7選を厳選してご紹介します。どうぞ、ご覧ください!

石井隆ってどんな監督?

石井監督は1946年7月11日、宮城県仙台市に生まれます。上京して早稲田大学映画研究会に所属。最初から映画監督志望でした。しかし、デビューは漫画家としての方が先。1970年に漫画家・出木英樹としてデビューし、1977年、雑誌「ヤングコミック」に連載された『天使のはらわた』が大ヒットします。

『天使のはらわた』は、翌年の1978年から日活ロマンポルノ映画としてシリーズ化され、第二作『天使のはらわたー赤い教室』では、漫画家・石井隆が脚本を務めました。そしていよいよ映画監督デビューの時を迎えます。1988年のシリーズ第5作「天使のはらわたー赤い眩暈(めまい)」は監督・脚本・原作・石井隆で製作されました。

石井監督は、漫画家という異業種からの監督デビューなのですね。最近では北野武監督など、異業種からの監督デビューも珍しくなくなりましたが、当時は非常にレアでした。石井監督はセリフで説明するよりも、シーンで見せる・感じさせる映画づくりが特徴。映画作品でも、ビジュアルへのこだわりを強く感じさせるのは、漫画家出身のせいなのかもしれません。

映画ファンならスルーできない!石隆井監督のおすすめ映画!

それでは衝撃のビジュアリスト・石井隆のおすすめ7選をご紹介していきます。どの作品も、ビジュアル・インパクトMAXです!

1.天使のはらわたー赤い目眩(めまい)

石隆井監督の映画
出典:Amazon.com

あらすじ

『天使のはらわたー赤い眩暈』は、映画監督・石井隆のデビュー作です。『天使のはらわた』シリーズには、どの作品にも「土屋名美(つちやなみ)」というヒロインが登場します。作品によって世界観は違うのですがヒロインはいつも名美。『天使のはらわた』シリーズは、ヒロイン・名美の美しさを描くために創られた作品と言ってもいいでしょう。

この作品の名美(桂木麻也子)は、22歳の看護婦。ある日、勤務する病院から帰宅した名美は、同棲中のカメラマンの恋人が不倫している現場を目撃する。ショックを受けて家を飛び出す名美。そこに通りかかったのは、客の金に手を出してどうしようもなくなっていた証券マン・村木(竹中直人)が運転する車。名美は村木の車にはねられ、気を失ってしまう。

名美を車に乗せて、絶望的な逃避行を続ける村木。やがて二人の間には、不思議な恋愛感情が芽生えていく。孤独をなぐさめあう二人。そんなある日、村木は名美を車に残してガソリンを買いに行き、唐突にヤクザに絡まれ殺されてしまう。そんなことは何も知らずに、名美は村木を待ち続ける。カーラジオから流れてくる曲に合わせて、ひとりで踊る名美。「またひとりぼっち」「ま、いいか」。

俳優にもマニア多数!『天使のはらわたー赤い目眩』こだわりの作品トリビア!

・子供の頃から映画監督に憧れていた石井監督。めぐりあわせで漫画家デビューが先になりましたが、映画への情熱は持ち続けていました。そんなある日、原作(漫画)を脚本化する道が開けたのをきっかけに、自分で監督するチャンスがめぐってきます。しかし、当時の映画業界は閉鎖的な社会。異業種の監督に否定的な人も多かったそう。そんな声を、実力で一掃したのがこのデビュー作です!
・この作品で村木を演じ、以後、石井監督作品にたびたび出演することになる竹中直人さん。竹中さんん自身、石井監督マニアであることを公言しています。もともと漫画家時代から石井隆ファンだったそう。相思相愛で、石井作品の常連になっていきます。他に常連として名を連ねる俳優は、根津甚八・椎名桔平・室田日出男さんたち。映画界きっての個性的な面々です!

石井流バイオレンス・ロマン!『天使のはらわたー赤い目眩』の見どころはここだ!

『天使のはらわた』シリーズ、ジャンルはロマンポルノです。しかし当時のロマンポルノは新しい領域として自由な雰囲気があり、数々の名監督と名作を生みました。そう、当時のロマンポルノは見どころ満載、名作の宝庫なのです。「天使のはらわた」はその代表作とといっていいでしょう。

誰もが見どころにあげるラストシーン。帰って来ない村木を待ちながら、また一人になってしまったことを静かに理解する名美。そこには堕ちていく村木とは対照的に、自立して、したたかに、強く生きていく名美のリアルがあります。男性に従属した、夢見るヒロインが多かった映画作品の中で、美しく、自立した、リアルなヒロインとして、衝撃的に登場したのが名美なのです。

 

2.死んでもいい

石隆井監督の映画
出典:Amazon.com

あらすじ

石井監督の劇場公開第2作。(ロマンポルノではない)初の一般作品として、第1作に位置付けられることもあります。いきなり数々の映画賞を受賞し、石井監督の出世作になりました。
西村望原作の小説「火の蛾(ひのが)」を、石井監督が脚本化・映画化。原作は、東大阪で実際に起きた殺人事件をもとにしています。

物語の登場人物は3人。不動産会社社長の土屋英樹(室田日出男)とその妻・土屋名美(大竹しのぶ)、英樹の会社で働くことになった風来坊の平野信(永瀬正敏)。人妻・名美に魅かれてしまう信はある日、名美と関係を持ってしまう。関係を重ねる名美と信。しかしその関係は英樹に知られてしまい、追い詰められた信は、名美に英樹の殺害をほのめかす。

映画のキャッチフレーズは「愛しい彼が殺しに来る。私の大切な人を」。
火に飛び込んでいく蛾のように、人妻・名美に魅かれ、夫・英樹を襲い、堕ちていく信。そしてそんな信に微笑みかけるヒロイン・名美。欲望に忠実で、自分に忠実なヒロイン・名美は、この作品でも健在だ。

俳優にもマニア多数!『死んでもいい』こだわりの作品トリビア!

・この作品は企画スタートから完成まで10年を経ています。企画当初の1982年時点では、夫役・伊丹十三、妻・関根恵子、若者・古尾谷雅人でした。その後紆余曲折(うよきょくせつ)があり、最終的に1992年に現在の配役で完成に至りました。
・映画化には10年という時間がかかっていますが、一旦クランクインしてからは25日間の撮影日数で完成させたとの裏話が残っています。配役さえ決まれば、構想はすでに石井監督の頭の中で固まっていたのです。
劇場公開作品としては「天使のはらわたー赤い眩暈」以来5年ぶりの第2作。離婚直後の大竹しのぶさんが、伝説のヒロイン・名美を演じることが大きな話題になりました。「こういう役を演じられるのもあと少ししかないから」という、当時の大竹しのぶさんのコメントが残っています。事件な作品だったのですね。

石井流バイオレンス・ロマン!『死んでもいい』の見どころはここだ!

・大竹しのぶさんほど、目で深く演じることのできる女優はいないでしょう。永瀬正敏さん演じる信とはじめて出会った時の目、信が夫・英樹の殺害をほのめかした時に見せる目、それから英樹を殺害した直後の信を見つめる目。大竹しのぶさんが「普段は何も考えていないように見られてしまう」と語る目も、映画という物語を生きた途端、妖しい光を放ちます。女優・大竹しのぶの目線、必見です!
・信が名美に導かれてどこまでも堕ちていき、最終的に英樹を襲うシーンは凄絶(せいぜつ)です。室田日出男さん演じる人柄の良い英樹が、唐突に、不合理に、暴力的に生命を奪われます。突然訪れる暴力的な死と、死の直後の平穏な日常の表現が、石井監督描く究極の恋愛劇の作風なのですね。

3.ヌードの夜

石隆井監督の映画
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あらすじ

石井マニア・竹中直人の初主演作。名美を演じるのは余貴美子(よ きみこ)。

紅次郎(竹中直人)は、バブルがはじけて職を失った元証券マン。なんでも代行業のその日暮らし。ある日、次郎は名美(余貴美子)と名乗る依頼人から、東京の観光案内を依頼される。案内後、名美からホテルの部屋の荷物の郵送を依頼された次郎が部屋に行ってみると、そこにあったのは男の死体だった。「はめられたのか?」

殺された男は、名美の愛人でヤクザの耕三(根津甚八)だった。名美に耕三の死体を届けようとした哲郎は、名美をめぐる争いに巻き込まれる。
名美を助けるために拳銃を手に入れた村木は、耕三を殺されて怒り狂う弟分(椎名桔平)に向けて、とうとうその引き金を引いてしまう。堕ちていく次郎と、村木を見つめる名美。男女のどうにもならない情愛と凶行。次郎と名美の、美しくもせつなく、絶望的な逃避行が始まる。

俳優にもマニア多数!『ヌードの夜』こだわりの作品トリビア!

・主演・紅次郎を演じた竹中直人さん。「タイトルが『ヌードの夜』で、監督が石井隆さんだったから出演した」そう。漫画家時代からの熱烈な石井隆マニアである、竹中直人さんならではのコメントです。「石井さんの作品に出演できるだけで嬉しい。これからもずっと参加するのが夢です!」とも。
・続編の「ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う」が、17年後の2010年に製作されています。主人公の紅次郎は引き続き竹中直人さん、ヒロインの土屋名美は佐藤寛子さん。10年前の2000年には、すでに脚本が出来ていたそうです。そして10年の時を経て、竹中直人さんの呼びかけから、渾身(こんしん)の続編・映画化が実現したのです。

石井流バイオレンス・ロマン!『ヌードの夜』の見どころはここだ!

・主人公・紅次郎は元証券マン。バブルが弾けた後は表社会から身をひいて、なんでも屋をしています。熱狂の後の闇を生きる人生。名美の登場は、そんな次郎にとって、ひとつの「救い」でもありました。今にも暴発してしまいそうな狂気を秘めた次郎を、竹中直人さんが熱演しています。
・作品の中でバブルの富裕層のパーティが描かれます。名美はそんな富裕層の暮らしに魅かれ、耕三との関係を清算しようとした女性。そんな名美を、バブルを煽った(あおった)張本人である、元証券マンの次郎が救おうとするのです。光と闇、どちらが本当の暴力なのかが、対照的に描かれます。
・兄貴分の行方耕三を殺されて狂乱する仙道進を演じたのは、今を時めく椎名桔平さん。この作品がデビュー作。名美を守ろうとする次郎に、殴る蹴るの暴行を加えます。キレッキレの演技が評判になりました。もうひとつの見どころです!

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4.夜がまた来る

石隆井監督の映画
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あらすじ

石井作品永遠のヒロイン・土屋名美を夏川結衣(なつかわゆい)、村木哲郎を石井作品常連の根津甚八(ねづじんぱち)が熱演。ヤクザ組織に殺された麻薬Gメンの妻・土屋名美(夏川結衣)は、クラブホステスとして働きながら、夫の復讐を果たそうとする。狙うのは夫を殺した池島組・組長の池島政信(寺田農)。しかし襲撃に失敗した名美は捕らえられ、風俗店に売り飛ばされてしまう。

村木哲郎(根津甚八)は池島の片腕。執拗に池島を狙い、殺されそうになる名美を風俗店から救い出しなにくれと世話をするようになる。最初は池島に近づくために村木に近づいた名美だが、やがて2人は男女の関係になる。
それでも復讐を諦めようとしない名美に、村木は拳銃を渡す。名美は夫の死から2年後のある夜、池島を貸倉庫の屋上に誘い込み、拳銃を向ける。「いけじま〜あ!」

俳優にもマニア多数!『夜がまた来る』こだわりの作品トリビア!

・「夜がまた来る」は、当時26歳だった夏川結衣さんの初映画主演作。+R18指定のこの作品、渾身(こんしん)の演技が衝撃的でした。石井監督から、過酷とも言える役柄を直接依頼された夏川結衣さん。「劇場用映画にしてくれるなら出ます!」と一発OK。夏川さんの役者魂を感じさせるエピソードとして残されています。
・前作「ヌードの夜」でデビューを飾った椎名桔平さんが、池島組の若手リーダー・柴田一哉役で登場します。他にも娼婦のヒモに竹中直人さん、娼婦に余貴美子さんが出演。石井監督に「やられてしまった」俳優の面々が揃い踏みです。ちなみに名美の夫・麻薬Gメンを演じるのは、友情出演の永島敏行さん。

石井流バイオレンス・ロマン!『夜がまた来る』の見どころはここだ!

・ヒロイン名美を演じる夏川さん。風俗店から救い出してくれた村木に言った最初の言葉が「シャブくれよ!」。そしてクスリと戦う美しくも凄絶(せいぜつ)な姿。女優・夏川結衣の役者魂を感じさせる名場面です!
・前作での狂気を孕んだ(はらんだ)竹中直人さんの村木も見ごたえがありますが、あぶない男の中にせつない甘さを感じさせる根津甚八さんの村木も見ごたえ十分です。惜しまれながら2016年になくなった、唯一無二の役者魂・根津甚八を目に焼き付けておきましょう!
・名美の「いけじま〜あ!」の叫びで知られるラストシーン。とんでもないどんでん返しが仕込まれています。お楽しみに!

5.GONIN

石隆井監督の映画
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あらすじ

表街道から外れた5人の男が、暴力団から大金を強奪する物語。佐藤浩市、本木雅弘に、石井作品の常連・竹中直人、根津甚八、椎名桔平が集結。暴力団がさし向けるヒットマンにビートたけしが登場!

借金まみれのディスコのオーナー・万代(佐藤浩市)、金持ち男性相手のコールボーイ・三屋(本木雅弘)、汚職でクビになった元刑事・氷頭(根津甚八)、リストラされたサラリーマン・萩原(竹中直人)、パンチドランカーの元ボクサー・ジミー(椎名桔平)は、共謀して暴力団・大越組から大金の強奪を企て成功する。怒り狂った組長・大越(永島敏行)は、ヒットマン・京谷(ビートたけし)と柴田(木村一八)を差し向ける。

ヒットマンに射殺されるGONIN、復讐に大越組に乗り込むGONIN、執拗に追ってくるヒットマンと相打ちになるGONIN。永遠のヒロイン・名美と村木シリーズではなく、男だけの物語を描く石井監督の新境地。石井監督がもうひとつの本領を発揮した、バイオレンス・アクション!

俳優にもマニア多数!『GONIN』こだわりの作品トリビア!

・「『GONIN』は竹中直人さんが言い出しっぺ」(石井隆)。「石井さんの描く女もいいけど、男も色っぽいから好きだな。男だけの映画やりましょうよ」(竹中直人)竹中直人さんは出演者の推薦や交渉までやったそうです。二人三脚で製作された作品なのですね。
・『GONIN』はシリーズ化され、1996年に『GONIN2』、2015年に『GONINサーガ』が製作されています。『GONIN2』は、5人の女性が強盗団から逆に宝石を強奪し、強盗団から追われる物語。石井監督作品の常連、大竹しのぶさん・余貴美子さん・夏川結衣さんが登場します。『GONINサーガ』 には、竹中直人さん、根津甚八さんが登場しています。『GONINサーガ』は根津甚八さんの遺作となりました。

石井流バイオレンス・ロマン!『GONIN』の見どころはここだ!

・前半の見どころは、5人が組織から大金を強奪するシーン。辛くも強奪するシーンの連続で、ハラハラが止まりません。後半の見どころは5人とヒットマンの戦い。バイオレンスな殺戮シーンが連続します。「時代にはじき出された男たちの喘ぎ(あえぎ)と死に様」(石井隆)。見届けましょう!
・組織が差し向けたヒットマン・京谷を演じたビートたけしさん。「すごい評判でした」(石井隆)とのこと。最後の最後まで、執拗に5人を追い詰める狂気を感じさせる役どころ、後の監督・北野武にもつながる迫真の演技、必見です!

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6.フィギュアなあなた

映画フィギュアなあなた
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あらすじ

この作品のあらすじは、他ならぬ石井監督ご自身が、ご自身の言葉で明確に語っている。「ゴミのように打ち捨てられたマネキン人形が、ひとりの孤独な青年の魂の中だけでは生を持つ。そのマネキン人形が、青年を救い励ますためにセーラー服姿で4階建のビルの螺旋階段(らせんかいだん)を舞い降りながら拳銃を発砲し。チュチュを着て空中でバレエを舞う」(石井隆)。

リストラさんれた孤独な青年・内山健太郎(柄本祐)は、ある日ヤケ酒からチンピラとケンカになり、追われて廃墟ビルに逃げ込む。そこは捨てられたマネキンの墓場。夢か現実か、一人のマネキン(佐々木心音)が動き出し、健太郎を救う。健太郎はマネキンをココネと名付け、自宅に通れ帰る。ココネと健太郎の奇妙な同棲生活が始まった。

俳優にもマニア多数!『フィギュアなあなた』こだわりの作品トリビア!

・生きて動くマネキンという難しい役柄に挑戦した佐々木心音さん。撮影開始当初は、石井監督から「ロボットに見える」「人間らしい」とNGの連発。でもすぐに適応して「自分がフィギュアだったらどうする?」(佐々木心音)と考えて役柄に入り込んだそうです。石井監督をも唸らせたその演技力。根っからの女優さんなのですね。
・『フィギュアなあなた』は石井監督が漫画家時代、1992年にヤングコミック誌上に発表した「無口なあなた」が原作です。

石井流バイオレンス・ロマン!『フィギュアなあなた』の見どころはここだ!

・やはり「生きて動くマネキン」を演じた佐々木心音さんの、迫真のフィギュアな演技がいちばんの見どころでしょう。特に、いきなり動き始めてチンピラから健太郎を救うシーン、石井監督がイメージする階段を降りながら拳銃を発砲するシーン、空中でバレエを踊るシーンは見逃せません!映画のキャッチフレーズ通り、「夢か、現実か」と感じさせるシーンの連続です。
・柄本祐さんが演じる健太郎は、大手出版社の編集部員という設定。そしてその上司である及川部長を竹中直人さんが演じています。もはや石井作品に欠かせない存在となった竹中さん。今回も主人公の健太郎を追い詰める、キレッキレの演技が実物です。

7.甘い鞭(むち)

原作は小説家・大石圭によるホラーサスペンス「甘い鞭」。監禁・SM・レイプなど、衝撃的な題材を扱った同作品を映画化したのが石井隆監督でした。

表の顔は不妊治療医、裏の顔はSMクラブのM嬢の岬奈緒子(壇蜜)が主人公。奈緒子は10代の時に、暴力的に1ケ月もの期間、拉致・監禁された凄絶(せいぜつ)な過去があった。そんな悲しい過去とマゾヒズムに翻弄(ほんろう)される、一人の女性の性を描く。「あの悪夢のような1ケ月が、今でも私を支配している」。

俳優にもマニア多数!『甘い鞭』こだわりの作品トリビア!

・1ケ月もの間監禁された、岬奈緒子の少女時代を演じた間宮夕貴さん。演技には、大学時代に専攻していた心理学がずいぶん役に立ったそう。「(この状況では)犯人と少女の間に恋愛感情は成立しない」と石井監督もやり合う役者魂のある女優さんです。
・常連の竹中直人さんは、この作品では奈緒子が所属するSMクラブの上顧客・醍醐(だいご)として登場しています。

石井流バイオレンス・ロマン!『甘い鞭』の見どころはここだ!

・女医であり、M嬢である岬奈緒子を演じた壇蜜さん。SMには持論があり、「人をSとMで分けるのは間違い。人間誰にもSMの要素がある」(壇蜜)と語っています。その演技力が評価されての日本アカデミー賞・新人女優賞。見事です。
・「撮影については(ハード過ぎて)記憶がない(壇蜜)とも。本格的な女優に一歩踏み出した人の言葉ですね。「この映画を見た人に『違和感が無かった』と言ってもらえれば、それが何よりの褒め言葉です」(壇蜜)とも語っています。その女優魂が、いちばんの見どころです。

まとめ

どうしようもなく堕ちていく男と女。そんなせつない男女の姿をやさしく見つめ、暴力やエロスの中に火花が散るような美しさを描く石井監督。

7選の前半は監督にとっての永遠のヒロイン・名美を描いた作品、後半は新機軸である男の色気や、新しいヒロインを描いた作品でした。
「石井さんの描く女も好きだけど、男も色っぽくて好き」(竹中直人)。その言葉が、なによりも石井作品の美しさ・みずみずしさを語っています。

この記事を書いた人
アルファ
アルファ

滋賀県在住、高卒から映画ひとっとび専属ライターになりました。 親の影響で映画が好きになり、特にアクション系が大好き。 特にトム・クルーズとキアヌ・リーブスは私のマイヒーローです!